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平成29年度大学院連合学校教育学研究科入学式式辞

  本日ここに、兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科の平成29年度入学式を挙行し、40名の新入学生を迎えましたことは、誠に歓びに堪えません。基幹校である兵庫教育大学を代表して皆さんに心から祝意を表すると共に、連合学校教育学研究科構成大学、4大学の関係者一同、皆様のご入学をお慶び申しあげます。
  本連合学校教育学研究科は昨年創立20周年を迎えました。国立大学の教員養成系博士課程として、平成8年に全国に初めて設置されて以来、着実に成果を修め、日本の教育界におけるけん引役を確実に果たし、現在に至っております。本研究科は、博士(学校教育学)を授与する全国で唯一の博士課程です。そして、ミッションは創立以来変わることなく、「教育実践学」の発展・推進です。これまで本研究科で博士の学位を取得された方は、課程博士が284名、論文博士が133名となり、全国各地の教育機関や大学で活躍されています。
  データによりますとわが国の博士の授与数は、年間約1万5千数百件であり、教育系は全体のわずか2%以下で2百数十件となっています。博士課程学生数の8割以上が医学・理工系に偏っていますので、人文社会・教育系の博士課程に限ると入学者は極めて低く、従って学位取得者も少ないという結果になってしまいます。皆さんは、その中の選ばれた一人だということです。日本の教育界を背負っていくという気概でこれから研究に邁進していただきたいと思います。
  本日は、これから研究に取り組む皆さんに三点申しあげたいと思います。
  一点目は研究の進め方です。研究テーマを定め、その研究に関する多くの参考文献を読み、自身で実験・調査・あるいは計算等、研究方法を定め、分析を重ねる。最終的に考察を加え議論する。本来これが研究の流れですが、なかなか、そううまく事は運びません。課程博士ですと所定の期間内に、査読のある学術論文2報が必要です。報告書のようなものをいくらたくさん書いても、研究にはなりません。何故なら、研究には普遍性が必要だからです。実際、研究を進めていくと、考えれば考えるほど頭の中ではもやもやして、すっきりと纏まらないということがしばしば起こります。このような時は、是非、「失意泰然」という言葉を思い出してください。ものごとが上手くいかないときは、焦らず、落ち着いて、然るべき時が来るのを待つべきであるという意味です。研究がまとまるには脳の中で、それなりの熟成する時間が必要です。熟成期間が終わると、書くべきものが見えてくるはずです。論文をまとめるのが苦にならなくなってきます。しかし、「失意泰然」に対して「得意淡然」とあるように、事が順調に運んでいる時は、奢らず、慎ましい態度で、ひたむきに質の良い論文にまとめてください。晴れて審査のある世界的な学術雑誌に公表されるときの爽快感は、悩み抜いた本人だけが体験する喜びなのです。
  二点目です。先ほど研究とは「失意泰然・得意淡然」の繰り返しだと申し上げましたが、やはり、博士課程を3年間で修了して、課程博士として学位を取得する決意をしてください。職を持ちながら研究することのたいへんさはよくわかるのですが、敢えて3年間で修了して下さいと言わせていただきます。博士の学位取得は、一人前の研究者としての出発点であるとよく言われます。博士の学位は、その方の研究能力を保障するための、基本的・客観的な指標である意味合いが強いのです。つまり指導者がいなくても、一人で研究を進め学術論文としてまとめていく能力があると見なされるのです。ですから、博士学位取得後は、さらに実践研究を深め、充実した学術論文を世に公表していかなければならないのです。今の皆さんには、なかなか想像しにくいかもしれませんが、このような意味からも、博士課程で5年も6年も停滞している余裕はないのです。
  三点目が研究倫理です。教育系・文系では必ずしも当てはまりませんが、医学・理工学系の研究者は日々、競争にさらされています。少しでも多くの論文を書き、有名な研究雑誌に掲載することは、研究者の使命になっています。このような状況で、ついつい焦ってしまい、研究論文の改ざん、盗用、剽窃、という、あってはならないことが起こってしまうようです。もしこのようなことを行えば結末は悲惨です。教育系・文系の研究者の中でも、実際にこのようなことが起こっています。アイデアが出てこない、調査分析が思うように進まない。こんな時、もし、悪魔のささやきに耐えきれなくなった時は、きっぱりと自分は研究の世界には縁がなかったと自戒し、場合によっては身を引くことです。どうぞ、先に申し上げた「研究には熟成期間が必要だ」ということを思い出してください。
  以上、三点申し上げました。本研究科では、他講座の学生どうしがコミュニケーションを図るための取り組みが用意されています。学生が進んで参加できる研究プロジェクトでは、海外での研究発表も可能です。また、4大学の学生が一同に会するセミナーがあります。どうぞ積極的に参加し、発言するようにしてください。研究に行き詰った時に、相談に乗ってもらえる相手がすぐそばにいるということは素晴らしいことです。
  どうぞ、皆さん御一人御一人が本格的に研究に取り組み、博士の学位取得を目指して励んでください。皆さんの健闘を祈念いたしまして式辞といたします。

平成29年4月8日
国立大学法人 兵庫教育大学長 福田光完

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