入試情報 大学紹介

学部・大学院

キャンパスライフ 国際交流
search資料請求menuclose

平成31年度学校教育学部入学式式辞

国立大学法人兵庫教育大学学校教育学部171名の入学生の皆さん、本当におめでとうございます。大学を代表いたしまして、心からお祝い申し上げます。保護者の皆様、たくさん参列いただき、数ある大学の中から本学をお選びいただきまして、本当に感謝申し上げます。この4年間、お子さまの育ちと学びをぜひ見守っていただきたいと思います。同時に、われわれ大学とも末永いお付き合いを、これを機会にさせていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、171名の入学生の皆さん、皆さんはほぼ全員の方が教師になられることを目指して本学に入学されたと思います。教職は本当にやりがいのある素晴らしい仕事です。この4年間でしっかり学んで、ぜひその夢、目的を実現してください。私はこれから、そういう皆さんに三つほど述べたいと思います。

一つ目です。よく聞かれる言葉だと思いますが、今、そしてこれからは、さらにグローバル社会になります。皆さんは、教師になって子どもたちをグローバル社会で生きられる人間に育てなければならないのです。グローバル社会では、外国との交流が非常に盛んになります。皆さんも、あるいは皆さんが教えている子どもたちも、仕事などさまざまなことで外国に行く機会が増えると思います。それだけではなく、われわれの周りには外国の方がたくさんおられます。地元加東市でも、ベトナムをはじめ外国の方がたくさん増えているそうです。そういう方々のお子さんが学校に入学して、皆さんがそういう子どもたちを指導するという環境になってきています。

そういう環境ですので、教師となる皆さんがまずはグローバルな人間になっていただかなければならないことになります。逆の言い方をすると、内向き志向はよくありません。皆さん、この4年間でそこに目を向けていただいて、いろいろな機会を利用して外国に出掛け、外国の方と触れ合うようなことをぜひ心掛けていただきたいと思います。外国への留学サービスを本学はいろいろ持っておりますので、ぜひ利用してください。さらには、大学院を中心に留学生もたくさんおります。そういう方々との交流もぜひお願いしたいと思います。

恐らく皆さんの多くは地元の学校に就職したいと思っておられると思います。大変結構なことだと思います。ただし、地元の教育委員会はグローバルな人間を欲しがります。つまり、地元だけではなく日本国中、あるいは外国の日本人学校に行ってでも教員になろうとするような人材を欲しがるということを忘れないでください。さらに、採用する教育委員会が一番好む人材というのは、よその県に行ってそこで力を付けて地元に帰ってくる先生です。つまり、外も知っていて地元に帰ってきてくれる方が、一番いい教育をしてくれると思うわけです。要するに、外に開かれた目を持っている人間を採用したがることを忘れないでください。

二つ目です。複数の教員免許を持つようにしてください。ご存じのように、少子化が非常に進んできていますし、これからさらに進みます。少子化が進むと何が起こるかというと、学校の規模が小さくなります。例えば中学校では、学級数が6学級を下回ると、全教科の先生をそろえられません。そういう小規模校ではどういう先生が求められるかというと、複数の教科の免許を持っている先生になるわけです。数学だけではなく技術、国語だけではなく家庭、国語だけではなく音楽、間違いなくそういう先生が求められるようになります。

それから、もう一つ大きな背景があります。皆さんの中にも児童や生徒として経験された方がおられるかもしれませんが、小学校と中学校が連結された小中一貫教育が増えています。それがさらに進みますと、9年間一貫の義務教育学校ということになります。つまり、小学校と中学校が一緒になるわけです。すぐにお分かりになるように、小学校の免許だけでは小中一貫校や義務教育学校では通用しません。中学校の免許も要求されます。

また、幼稚園と小学校が連携する幼小連携も進んでおり、そこでは小学校と幼稚園の両方の免許を教員がもつことが望ましいのです。さらに、幼稚園と保育所が一体化した認定子ども園が増えています。認定子ども園では、幼稚園の教員免許だけではなく保育士の資格も必要になります。ということで、ぜひ複数免許を取ることを心掛けてください。

今日は地元加東市の岩根副市長においでいただいています。加東市は認定子ども園、小中一貫校・義務教育学校の方向を明確に打ち出していて、そういう学校の実現に向けて取り組もうとしているところです。お隣の三木市からは西本教育長においでいただいていますが、三木市も今、同じような方向を目指して議論しているところです。地元でもそのようになっていますので、ぜひ複数免許を取るように心掛けてください。本学は今年度から新しい仕組みをつくり、複数免許を取りやすいようにしています。ぜひ複数免許を取るように心掛けてください。これが2点目です。

最後です。皆さんは教師を目指しておられるのですが、実は全国的には、教師を目指す学生が減っているといわれています。幾つかの県や政令市では、小学校教員採用試験の受験倍率が2倍を切っているところもあります。非常に良くないことです。原因は何でしょうか。一つは、いじめ問題であるとか、あるいは教員がいろいろな不祥事を起こすということがマスメディアで大々的に報じられます。こういうマイナス情報が学生によく伝わっているということです。もう一つ、実はこちらの影響が大きいのかもしれませんが、学校はブラック職場である、つまり勤務時間が長い、忙しい職場であるといわれているのです。恐らくこういうことが原因となって減っているのでしょう。他方で、民間企業の就職が非常にいいので、教員を志望していた学生もそちらに流れていることもあるのだと思います。

ところが、いじめ問題にしろ、教員の不祥事にしろ、そういう問題は日本全体の中で見ればほんの一部です。その一部をマスメディアが取り上げて、大々的に報道することになります。ですから4年間の大学生活では、学校の先生が、子どもたちや保護者に信頼されて頑張っているという事例や情報にたくさん接するようにしてください。われわれ大学側も、そういう情報を積極的に提供したいと思います。

それから今、教職員の働き方改革を文部科学省を挙げて、あるいは教育委員会を挙げて進めようとしています。私は、この改革は必ず成功すると思っています。先生の職場環境、働く環境は確実に変わるでしょう。恐らく皆さんが卒業される4年後には、民間の景気が後退するということもあるかもしれませんが、教員志望者は確実に増えていると思っています。

さらに申し上げると、AI(人工知能)、あるいはロボットといったものが発達してきて、いわゆる高度専門職の代表格である弁護士、公認会計士のような職はなくなるという説が結構有力になっています。しかし、そうなっても、教師という職業、教職はなくなりません。ただし、仕事の仕方は変わります。変わりますが、なくなることはありません。皆さんが一生涯を懸けても、十分この職は続きます。それほど教師という職は他に代えられない、社会にとって非常に意味のある仕事だということです。ぜひそういう確信を持って4年間の学びを深めてください。

以上3点を述べまして、私のお祝いの言葉にしたいと思います。皆さんの4年間の学生生活が充実して満足度の高いものになること、教員就職がうまくいきますことを祈念します。どうぞ頑張ってください。

平成31年4月3日 兵庫教育大学学長 加治佐哲也

PAGE TOP