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令和2年度学校教育学部学位記授与式式辞

 学校教育学部163名の卒業生の皆さま、ご卒業本当におめでとうございます。心よりお祝いいたします。

 4年間の兵教大での学業生活はいかがだったでしょうか。最後の1年間について思いが強いのではないでしょうか。私どももそうです。初めてのオンライン授業、そして後期からは対面も入りましたがオンラインも継続しました。これまでになかったことを経験されました。コロナ禍が今後どうなるかは今のところ分かりません。いずれは収束しますが、収束したとしても、学びのスタイルが元に戻るとは考えられません。オンラインの良さが分かりました。もちろん課題もありますが、対面とオンラインを組み合わせるハイブリッド型方式がこれからの大学教育の主流になることは間違いありません。

 また、皆さまがこれからお仕事をされる初等中等教育の学校においても、ハイブリッド型の授業は多くなるでしょう。オンライン授業を受ける側の気持ちとか、オンライン授業の効果的な学び方とか、体験を通してわかったと思います。これからオンライン授業をする側に回りますので、ぜひそこで生かしていただきたい。苦労した経験を次につなげましょう。

 さて、今日は皆さまに「変化への対応力」についてお話ししたいと思います。コロナ禍によって、何が起こるか分からないということを、私も70歳近くになって初めて本当に実感しました。これからもこういうことは起こるでしょう。こうした変化はあらゆる職種・職場に影響を及ぼします。

 教職を例に取ってお話ししましょう。コロナ禍によって、ご存じのように文部科学省のGIGAスクール構想が前倒しされて、今年度内に全ての学校の全ての児童生徒に1人1台の端末が行き渡ります。皆さまがこれから学校に行かれたら、子ども1人に1台の端末が用意された世界が現れるのです。日本の学校教育の長い歴史の中で初めてのことです。黒板とチョークの世界はなくなるかもしれません。ものすごい変化です。

 ということは、全ての教師に、あらゆる時間、あらゆる活動において1人1台の端末を活用することが求められるのです。デジタル教科書はもちろんです。一人一人の子どもの学びの軌跡が全て蓄積できます。蓄積されたデータを基に先生が分析して、一人一人の子どもに合った学びをつくることができるようになります。個別最適な学びです。

 さらに、一人一人の学びのデータが学級単位、教科単位、学年単位、学校単位で集積されて、それをAIが分析することが起こります。先生方は、蓄積され分析されたデータを基に自分の授業を改善する、学年の運営を改善する、校長先生は学校運営を改善する、そういう世界になります。データの扱い方やAIに対する一定の知識やスキルが教師に求められることになります。これまでになかったことです。

 他にもさまざまな変化が起こるでしょうが、こういう変化は科学技術の発達によって必然的にもたらされたものです。これから逃れることはできないのです。ですから、そういうふうに考えてこれに前向きに取り組んで、子どもたちのためにICTを効果的に活用した授業をつくるようにしてください。

 皆さんも聞かれたことがあると思いますが、AIの発達・普及によって定型的な仕事、つまりパターンが決まっている仕事は、将来、かなりなくなるといわれています。しかしながら、子どもの学びを創るという、創造的な仕事をする教師という職業はなくなりません。ただし、先ほどから申し上げていますように、仕事の仕方が変わるのです。新しい仕事の仕方を身につけていかないと、変化はこれからも起こりますので、教職を全うすることは難しいのではないでしょうか。

 皆さまの進路は、教職が一番多いです。1年目の初任のときや2年目、そういう経験の浅いときに困難に直面することが多いといわれています。その際、抱え込まずに大学時代の仲間とか、大学で指導を受けた先生などに積極的に相談してください。

 正規採用ではなく、臨時的な採用で常勤・非常勤として学校現場に入られる方もいます。これまで以上に臨採での経験が教員採用試験で考慮されるようになってきております。ですので、経験が生きますので、そういうつもりでぜひ頑張ってください。

 民間企業等に勤められる方もおります。それぞれの職業でぜひ頑張っていただきたいのですが、皆さまは教員免許を持っております。今、必要とされているのは、教職員の集団をさまざまな背景を持つ人々によって構成することです。そのために、民間企業等で働いた経験を持つ方を教職に迎えるという動きが出ています。これから文部科学省の中央教育審議会でその議論が本格的に始まります。ですから、教師という道も開かれておりますので、そのことも留意してください。

 本学大学院に進学される方もかなりの人数おられます。教職など高度専門職では大学院修了は標準資格となりますので、さらに学びを積まれて教職や心理専門職の道に進んでください。

 それでは、皆さまのこの4年間の学びが、これからの皆さまのキャリア形成の基盤となることを祈念いたしまして、私のお祝いの言葉といたします。おめでとうございました。

令和3年3月23日 兵庫教育大学学長 加治佐哲也

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