危険行動防止および積極的健康のための包括的生徒指導マニュアルの開発-ライフスキル教育の実践を通じた理論的基盤の再構築と実践の集約- 人間発達教育専攻・学校心理・発達健康教育コース・教授 西岡 伸紀

研究計画・方法

【平成25年度】
 現在のところ、「用法依存モデル」を小学校英語に応用した研究事例がないので、まずは共同研究者の間で検討会を開催し、小学校英語仕様のモデル構築を図る。共同研究者には「用法依存モデル」の基本文献 Constructing a language.(Tomasello, 2004)の監訳者(申請者も共訳者)であり、英語学・心理言語学の専門家(辻幸夫教授)と、小学校国語科教科書(光村図書)の執筆者(森山卓郎教授)を迎え、その会議のための旅費・宿泊費(東京往復+宿泊、3回分)を計上した。
 「用法依存モデル」によれば、英語母語話者の言語習得において<一語相当表現>→<軸語スキーマ>→<項目依拠構文>→<一般構文>という発達過程が示されているが、小学校の英語学習において、どの部分が重要で、どの部分に問題があるかを調べるため、児童による実際の発話データを分析する。分析するデータとしては、岡本真砂夫教諭(姫路市立城東小学校, 本学大学院生)が実践授業において研究目的で収集した発話データを部分的に利用することとし、すでに了解を得ているところであるが、そのほか、高濱雄大教諭(加古川市立加古川小学校, 本学大学院修了生)の協力を得て、あらたに小学校でのデータを収集する。その方法は、普通教室における外国語活動での児童の発話観察およびコンピューター教室でのUSB型ICレコーダーによる発話収録を通してデータ収集を行い、全体的な傾向と個人差を分析する。
 子どもの言語学習において汎用性の高いモデルには「用法依存モデル」のほか「比喩的拡張」があり、これによって、比較的単純な原理で意味用法を拡大していくことが知られていることから、児童の語彙力を高める手段としての活用の可能性を探る。用法依存モデルが有効に働くためには視覚や聴覚から入る言語外的な情報を豊富に与えることが要件であり、その情報は、日常的なものである必要がある。そこで、動画や静止画を含んだ視覚教材を試作して、児童の理解度を調査し、その結果を見据えて、翌年度に本格的な教材の作成に移行する。動画の収集と編集およびコンテンツ作成のための経費を計上している。
 これらの作業を並行して、学校現場の現状と噛み合わせるため、研究協力者として、本学大学院を修了した現職教員らと適宜意見交換を行い、分析結果と児童の理解力との整合性を精査する。このため、大学の規定に基づく謝金(2時間×5,000円×6回×4人)と授業視察のための旅費(姫路市4,000円×2回+加古川3,000円×2回)を計上している。

【平成26年度(予定)】
 平成26年度は、平成25年度におけるデータ分析に基づいて、具体的な教材を作成する。「用法依存モデル」と「比喩的拡張」の有効性について、データ分析や実際の授業とのフィードバックにより、観点の見直しや解析の精査を図る。最終段階では、どのようにして児童生徒にプレゼンするかという観点から、電子媒体による視覚的教材ファイルを提供できるようにする。

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