教科の本質的なねらいとのバランスがとれたクロスカリキュラムの研究 附属中学校・校長 山本 忠志

研究の概要

 クロスカリキュラムを実践していくための課題を解決するために,次の柱を設定して研究を進めていく。

 一つ目は,教科間の課題である。現状の年間指導計画では,他教科との関連については授業の中で生徒の「これ,○○の授業でも学んだことがある!」という発言の中から気づくことが多い。いわゆる偶発的に生まれた学びであるが,このような学びに必然性を持たせるには,教科間での共通認識や,教師間のコミュニケーションが求められる。また,教科横断的な取組を行うにあたっては,従来の各教科における指導計画(横のライン)に加えて,教科を超えて共通した学習内容の指導計画(縦のライン)を揃える作業が必要となってくる。それをその都度,当該教科同士のやり取りの中で実現していくシステムは長く続くものではない。ゆえに,縦のラインをそろえた目安となる指導計画を提示することとする。向こう2年間の研究の中で,縦のラインをそろえた具体的な実践を重ね,「現代の諸課題における問題解決のために必要な資質・能力」の具体的な項目を中心に据えた研究授業を年間複数回にわたり設定し,その中で見えてきた成果や課題をもとにシステム,理念及び期待される効果をまとめていきたい。そして,それらは研究発表会などを通じて広く発信していく。

 二つ目は,総合的な学習の時間の位置づけを明確にする必要があると考えている。現状の総合的な学習は他教科との関連が薄い取組も多く,独立したものになりがちである。総合的な学習の時間を共通のテーマのもとに学習を重ねたクロスカリキュラムのゴールと位置づけ,獲得した知識を活用し発表や交流をする機会とすることで教科との関連を強め,資質・能力の獲得につなげていきたい。また,これまで各教科の授業時間で確保していた発表や交流における部分を,総合的な学習の時間に設定することで一教科当たりの負担も減り,むしろまとめることによる相乗効果によって生徒の学びに深まりが出るのではないかとも考えられる。そういったシステムが確立されれば,現状の総合的な学習の時間の取組よりも広く,深く学習を進められると考えている。また,学校行事や特別活動も総合的な学習の時間と同様にクロスカリキュラムの中で他教科との関連性を見いだしていきたい。

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