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令和3年度大学院連合学校教育学研究科入学式式辞

 令和3年度39名の連合大学院へのご入学、おめでとうございます。皆さまのご入学を心から歓迎いたします。

 皆さま、よくご存じのように、本学大学院に限りませんが、昨年から学びのスタイルや研究のスタイルがこのコロナ禍によって大きく変わりました。端的に申し上げて、これまで対面で行われていたものが、オンラインが主たるツールになったということです。

 本連合大学院の学生さんの場合、主指導教員のいる6大学のいずれかに配属されます。6大学間の距離は非常に遠い。対面でありますと移動を要しますが、オンラインですとそれが不要になりますので、むしろ利便性は高まります。同時に、既にそうでありますが、これからはもっとオンラインによる学生のプレゼンテーションや研究成果の発表が多くなるでしょう。学会での研究成果の発表もそうなります。学生さん同士の交流も、対面が難しく、よりオンラインで行っていただくことになるでしょう。

 先は見通せませんが、現在のウィズコロナだけではなくて、ポストコロナになっても、こういう方法が主流であり続ける可能性が高いといえます。とすれば、本学大学院においてオンラインを活用した学びや交流にしっかり馴染んでいただいて、その利便性や有用性を最大活用できるように習熟していただきたい。それがむしろ将来に繋がるということです。

 ただ、言うまでもなく、対面にはオンラインでは置き換えられない価値があります。ですから、コロナの収束しない現在はまだ難しいかもしれませんが、オンラインと対面を併用していく、オンラインの中に有効に対面を組み込んでいくことが必要になります。このことは連合大学院の先生方も十分ご存じですので、これまで以上に対面の活動を有効活用してください。

 さて、今日、私は1点申し上げたいことがあります。コロナ禍によってさまざまな社会的課題が発生して、私自身、研究の社会的有用性を改めて強く意識するようになりました。これまでのあらゆる研究が、大なり小なり社会や人間に関わる問題事象の解決・改善を意図したものであることはいうまでもありません。研究者はそうしたことを意識して研究してきております。特にそれを改めて強く意識してほしいということです。

 自然災害や科学技術の発達によって予期しない変化が急激に起こるとは、いわれていたことではあったのですが、コロナ禍によってわれわれは本当に実感させられました。教育界を例にとってみますと、小・中学校、高等学校の長期の休校や児童・生徒の活動制限が起こりました。これは、子どもたちの心身に大きな影響を及ぼすでしょう。また、コロナ禍が直接の契機となって、GIGAスクール構想が前倒しされて、児童生徒1人1台の端末の環境が急速に整いました。教員には例外なく、端末を活用して個別最適な学びと協働的な学びをつくることが求められています。要するに、一斉指導する教師からファシリテーターとしての教師への教師像の転換が起こりつつあるのです。

 こういう事象について、新しい改善策・解決策の提案を早急に行っていかなければなりません。その際には、エビデンスを示すことが不可欠です。エビデンスを生むことが研究の役割です。エビデンスに基づかない政策や指導法はこれまでもあったわけですけれども、結果がよろしくないことが分かってきました。今はエビデンスに基づく政策立案や新しい指導法の発案が強く求められています。いわゆるEBPMです。皆さまには、エビデンスを生み出す研究に取り組んでほしいと強く思います。研究に対するそのような社会の要請が強くなっていることをご自覚いただきたい。

 本連合学校教育学研究科のミッションは教育実践学の推進です。教育実践学は本来的に今私が申し上げたような特性を持っていると思いますので、ぜひこのこともご理解ください。

 最後になりますが、39名の皆さまには漏れなく博士の学位を取得していただきたいと強く願っております。3年間という所定の期間で取得できることが一番望ましいのですが、皆さまの多くはお仕事を持ちながらですので、なかなか厳しい条件下にあります。諦めないで、粘り強くやっていただきたい。相当の準備と投資をして、博士課程に入学されたと思います。人生の一大決心をされて来られている方も少なくないのではないでしょうか。決していいこととは言いませんが、休学をして在籍期間を延ばすとか、あるいは全単位を取得した後も特例での課程博士が取得できる仕組みもありますので、そうことを視野に入れながら、必ず取得するという強い決意を今日お持ちいただきたい。博士の価値は、これからの社会においてもますます高くなっていくことは間違いありません。

 それでは、これからの皆さまのご健闘を祈念いたしまして、私からのお祝いと励ましの言葉といたします。どうぞ頑張ってください。

令和3年4月9日 兵庫教育大学学長 加治佐哲也

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