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平成28年度大学院学校教育研究科入学式(昼間)式辞

  本日ここに、兵庫教育大学大学院学校教育研究科昼間クラスの平成28年度入学式を挙行し、214名の新入生を迎えましたことは、誠に歓びに堪えません。ここに本学を代表して皆さんに心から祝意を表します。また来賓各位にはお忙しい中、ご臨席を賜りまして、謹んでお礼申し上げます。
  今年度の新入生は昼間クラス・夜間クラスの合計295名です。この中で、現職教員118名、学部新卒学生107名、社会人経験者65名、そして留学生が5名となっています。このように本学大学院の大きな特色の一つは、入学生が非常に多様であるということです。ですから皆さん各人がそれぞれ違う目的や課題をお持ちだと思います。そういう皆さんに、是非とも2年、あるいは長期履修制度の方は3年の間にそれぞれの目的・課題を達成していただきたいと願っております。
  本学の創立の経緯を振り返りますと、今から45年前の1971年、新構想の国立大学設立に関する中央教育審議会答申(四六答申)を起点として、1974年、当時の文部省に「教員のための新しい大学・大学院の構想について(報告)」が出されました。その中で兵庫教育大学の基本構想が示され、現職教員の高度の研修・研鑽の機会を確保する観点から、1978年に本学は開学いたしました。創立当時から、学校現場に内在する今日的課題の解明に資する教育研究活動を展開し、教育委員会等と大学との密接な連携協力を図るという、現在でもそのまま通用する課題を背負って、誕生したわけです。そして今年で38年目を迎えますが、本学の最重要のミッションであります「教員養成の高度化」は創立以来、現在にいたるまで一貫して継続しており、全国の教員養成系大学の中で誇るべき地位を確保しております。お陰様で、すでに9000名以上の修了生が学校・教育現場で活躍しております。皆さんは、このような輝かしい歴史を持つ本学大学院に入学されて、今、ご自分の立場をどのようにお考えでしょうか。最も新しい調査でも学校教育に携わる教員の中で、大学院修了者は、公立小学校ではまだ4.0%、公立中学校で6.9%、公立高等学校でも13.4%とまだまだ少数です。皆さんの多くはこの中の一人となるわけですから、いかに教育委員会や学校現場から期待されているかが予想できるでしょう。
  これから大学院で学ばれる皆さんに申し上げたいことはたくさんありますが、ここでは三点に絞ってお話しします。
  一点めです。この2年ないし3年の間に、皆さん各々が、今、この時に学ぶべきこと、果たすべき課題があるはずです。その機を逃さないようにしてほしいということです。つまり時間の過ぎるのは早いということです。20歳代から30代、40代と時間の過ぎる感覚はどんどん早くなっていきます。特に現職教員や社会人経験者の方は、日々慌ただしく時間が過ぎ去る実感をお持ちだと思います。皆さんがこの兵庫教育大学で大学院生として生活するのは、たかだか2,3年です。しかし、多くの修了生の話を聞くと、今の自分があるのは兵庫教育大学で学んだ2年間があったからだと言われます。それは、恐らく、その方が大学院の限られた時間内にそれぞれにやるべきことを精一杯やられたからだと思うのです。人それぞれ方法、スピードは違いますが、どうぞ、自ら知識を求め、蓄え、かつ確実に身に付けてほしいと願います。そして誰かのために勉強しているのではなく、学びの主体はいつも自分であるということを忘れないでください。
  二点めに、常に自分の頭で考える癖をつけて欲しいということです。自分自身に嘘をつくことなく、他人のせいにしないということです。つまり「自立した大人」であるということです。皆さんは既に大学を卒業されていますし、それなりに年齢を重ねておられる方もいます。そういう皆さんを前に「自立した大人」になってくださいというのは、いささか失礼なようですが、実際には先ほど申し上げた意味で「自立」できていない大人は世の中にはたくさんいます。
  教育の問題というのは、自然科学と違って、「これが正解」というものがありません。時代時代の社会や地域の状況によって変化しますし、何よりも児童・生徒一人一人に対しても同じではありません。また技術の進歩はこれからICT機器だけでなく人工知能やロボットの驚異的な発展によって学校現場に影響を与えるかもしれません。ですから人の意見に支配されないで自分なりの考えを持ち合わせて欲しいのです。そのためには、豊富な知識と思考の深さが求められます。どうぞ単位取得に奔走するのではなく、教育の課題をじっくり考える癖をこの大学院在学中につけてほしいのです。
  最後の三点めです。繰り返しますが、本学の大学院生は非常に多様です。このような中でのコミュニケーションはすごく大切です。特にコースの同僚や一つ上の学年の方との巡り合いというのはある意味、お金では買えない宝物です。相手が現職教員であるのか、これから教員になることを目指しているのか、また年上か年下かを考える必要はありません。皆、同じ兵教大大学院の同窓生です。この偶然を大切にしていただきたいと思います。他県の現職教員どうしが話せる機会はめったにありません。学部新卒の若い方は、学校現場に入る前にこれほど友達感覚で現職教員と語り合える機会はありません。年齢は違っても、お互いにそれぞれの立場を「尊敬する」ことでこれまで見えていなかったことが発見できるかもしれません。ここには上下関係はありません。それは「自立した大人」であれば可能なのです。是非、積極的にコミュニケーションを楽しんでいただきたいと思います。
  以上、三点申し上げました。本学では、私をはじめ大学の幹部が、大学院生の意見を直接お聞きする場を設けています。私は皆さんと同じ平面上でお話しできる機会を楽しみにしております。
  それでは皆さん、一人一人が主体性を発揮し、学業生活が充実したものであることを祈念いたしまして私の式辞といたします。

平成28年4月6日
国立大学法人 兵庫教育大学長 福田光完

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