小学校の勤労観・職業観を育む教育プログラムの開発及びその有効性の継続的・実証的研究―係活動の指導を通して― 教育実践高度化専攻 生徒指導実践開発コース・教授 古川 雅文

研究目的

(1)小学校における勤労観・職業観の育成については、これまで発達段階に即して計画的・組織的に指導が行われてきたとは言い難い現状が見られたが、今次の小学校学習指導要領において、勤労観・職業観の育成が付記され、小学校においても組織的・系統的に計画していくことが示された。
 このことを踏まえ、本研究はこれまでの自主的研究を継続して行うものであり、本研究では、小学校での勤労観・職業観を育む教育プログラムの開発、指導法の工夫を行い、その有効性を実証的に究明する。また、小学生・大学生を対象に小学校における係活動の実践状況、そこでの勤労観・職業観に関わる意識調査を実施し、課題等を明らかにし、研究や指導に資するようにする。
(2)本研究は他に先行的な研究の少ない小学校における勤労観・職業観の育成を図る教育プログラムの開発を取り上げ、その有効性を継続的に実証する学術的、独創的な内容となる。先行的な研究に該当する。
(3)本研究は今次の小学校学習指導要領の付記内容に基づいて、各小学校においてはこれから計画的・組織的に取り組まなければならない勤労観・職業観の育成プログラム開発(指導計画・指導内容・指導方法・評価等)であるので、小学校における研究や実践に資することのできる有益な研究となる。
 研究成果は小学校から計画的に勤労観・職業観を形成することの指針・方策となるので、今日の産業・ 経済の急激な変化、雇用の多様化・流動化の問題を抱える社会の期待にも応える事ができる。

(経緯・背景)

 平成20 年1 月、中央教育審議会から「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」(答申)が出され、学習指導要領改訂の方向が示された。この中においてもキャリア教育の重要性があげられ、小・中・高等学校を通じて、組織的・系統的に計画していくことが必要となってきた。
 この背景には、今日、学校から職業への移行プロセスに問題を抱える若者が増え、社会問題ともなっていることがある。 したがって、一人一人が「生きる力」を身につけ、主体的に自己の進路を選択・決定できる能力やしっかりとした勤労観・職業観を身につけ、社会人・職業人として自立していくことができるようにするキャリア教育の推進が求められているところにある。
 しかし、この点、小学校においては、これまで勤労観・職業観の育成を教育課程に位置づけ、意図的・計画的・組織的には指導してきたとは言い難い現状にあった。
 そこで、本研究では、小学生の勤労観・職業観を育むために係活動を研究対象に取りあげ、その教育プログラムを開発したいと考えた。また、開発した教育プログラムの有効性を実証的に究明するため、小学校教員18名の協力の下に共同研究を継続して推進する。
 現在、本研究の前段階部分を自主的な研究として取り組んでいるので、今回の研究は継続的・発展的な研究内容となる。

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