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令和3年度学校教育学部入学式式辞

 令和3年度学校教育学部166名の入学生の皆さま、ご入学おめでとうございます。兵庫教育大学の教職員を代表いたしまして心よりお祝いし、また本学へのご入学を歓迎いたします。

 これから皆さまは4年間、本学で学ぶことになります。ぜひ充実した学びにしていただきたい。そういう皆さまに、私は二つのことを申し上げます。

 皆さまの高校3年次はそれまでの学校での学びと全然違ったのではないかと思いますが、それは大学も同様です。大学での学生の学びの仕方やわれわれの教育の提供の仕方が大きく変わりました。ご存じのように、オンラインが入ってまいりました。コロナ禍によってオンライン授業にせざるを得ない、対面授業ができないということになったのです。本学は後期からは、対面授業を加え、対面とオンラインを組み合わせた授業になりました。これをハイブリッド型の授業と呼んでおります。

 今年度もハイブリッド型の授業が基本になります。おそらく今年度だけではなくて、その後もそうではないかと予想しております。もちろん、特に1年生は、やはり学びの一番基盤になるものは人間関係ですので、先生との関係、皆さま同学年の学生同士の関係、先輩との関係、こういうものをつくってもらう必要があります。これには対面による活動が欠かせません。ですから、特に1年生については対面での授業や交流も意図的にたくさん設けるようにいたします。また、実験でありますとか、実技でありますとか、あるいは教育実習をはじめとする実習は当然対面で行うことになります。

 このように対面もありますが、オンラインがたくさん入ってきます。これを、ぜひ前向きに捉えていただきたい。オンライン授業やオンラインと対面を組み合わせたハイブリッド型授業を普通のこととして、ノーマルのこととして取り組んでいただきたい。なぜかといいますと、オンライン授業とかハイブリッド型授業は、このコロナ禍に対応するために急遽導入された方式ではありましたが、これからは、普通の大学教育のスタイルになります。また、初等中等教育の学校、小学校、中学校、高等学校等においても、大学ほどではないにしても、大学と同じようなことが起こってまいります。

 皆さまは、それぞれBYODとしてPCやタブレットをお持ちですので、それを駆使していただいて、学びを充実させてください。PCやタブレットを使った発表や授業参観が増えます。そういうことを通じてICTを活用する能力を高めてください。学校現場では1人1台の端末が今年度から整備されました。全ての学校において子どもたちが皆1人1台持っているのです。ですので、授業をする先生は例外なくそれを活用しなければなりません。皆さまは1年生の時から大学でそういう世界にしっかり馴染んでください。このようなことをまずはお願いしたいと思います。これが一つ目です。

 それから二つ目は、4年後、ぜひ教員になっていただきたいということです。本学に入学したすべての皆さまが、学校の先生になることを目的にしていると思います。ぜひ達成していただきたい。

 ただ、学校の教師を取り巻く状況はよろしくないのです。皆さまもよく聞かれると思いますが、ここのところ教員の採用試験を受ける人が減っていて、採用試験の受験倍率が下がっています。結果として教師の数が不足する事態となっています。文部科学省も、都道府県・市町村の教育委員会も一生懸命に先生方を採用しようとしていますけれども、なかなかすぐには改善しないという状況が続いています。

 原因はいろいろありますが、例えば、頑張っている先生はいっぱいいるのですけれども、そういう先生方の情報ではなくて、教職員の不祥事とか、体罰とか、いじめ問題で失敗した学校とか、そういうことが表に出ています。これもよくお聞きだと思いますが、学校という職場は非常に勤務時間が長いブラック職場であるといわれています。このようなネガティブ情報を皆さまもテレビや新聞等のマスコミ、あるいはSNSを通じていっぱい知っているのではないでしょうか。これがマイナスに作用しているわけです。

 頑張っている先生の方がずっと多くて、頑張っていないというか、問題を起こす先生は、新聞等で大々的に報じられたとしてもごく一部なのです。日本には小・中・高・幼稚園を合わせて約100万人の教員がおります。100万人という数から考えたときに、新聞等に出る数字は極めて少ない比率であることは、すぐお分かりになりますよね。それから、働き方の方も必ず改善されていきます。これは間違いありません。

 皆さんには必ずネガティブ情報が来ますので、いい情報、たとえば先生が活躍している、子どもたちが成長している、子どもたちの学力が上がった、いじめ問題が解決した、というような情報を意図的に知るようにしてください。そうでないと元気が出ません。私どもも、本学には優秀な現職の先生が大学院の学生として在学しておりますので、そういう方を通してそういう情報を積極的に提供してまいります。いい情報、元気の出る情報に接するように心がけてください。意図して心がけてください。

 これから4年間学びをされますが、これはどなたにも起こりえますが、決して順調ではないと思います。意志がくじけそうになることもあるでしょう。教育実習を本学はたくさん用意しております。教育実習は非常にいい学びの機会です。教育実習で学校のことや子どものことがよく分かって自信を持つ方もおれば、そうでない方も当然ながらおります。子どもと接することや授業をつくることに悩むとか、自信をなくしたとか、そういう経験を大事にしていただきたいのです。悩みとかつまずきとか、不安といったものを何とかするために努力することは、成長を促進します。順調な人はそれほど成長するわけではない。困難に陥った時、困難を何とかしようとする人が成長することになります。

 そういう状態になったときは、指導教員の先生に相談するとか、友達同士で励まし合うとか行ってください。本学のキャリアセンターには、元校長であった、学校現場や教師についてよく知っている方がおりますので、遠慮なく相談してください。教員になる道を諦めないようにしてください。

 以上二つのことをお話しいたしまして、皆さまへのご入学に際しての励ましの言葉といたします。4年間さまざまなことがあると思いますが、ぜひ楽しんでください。そして4年後には、正規採用でもいいし臨時採用でも構いませんので、教師の道に進んでください。

令和3年4月5日 兵庫教育大学学長 加治佐哲也

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