兵庫教育大学 特別支援教育モデル研究開発室

事業報告

2014年度 公開講座

「カフェ・リエゾンⅤ」報告
「子どもの創造力にスイッチオン~インクルーシブ教育へ向かって~」
を開催しました。

 2月19日(火)、今回のカフェ・リエゾンでは、子どもの創造力を育むワークショップを民間で展開している石戸奈々子さんをお招きしました。石戸奈々子氏はNPO法人CANVAS理事長、株式会社デジタルえほん代表取締役であり、子どものためのワークショップや、デジタルによる新たな学びの創造を提案し、テレビ、雑誌をはじめマルチに活躍しておられます。

 今回は「未来をつくるのは 子どもの創造力と想像力」と題して、自身が取り組んでこられた子どものためのワークショップやこれからのICT教育のありかたについて語っていただきました。

 石戸氏は21世紀を生きていく子ども達に身につけてほしい力を世界中の多様な人たちとコミュニケーションし、協同でものを創る力ととらえ、そのために新しい学びの環境を創る仕事にかかわってこられました。子ども達の主体的協同的創造的な学びの場であるワークショップコレクションは開設当時500名の参加でしたが、現在では10万人が参加するイベントとなっています。石戸氏は長崎、仙台など日本各地でワークショップを開催し、地域でもそれぞれの特性に合わせた形で学びを創っていくことが大切と語られました。

 モデ研室長宇野教授とのトークセッションでは、石戸さんの活動のモチベーションになっているものが、活動の中で子ども達が見せる大人にはない表現であり「感じる、考える、つくる、伝える」をテーマに自分が創ったものを発表する機会を大切にしているとのお話がうかがえました。評価するポイントとして結果だけではなく過程もしっかり認めていると話されたことも印象的でした。大人はファシリテーターとして子ども達をよく見ておくことが大事ということでした。ICTについては、デジタル教科書をいれるメリットとして、創造・共有・効率というキーワードが語られ、教師の役割として知識を教える人から学習環境をデザインする人への転換が必要とのことでした。

 宇野教授から特別支援教育の視点からも、子どもたちの学びの過程を見ることや、どう意欲を持たせるかが大事という提案があり、学校が多様な学びの場として創造的、創発的な学びを提供していく必要があるということが語られました。
インクルーシブ教育へ向かおうとする今日の教育に新しい視点を与えていただける対談となりました。

 

「カフェ・リエゾンⅣ」報告
「武士道に学ぶリーダーシップ~教育現場にイノベーションを!~」
を開催しました。

 今回のカフェ・リエゾンでは、武士道の考え方に精通しておられる堀辺正史先生(日本武道傳骨法創始師範)に、ビデオ出演という形で参加して頂き、武士道の観点からリーダーシップとその人材育成の話をして頂きました。また、対談の中では、リーダーに求められる力量や、如何にしてリーダーを養成するかについて活発な議論が行われました。例えば、リーダーに求められる力量の話では、「結果に対する責任」という言葉が度々出現し、「『結果に責任を持って精進することが、最終的には自分の人生を豊かにする』という考えを持ち、努力することが重要である」等の考えが導き出されました。リーダー養成の話では、「意味のあることを成したか否かで個人を評価するシステムも重要である」といった現在の評価の在り方を問い直す議論が行われました。この他、対談の途中には、参加者から多くの質問が寄せられ、活発な質疑応答が行われました。

 

「セミナール・リエゾンⅣ」報告
「コミュニケーション力を育む演劇ワークショップ」を開催しました。

 10月23日(木) 、本学総合研究棟3階大会議室において、東京藝術大学アートイノベーションセンター特任教授 平田 オリザ氏を招いて、「コミュニケーション力を育む演劇ワークショップ」と題し、“セミナール・リエゾンⅣ”を開催しました。

 平田先生は、劇作家・演出家として様々な分野でご活躍されており、教育分野においても教科書の教材開発や学校でのワークショップ等も行っています。一昨年11月は神戸国際会館8階セミナーハウスに招いて、“カフェ・リエゾンⅡ”「演劇というコミュニケーション」というテーマで、中西正治先生(兵庫県猪名川町立六瀬中学校校長)との対談をしていただきました。対談では、コミュニケーション力の捉え方や、コミュニケーション力の育成に「演劇教育」が果たす役割について活発な議論が交わされました。

