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平成31年度大学院学校教育研究科(昼間)入学式式辞

国立大学法人兵庫教育大学大学院学校教育研究科昼間クラスの197名の皆さま、ご入学おめでとうございます。大学を代表いたしまして、心よりお祝い申し上げ、また歓迎いたします。

本学の大学院は、さまざまな特色を持っておりますが、その一つは入学生が非常に多様であるということです。伝統的に本学は、現職の先生がたくさん学びに来ております。現職の先生の中には、派遣で来られている方、就学休業制度を利用して来られている方がおります。また、これから本学大学院で学んで教師になろうとしている方、あるいはカウンセラーなど心理専門職になろうとしている方がいます。さらには、大学を卒業後、いったん民間会社等で働いておられて、さらに大学院で新たな学びをして、次のステップを考えておられる方がいます。もちろん、外国からの留学生もたくさんいます。このように入学者が非常に多様であることが大きな特色です。

いずれにいたしましても、皆さん全て、人生の次のキャリア、職業人生のステップアップを目指して、大学院に来られたことは間違いないところです。皆さまの次の人生のステップアップにつながるような学びを、大学院でやっていただきたいと思うところです。われわれもそれに精いっぱい応えるように努めてまいります。

そこで私としては、そういう皆さまに対して、大学院での学びの在り方の基本のようなことを三つほど述べてみたいと思います。

一つは、今お話ししたように、非常に多様であるという特色を持っておりますから、この多様性を生かすことです。それは何かというと、皆さんそれぞれコース等に所属されて、自分が選ばれた専門の勉強をされると思います。ぜひそれを一生懸命やってください。同時に、自分のコースの中、あるいは他のコースの中に、自分とは違った経歴の持ち主がおられるはずです。例えば現職の先生にとっては、これから教員やカウンセラーになられる人がいるわけです。そういう方々との交流をぜひやってください。

現職の先生方は修了後、何を期待されるかといいますとリーダーになることです。リーダーにとって最も大事な役割の一つは、人材育成です。皆さんがリーダーとして若手人材を育成しなければなりません。自分とは世代が違いますので、若手というのは特性がだいぶ異なっています。皆さんが本学で接する、これから教職を目指そうとする学生は、まさしくそれに当たります。ですから、自分にとって人材育成の力量が身に付くと考えていただければよろしいと思います。

逆に、これから職に就こうとする学生にとっては、いうまでもなくお分かりになると思いますが、自分の志望する職の先輩がおられるということです。そういう方との付き合いというのは、常に臨場感を持った学びができることになります。ぜひそういうことを心掛けていただきたい。

二つ目は、大学院での学びは主体的でなければならないということです。もう少し分かりやすくいうと、学部段階では、どちらかといえば受け身的な学びをされたのではないかと思います。例えば授業でも、あるいは卒業論文を書く際でも、指導教員にかなりの程度依存することがあったと思います。もちろん大学院でも、指導教員と密接な付き合いをしていただきたいと思います。ただし、あくまでも指導教員は自分のコーチです。学びは自分が主体的にするものであって、コーチをうまく活用するという発想を持っていただきたい。

依存され過ぎるとコーチする側も非常に困りますし、依存した学びというのは深まりが足りません。あくまで自分で計画を立て、自分の課題意識でもって、指導教員とうまく付き合いながら学んでいくことに努めてください。依存していますと、指導教員との関係が不幸にしてうまくいかなくなったときはかなり厳しい状況になりますので、ぜひ自分の主体性を失わないようにしていただきたい。

このことは、同僚との関係についてもいえるわけです。先ほど申し上げたように、非常に多様な学生がおりますので、お互いの学び合いをする、協力した学び合いをするということは非常に意味があります。ぜひそれは先ほども申し上げたように努めていただきたいのですが、同時に必ず同僚は自分より進んでいるように見えますので、その時焦らないようにしてください。必ず自分の目的、課題、あるいはペースで学ぶ姿勢を崩さないようにしていただきたい。一定水準の学びに到達すれば必ず修了できますので、そこは、ぜひ自分で自信を持って進めていただきたいと思います。

最後に三つ目です。これが一番述べたいことですが、皆さんお分かりのように、学びは大学院で終わりではありません。大学院では、次のステップにつながるような学びをしていただきたい。修了後も学び続けるための学びをしていただきたいということです。修了した後、学び続けるための学び方を学んでほしいということです。非常にややこしい言い方をしていますが、具体的に言うと、統計調査の方法を学ぶのがいいと思います。それから、事例研究等の質的な調査方法もぜひ学んでください。

さらには、先ほども申し上げたように、学びは一人でするだけではなく、他の方々と協力して学ぶ、協働して学ぶ、これが最も効果的なわけです。初等・中等教育において主体的、対話的で深い学び、すなわちアクティブラーニングがいわれています。われわれ大人の世界、大学院の世界でも、アクティブラーニングの有効性は同じです。ぜひアクティブラーニングの方法を学んでいただきたいと思います。これは皆さんが教壇に立ったときに指導法として活用できるだけではなく、皆さんが自分で学ぶための手法にもなり得るということです。

これからは、いわゆるPBL(problem based learningまたはproject based learning)のような学びのスタイルが主流になると思っています。つまり、実際の社会にある課題を見つけて、その課題解決のために皆で協力して学び合い、解決策を生み出すような手法です。このPBL手法をぜひ学んでいただきたい。

さらに、われわれにはこれまで経験したことのないような世界が待っています。それは何かというと、最近よく聞かれると思いますが、いわゆるSociety5.0というものです。このSociety5.0が何かは申し上げませんが、Society5.0に対応するためには、誰一人例外なく、ある程度人工知能(AI)について分からなければなりません。さらに、教育者にとってはエデュケーションとテクノロジーの合わさったEdTech(エドテック)も、一定程度学ばないと、多分、学びが続けられないのではないかと思ったりもします。ぜひそういうところにも目を向けていただきたい。

今申し上げたいろいろな学びの方法は、皆さんが専攻された本学のコースのカリキュラムで提供されることもあると思います。ただし、必ずしも十分ではないかもしれません。そこは皆さんが自由な時間を活用して、自ら進んで、さまざまなところに学びに出掛けてください。それもまた大学院の学びの一つであると思っています。時間を有効活用してください。

以上3点申し上げ、私のお祝いのごあいさつにしたいと思います。皆さまが今後、本学で学びを深めることを祈念します。おめでとうございました。

平成31年4月3日 兵庫教育大学学長 加治佐哲也

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