小学生のスマートフォンを利用した漢字学習における自覚できない学習効果の可視化とフィードバックによる意識変化の測定 学校教育研究科教育実践高度化専攻 グローバル化推進教育リーダーコース・准教授 川﨑 由花

研究計画・方法

(1)研究代表者・分担者の相互関係

研究代表者と分担者の岡山大学寺澤隆文教授,就実大学原奈津子教授は,かねてより記憶研究の立場から学習効果を検討する共同研究を行っている。それらの研究結果を踏まえて本研究計画に至った経緯から,この3名の連携による本研究体制は妥当であると言える。また,寺澤教授は,『マイクロステップ計測法』を発明し国内・国際特許を取得している(日本:第3764456,韓国:第737363 号)。したがって,マイクロステップ計測法を使って実験を行い知見を得る研究手法の性質上,3者の知識・実験技術を集結した協働が必要である。

 明石市立二見小学校には,本学の教職大学院で学ばれた教諭の先生もおられ,本学の研究活動に理解を示してくださっている。また,全校をあげて学力向上に取り組んでおられ,本研究の趣旨にご賛同いただけたため,今回の実践研究にご参加いただくこととなった。

 明石市立の小学校で実践研究を実施させていただくためには,明石市教育委員会の支援が必須であり,また,研究代表者川﨑,および,分担者楠本のかつての同僚が委員会に在籍していることから,ご協力を仰ぐこととなった。

研究計画

 本研究は平成28年度内に終了する1年計画で実施する。主な活動内容は図3のとおりである。

実験方法

1.参加者:明石市立二見小学校第6学年2クラス(約70名)
2.場所:明石市立二見小学校教室
3.時期:平成28年9月~平成29年1月
4.学習媒体:『マイクロステップ計測法』によりスケジューリングされた漢字の読み教材を搭載したスマートフォン。校内LANの設定により,インターネットアクセスに制限をかける。
5.方法:週2~3回,朝学習の時間を利用して5分~10分程度,漢字の読みの熟知度を答える形のドリル形式で,各児童のペースで行う。休み時間,放課後にも希望者は自主学習をする。学習終了後,送信ボタンをクリックし,データを送信する。1日の終わりにはスマートフォンを補完ボックスに戻し,充電をする。
6.集計・分析:補助員を採用し,学習成績の集計・分析を行う。同時に,意識変動の分析をする。
7.フィードバック:分析結果(紙媒体)を二見小学校に郵送し,教師から児童に直接手渡す形でフィードバックする。児童には保護者にも見てもらうよう伝える。

(2)主要設備

明石市立二見小学校の教室で実験を行う。データの集計・分析,フィードバック資料作成に補助員を採用,70時間×820円=57,400円。データ分析は研究分担者の岡山大学寺澤教授研究室の設備を借用して行う。スマートフォンは他の研究で使用したものを借用し,設定のみ本研究用に変更し使用する。

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