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平成29年度大学院学校教育研究科入学式(昼間)式辞

  本日ここに、兵庫教育大学大学院学校教育研究科の平成29年度入学式を挙行し、205名の新入生を迎えましたことは、誠に歓びに堪えません。ここに本学を代表して皆さんに心から祝意を表します。また来賓各位にはお忙しい中、ご臨席を賜りまして、謹んでお礼申し上げます。
  今年度の新入生は昼間クラス・夜間クラスの合計276名です。この中で、現職教員120名、学部新卒学生91名、社会人経験者60名、そして留学生が5名となっています。このように入学される方々の経歴が多様であることが本学大学院の大きな特色となっています。
  本学創立の経緯を少し振り返りますと、今から約45年前の1970年代初めに、「教員のための新しい大学・大学院の構想」が議論されました。その中で兵庫教育大学の基本構想が示され、現職教員の高度の研修・研鑽の機会を確保する観点から、1978年に本学は開学いたしました。創立当時から、学校現場に内在する今日的課題の解明に資する教育研究活動を展開し、教育委員会等と大学との密接な連携協力を図るという、現在でもそのまま通用する課題を背負って、誕生したわけです。そして今年で創立から39年目を迎えます。社会・教育現場の状況は当時とは大きく変化しましたが、「指導力に優れ、人間性豊かな質の高い先生を学校現場に送り出す」という本学のミッションは、創立以来、現在にいたるまで一貫しており、全国の教員養成系大学の中でも誇るべき地位を確保しております。お陰様で、すでに9370名の優秀な修了生が学校・教育現場で活躍しております。皆さんが、このような輝かしい歴史を持つ本学大学院で学ばれ、そして、多くの先輩方と同じく、巣立っていくことは、本学だけでなく全国の教育機関からも大きな期待が寄せられています。
  これから大学院で学ばれる皆さんに申し上げたいことは種々ありますが、ここでは三点に絞ってお話しします。
  一つめは、「冷静に議論できる力」を身に付けていただきたいのです。研究テーマや学びの成果について指導教員やゼミの仲間とじっくり議論できるのは、大学院生に許された特権です。しかし、実際、何かについて議論を始めると、一方的に相手を自分の意見に屈服させようとしたり、論理が曖昧なまま、相手に承認を求める人がいます。議論は、自分の論理・思考・アイデアと異なった人がいることにその中で気付き、他者の意見にも正当性があると判断すれば、自分の考えに修正を加えることでより明確になるものです。冷静な議論は、お互いを高め合うことにつながります。特に多くの教育の問題というのは、自然科学と違って、「これが正解」というものがありません。議論するためには、豊富な知識と思考の深さが求められます。ですから他者の意見にゆっくり耳を傾け、理解しようとする寛容さが必要です。どうぞ皆さん、単位取得に奔走するのではなく、教育の課題をじっくり考える癖をこの大学院在学中につけ、実のある議論に結び付けていただきたいと希望します。
  二つめに、「自立した大人」になっていただきたいということです。中教審の答申でも「学び続ける教員像」の確立といわれますが、何故、学び続ける必要があるのか。それは、「自立した大人」になるためであると言えます。私がいう「自立した大人」とは、周りの状況を適格に判断して問題解決に取り組み、自分自身に嘘をつくことなく、他人のせいにすることなく、責任を果たす誠実な人間であるということです。世の中には若くても「あの人はよく人間ができている」と言われる人がいます。そのような人のことだと思ってください。大学院生の期間は決して長くはありませんが、ひた向きに学び続けることによって、常日頃の思考・行動・発言は変化するものです。「自立した大人」は、皆さんのすぐ届くところに存在するのです。
  三点めです。初めにも述べましたように、本学の大学院生の経歴は多様です。このような組織では、お互いのコミュニケーションはすごく大切です。特にコースの同僚や先輩方との巡り合いは、偶然であり、ある意味、宝物のようなものです。相手が現職教員であるのか、これから教員になることを目指しているのか、また年齢が上であるのか下であるのかを考える必要はありません。皆、同じ大学院の同窓生です。この偶然を大切にしていただきたいと思います。他県の現職教員どうしが話せる機会はめったにありません。学部新卒の方は、学校現場に就く前に、これほど親しく現職教員と語り合える機会はありません。ベテランの教員の方は、今の若い世代がどのように学校現場を見ているのかを知って、新鮮な驚きがあるかもしれません。年齢は違っても、お互いにそれぞれの立場を「尊敬し、理解する」ことで、これまで見えていなかったことが発見できるかもしれません。是非、積極的にコミュニケーションを楽しみ、視野を広げて下さい。
  以上、三点申し上げました。皆さんは、各人が異なる目標や課題をお持ちだと思いますが、是非とも在学中にそれぞれの目的・課題を達成していただきたいと願っております。それでは、皆さん、御一人御一人が主体性を発揮し、学業生活が充実したものであることを祈念いたしまして入学式式辞といたします。

平成29年4月5日
国立大学法人 兵庫教育大学長 福田光完

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