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 平成29年度大学院学校教育研究科学位記授与式式辞(昼間)

  暖かい春の陽射しを日増しに感じる今日、この佳き日に、ご来賓各位のご臨席を賜り、兵庫教育大学・大学院学校教育研究科の平成29年度学位記授与式を挙行できますこと、本学を代表して心からお慶び申し上げます。212名の修了生の皆さん、誠におめでとうございます。
  皆さんは、本学に入学以来、日々勉学に励まれ、本日無事、学位を取得するという晴れの日を迎えられました。教育機関からの派遣で学ばれた教員の方々、あるいは修学休業制度を利用して学ばれた教員の方々、大学を卒業して入学されたストレート院生の皆さん、また、社会人を経験して学ばれた皆さん、各人の経歴や目的は違っているとしても、この2年あるいは3年間を振り返ると、楽しかった時あり、苦しかった時ありと、それぞれ感慨深いものがあることでしょう。年齢や社会経験が異なっていても、同じ大学院生という立場で学ぶ仲間どうしの語り合いを通して、大切な友人と出会われたことでしょう。また、何よりもご家族の理解、或いは職場の同僚の方々の理解にも改めて感謝されていることとお察し申し上げます。
  本学の大学院第一期生が修了した1982年3月以来、これまでの大学院修了生は皆さんを含めると9656名となります。本学は我が国における新構想の大学院として、まさにゼロからのスタートであったわけですから、9600人を超える優秀な修了生を輩出するまでに成長したことは、本学の誇りとするところであります。今日、皆さんの先輩にあたる本学修了者は、全国の学校現場、教育機関で広く活躍しており、各方面から、高い評価を頂いております。誠に喜ばしい限りであります。
  今、教員養成の在り方は大きく変化しています。都道府県と政令市の教育委員会では、教員養成に関連する大学と協力して、育成協議会を開き、育成指標を定めています。既に兵庫県でも資質向上指標としてキャリアステージに応じた指標が示されています。教員の養成・採用・研修の流れの中で、国立の教員養成系大学・学部は、高度専門職業人としての教員養成のみならず、現職教員の研修の機能を強化することが求められています。本学は開学以来、全国レベルで教員の研修を担う中心的な大学ではありますが、さらに研修機能を強化するため、来年度、教員養成・研修高度化センターを設置します。将に、本学のビジョンである「教師教育のトップランナー」を極める存在となることを願っております。
  さて、話は変わりますが、現在、ビッグデータや人工知能AIに関するニュースが日々伝えられ、良きにせよ悪しきにせよ、今後の社会の変化を予感させます。教育の現場でも、これらのテクノロジーは徐々に浸透し始めています。
  国立情報研究所の新井紀子教授のグループは、東大合格を目指す人工知能、東ロボくんを開発し、すでに全国の国公私立大学の7割近くまで合格可能性があるレベルに達しています。確かに、知識を主に問う、問題であれば、AIが得意とするところです。しかし、この人工知能プロジェクト研究から得られた、非常に重要な結論はもっと教育の根本にかかわることです。それは、生徒とAIの読解力の違いを比較するために、全国の中学生・高校生を対象として、教科書ベースの読解力調査を行った結果、中学校卒業段階で、教科書の意味を十分理解できていない生徒が、半分以上に達したという、驚くべき結果が示されたということです。これからの社会を生き抜くうえで、教科書が読める、正しく理解できるということは、実は子供の未来を左右する大きなファクターであるというのです。つまり、東ロボ君プロジェクト研究の結果として、「子供たちが身に付けるべき力」とは、文章を読み、正しく理解する「リーディング・スキル」であるということです。
  ですから、いくらテクノロジーが進歩しても、児童・生徒にとっての、「変ってはならないもの」と、社会や時代の流れで「変わっていくもの」をしっかりと区別していただきたいのです。「変ってはならないもの」とは、人間は家庭や学校における豊かな人間関係の中で、会話や文字文化を通じて成長するという至極当たり前のことだと私は考えます。そのためには、規律正しい家庭生活、学校生活をベースとし、それぞれの児童生徒に適した学習環境が与えられている必要があります。実は、今、SNSや貧困等の原因で学習環境が脅かされている子供たちが、たくさんいることを忘れないでいただきたいのです。
  現在、教員の働き方改革の議論が進んでいます。その一方で、学習指導要領の改定の度に、新しい課題が取り込まれ、授業時間が確保できない等、業務が満杯の状況です。これでやっていけるのだろうかと不安に感じておられる方も多いと思います。しかし、一方で、教員は、やりがいのある仕事であることに変わりはありません。
  特に、社会が大きな変革時である現在、何よりも教育が重要であるというのは社会の一致した意見です。「人づくりは国づくり」として始まった教育再生実行会議は、数年を費やして昨年までに合計10回の提言を行っていますし、次々示される中央教育審議会の答申を見ても、教育に賭ける国の姿勢が明らかです。もちろん国の示す方向性は大事ですが、すぐに対応できない課題もたくさんあります。働き方改革の業務削減にしても、一律の削減ではなく、それぞれの地域や学校、教職員に適した業務削減であるべきです。子供たちへの教育を考える上で、増える業務と減らす業務のバランスをどうとるのか。先ほど申し上げた、「変ってはならないもの」を堅持した上で、これらの困難な問題の解決に、本学修了生は果敢に挑戦して欲しいと願っています。
  最後に、修了される皆様、御一人御一人が自らの可能性を信じて挑戦し続け、その成果が、職場の上司や同僚だけでなくご家族、ご友人に希望と喜びを与えることを祈念して、学位記授与式式辞といたします。

平成30年3月23日  兵庫教育大学長 福田光完

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