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平成28年度大学院連合学校教育学研究科入学式式辞

  本日ここに、兵庫教育大学連合学校教育学研究科平成28年度入学式を挙行し、32名の新入学生を迎えましたことは、誠に歓びに堪えません。基幹校である兵庫教育大学を代表して皆さんに心から祝意を表すると共に、我々連合学校教育学研究科の構成大学、4大学の関係者一同、皆様のご入学をお慶びもうしあげます。
本連合学校教育学研究科は今年で創立20周年を迎えます。国立大学の教員養成系博士課程として、平成8年に全国に初めて設置されて以来、着実に成果を修め、日本の教育界におけるけん引役を確実に果たし、現在に至っております。
  わが国の博士課程に入学する学生数は、国立大学のすべての学部卒業生の14%にすぎません。ましてや博士課程学生数の8割近くは理系に偏っていますので、人文社会・教育系の博士課程に限ると入学者は極めて低い割合になってしまいます。皆さんは、その中の選ばれた一人だということです。皆さんのほとんどは職をお持ちですので、その中の多忙なスケジュールをやりくりして、着々と入学の準備をされたとお察ししますが、実際かなりご苦労も多かったのではないかを予想いたします。事前の指導教員と打ち合せ、研究計画の作成、そして入学試験、いずれもハードルが高い課題を見事に突破されてきたのですから、どうぞ自信を持ってください。そして日本の教育界を背負っていくという気概でこれから研究に邁進していただきたいと思います。
  本連合学校教育学研究科は、博士(学校教育学)を授与する全国で唯一の博士課程です。そして、ミッションは創立以来変わることなく、「教育実践学」の発展・推進です。
  本日は、これから研究を推進される皆様に三点ほど申しあげたいと思います。
  まず一点めですが、博士課程の3年間で修了して、課程博士として学位を取得する決意をしてください。実際、数年もかけて学位を取得する方もこれまで拝見していますが、研究の勢いや情熱は年を経るほど失われていくように私は感じます。職を持ちながら研究することのたいへんさはよくわかるのですが、敢えて3年間で修了して下さいと言わせていただきます。博士の学位は、一人前の研究者としての出発点であるとよく言われます。その通りです。実は、学位取得後がもっと重要なのです。博士の学位は、その方の研究能力を保障するための、一つの基本的・客観的な指標である意味合いが強いのです。つまり指導者がいなくても、一人で研究を進め学術論文としてまとめていく能力があると見なされるのです。ですから、博士号取得後は、さらに実践研究を深め、充実した学術論文を世に公表していかなければならないのです。今の皆さんには、なかなか想像しにくいかもしれませんが、このような意味からも博士課程で何年間も停滞している余裕はないのです。
  二点目は研究そのものについてですが、いささか私自身の経験を申し上げることになります。研究テーマに関する多くの参考文献を読み、自身で実験・調査方法を定め、分析を重ねる。最終的に考察を加え議論していく。これが研究のストーリですが、なかなかそうはうまく事は運びません。考えれば考えるほど頭の中ではもやもやして、すっきりとまとまらないということがしばしば起こります。毎日毎日、朝から寝る前まで(あるいは寝床に入ってからも)頭の中がそのことでいっぱいで、悩み抜いていると、ある時はっと一筋の明かりが見え、解決に至る時があります。きっかけは、これまで何度も見たはずの参考文献の一節であったり、他の研究者と何気なく話している時の一言、とか様々です。どうも研究とは頭の中で熟成する時間が必要なようです。熟成する期間は、人それぞれ、テーマそれぞれで違うのでしょうが、どうもこれは真実らしいのです。このような体験を何度かすると、熟成期間が楽しめるようになってきます。論文をまとめるのが苦にならなくなってきます。こうなればしめたものです。晴れて審査のある世界的な学術雑誌に公表されるときの爽快感は、悩み抜いた本人だけが体験する喜びなのです。私が「研究とはこういうものなんだ」と気付いたのは、博士課程の3年間です。もう30年以上前になります。
  三点目が研究倫理です。他者の研究論文の改ざん、盗用、剽窃、あってはならないことです。もしこのような事態に陥ればその結末は悲惨です。最近は多くの論文はウェブ上で公開されます。検索機能はますます向上します。ですから、すぐにバレてしまうのです。誰でも、研究倫理を守ることは当然のことだと思っておられると思います。ところが、悪魔のささやきに魂を売りとばす研究者、いえ偽研究者がいるようです。もし、そのような悪魔のささやきに耐えきれなくなったときは、きっぱりと自分はこの世界には縁がなかったと研究者をやめることです。他に選択はありません。どうぞ、先に申し上げた「研究には熟成期間が必要だ」ということを思い出してください。自信を持ってください。連合学校教育研究科でも研究倫理教育のプログラムを用意し対応しています。
  指導教員だけでなく、他大学の教員や同僚・先輩とのコミュニケーションを密にしてください。本研究科は、そのための取り組みを用意しています。まずは学生が進んで参加できる研究プロジェクトです。毎年1件以上のプロジェクト研究を立ち上げることを中期計画に含めています。海外での発表も可能です。他に、4大学の学生が一同に会するセミナーがあります。どうぞ積極的に参加し発言するようにしてください。研究に行き詰った時に相談にのってもらえる相手がすぐそばにいるということは素晴らしいことです。
  以上、三点申し上げました。どうぞ、皆さん一人一人が本格的に研究に取り組み、博士の学位取得を目指して励んでください。皆さんの健闘を祈念いたしまして私の式辞といたします。

平成28年4月9日
国立大学法人 兵庫教育大学長 福田光完

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