入試情報 大学紹介

学部・大学院

キャンパスライフ 国際交流
search資料請求menuclose

令和2年度大学院学校教育研究科(昼間)学位記授与式式辞

 大学院学校教育研究科修士課程106名、専門職学位課程85名、合わせて191名の皆さま、そして教員研修留学生5名の皆さま、修了本当におめでとうございます。大学を代表しまして心よりお祝い申し上げます。

 皆さまのこの2年あるいは3年の学びはいかがだったでしょうか。特に最後の1年間、すなわちコロナ禍に見舞われた今年度ですけれども、これについてはとりわけさまざまな思いがあるのではないでしょうか。私どもも同様です。オンライン授業が主になりましたし、対面が復活してもオンラインとの混合の形で行われました。

 今後の予測は難しいですが、元に戻ることはないと思います。オンラインと対面を組み合わせたいわゆるハイブリッド型の授業がこれから大学教育の主流になります。ハイブリッド型の授業は、初等中等教育の学校においても間違いなく増えるでしょう。ですので、この経験を前向きに生かしていただきたい。例えばオンライン授業を受ける側の気持ちがよく分かったとか、オンラインで受ける効果的な方法を学んだとか、このようなことを、自分がオンライン授業をする側に回ったときに生かしていただきたい。

 さて、私が今日皆さまにお話ししたいのは、コロナ禍によって私も改めて認識したことですが、変化を正しく理解して学び続けていただきたいということです。例を二つほど申し上げます。

 一つ目の例です。ご存じのように、コロナ禍によって文部科学省のGIGAスクール構想が前倒しされて、今年度中に全ての児童生徒に1人1台の端末が整備されることになりました。これからの学校教育においては、全ての教師が例外なく、あらゆる時間やあらゆる活動において、1人1台端末を前提とした指導をすることが求められるということです。紆余曲折があってそうそうスムーズにはいかないと思いますが、その方向に進むことは間違いありません。

 一人一人の学びや育ちのデータが、それぞれの端末に蓄積されます。一人一人の子どものデータが学級単位、学年単位、学校単位で蓄積され、場合によってはAIによって解析されて、解析結果を基に授業の改善をする、学校の改善をすることが普通に行われるようになるでしょう。そこでは、データを処理する能力・スキルが求められるでしょう。データサイエンスやAIの知識が必要となります。今まで考えられなかったことです。

 二つ目の例です。社会の突然の変化や予期しない変化が起こるといわれていましたが、コロナ禍が本当にわれわれにそれを実感させました。特に子どもたちはそういう中を生き抜いて、社会を支えていかなければならない、人生を豊かにしなければならないのです。そのときに求められるのが、困難に立ち向かってさまざまな課題を解決する能力です。課題解決能力です。これを子どもたちに培うことが学校教育の第一のねらいになっております。この力を身に付けさせるために、いわゆる探究型の学び、PBL型の学びが必要になります。

 この学びをつくる力が全ての教師に求められます。これからも一斉授業がなくなることはないと思いますが、それ以上に、子どもたちが主体的に協働的に行う探究的な学び、PBL的な学びを教師が支援する、ファシリテートする力が必要になります。教師像の転換が待ち構えているのです。

 このような学校教育の変化は、コロナ禍よって早くはなりましたが、偶然で起こったわけではなく、また一時的なものでもありません。社会が変化し、科学技術が発達したからこうなったのです。いわゆるSociety5.0が到来するのです。

 大学院で学ばれた皆さまは、このことを理解できると思います。正しく理解していただかないと、先ほど私が述べました学校教育の変化に対応する新しい能力を身につけることは大変なことですので、それに真剣に向き合うという気持ちが出てこないでしょう。皆さまはそれがお分かりになると思いますので、職場に帰られて仲間にぜひ伝えてあげて、子どもたちの新しい学びのための新しい教師の能力を身につける必要性を語っていただきたいと切に思います。

 AIの発達によって多くの職がなくなるといわれておりますが、教職という職業はなくなりません。ただし、仕事の仕方が変わるのです。仕事の仕方を変えていかないと、変化は絶えず起こりますので、教職生涯を全うすることは難しいでしょう。

 教員研修留学生の皆さま、1年間本当にご苦労さまでした。活動が制限されましたので、不自由な生活をされたのではないかと思います。このことで日本の違う一面を見られたと考えて、前向きにとらえてください。帰国が困難な方もおられると聞いておりますが、必ず帰れるようになりますので、それまでは日本を楽しんでいただきたい。

 それでは、兵庫教育大学での皆さまの学びが今後の皆さまの人生を豊かにすることを祈念いたしまして、私からのお祝いの言葉といたします。おめでとうございました。

令和3年3月23日 兵庫教育大学学長 加治佐哲也

PAGE TOP