兵庫教育大学 特別支援教育モデル研究開発室

事業報告

2014年度 海外動向調査

Link Primary School訪問記(イギリス)

 2014年06月25日、ロンドンにあるLink primary schoolを訪問した。

1.学校の概要

 スピーチ言語障害に特化した学校で、75%が自閉症スペクトラム、25%がある種の言語障害、感覚障害とのことであった。在籍児童数は40人、全5クラスで各クラス8名の小規模の学校である。

2.協働とそれを支える仕組み

 訪問した少し前にオフステッドの監査を終えたばかりで、すばらしい学校との評価を得たとのことであった。校長先生に、「良い学校を作る秘訣は?」と尋ねると、学校全体として、スタッフが協働して働くことを目指しており、これを可能にするシステムを作っているとのことであった。具体的には、週に2度、全教職員での朝食ミーティングがあり、そこで方針や週の課題等について情報交換され、クラスミーティングはクラスに関係する全スタッフで毎週開催し、方針等について確認がなされている。これらのミーティングには、NHCから派遣される複数名の作業療法、言語療法士も参加しているとのことであった。
 教職員同士の連携と同様に、保護者と協働することも重視しており、保護者と協働して教育を進めないことには成果も生まれないので、保護者とのコミュニケーションは密にとるようにしているとのことであった。

3.一斉指導の場面

 言葉「grow」に関する授業場面を見学させていただいた。教師は、正規教員と言語療法士の2名であった。8名のクラスであったが、課外活動と重なり、この日は児童3名のみであった。growという言葉が含む、植物が育つ、人が成長するという複数の意味を教えようとしているようであった。
 教室前面の大型スクリーンにはスマートボードが映し出され、「植物が育つ」、「人が成長する」様子がイラストで示され、それをもとに正規教員が説明し、本読みがなされていた。言語療法士からは、お盆程度の大きさのトレイの上に、スプレー缶から出されるムースのようなものに絵の具を混ぜた教材で、花、茎、葉を描いていた。これは、ムースの中に花の絵を描き、花に関する言葉を児童から引き出すことをねらった活動であった。
 また、一人の児童に対しては、児童の手元でのスケジュール提示、スマートボードと同じ内容を児童の手元に配置されたパソコンでみられるように配慮されていた。

4.個別指導の場面

 1対1での言葉の学習を見学させていただいた。音韻に対する意識を育てることをねらいとしていた。児童が理解したかどうかを確認するために、教師が発音した単語を児童に綴らせる活動の中に、音韻の規則に則った、でも現実には存在しない言葉を入れておき、理解できているかどうかの確認をするとのことであった。

5.まとめ

 Link Primary Schoolに限らず、ロンドンの学校を訪問して印象的だったのは、多くの授業において、教師が常にノートを脇に置いて、生徒が発した言葉を記録していることであった。授業ごとのねらいが明確であるからこそ、教師が見るべき視点が明確になり、記録も可能になってくるということなのだと思う。さらに、この記録をもとにして、正確な情報に基づいた教師間でのミーティングと次の手立て目標設定につながっていると感じた。