 2回目となる今回は、後期の大学院・学部授業と連動して授業の前に演劇を体験してみるという趣旨で、普段、平田先生が取り組んでおられるワークショップの題材をもとに、30名が実際に演劇を実践するというワークショップを行いました。前半は体を使ったコミュニケーションゲーム、後半は短い台本を用いて実際に役を演じながら演劇に触れる機会となりました。また、平田先生からは、教育関係者へ向けて、小学校での教科教育のあり方やフィンランドにおける多様性をふまえた教育の動向についてのお話も伺うことができました。

 

「カフェ・リエゾンⅢ」報告
「こう進めたい!学校現場のインクルーシブ教育システム」
大西先生 VS 樋口先生

 7月15日(火)本学附属図書館ライブラリーホールにおいて、カフェ・リエゾンⅢ「こう進めたい!学校現場のインクルーシブ教育システム」を開催しました。 文部科学省が進めるインクルーシブ教育システム構築事業について理解を深めようという趣旨で、前文部科学省特別支援教育調査官である特別支援教育コーディネーターコース教授の樋口一宗先生と、前小野市教育委員会学校教育課長である教育実践開発コース教授の大西義則先生とが、国と市町村それぞれの立場から見解を述べ合いました。当日は、本学学生、大学院生の他、大学関係者や地域の教育関係者など、50余名の参加があり、インクルーシブ教育への関心の高さがうかがわれました。

 樋口先生は、国の立場からみたインクルーシブ教育の理念と支援の仕組みについて、基になる法律を提示しながら丁寧に説明されました。これに対して大西先生は、インクルーシブ教育を実現する上で市町村や現場が抱いている疑問を提示されました。

途中、宇野室長が対談に乱入するというカフェ・リエゾンらしいハプニングも交えつつの、和やかな対談となりました。まだまだ時間が足りない思いではありましたが、インクルーシブ教育の意義と課題について、理解を深めることができた90分でした。

 

「セミナール・リエゾンⅢ」報告
村上公也先生を招いて“セミナール・リエゾンⅢ”の開催

 6月25日(水)本学附属図書館ライブラリーホールにおいて、村上公也先生を講師に迎え“セミナール・リエゾンⅢ”を開催しました。
 村上先生は京都市の小学校で特別支援学級担任として長く勤務され、2009年3月にご退職の後も、京都市内の特別支援学校や特別支援学級で指導・助言を行っておられます。  また神戸大学大学院准教授、赤木和重先生と共に「楽しい授業」「子どもたちの自主性を引き出す授業」について全国で「キミヤーズ塾」を主催、毎回多数の参加者に好評を得ています。 昨年10月に村上先生をお招きして「セミナール・リエゾンⅠ」を行ったところ第2弾開催を希望する参加者の声が多く、その声にお応えしての開催となりました。

演題は「笑顔・考える・つながるーイキイキ・キラキラ・ルンルンの巻」で、村上先生は外界とかかわること、人とかかわることが面白い、楽しいと思える子に育てるために、教師も楽しみながら授業を工夫し続けることが大切と熱く訴えられました。
 講演の中では、村上先生の実際の授業風景のビデオが写され、子ども達が主体的に楽しく学んでいる様子がよくわかりました。何十本もの指し棒を使って、子どもたちがやらされるのではなく、楽しんで反復練習をする様子や、意味を体験的にとらえたり、創作熟語を考えたりしながら、漢字を覚えていく様子に、会場は笑いに包まれながらも「授業で勝負する」という村上先生の思いを受け取ることができたのではないかと思います。
 また、子どもに敬意をはらいつつ、自分自身も子どもから本当の敬意をもらえるように「魔法の実験」と題した、アッと驚く実演も行っていただきました。これは、参加者へのお土産にもなりました。村上ワールドともいえる様々なアイデアや工夫に参加者から驚きや感嘆の声が上がり2時間半の講演時間があっという間に過ぎていったように感じられました。