
日本の新しい地方教育行政をリードする人材育成
教育変革期における地方教育行政のリーダーの役割はますます重要なものとなっています。 未来を創る子どもたちの教育に加え、地方分権化社会における新たな地域社会を創り出すために、教育行政の役割はかつてないほどの転換期を迎えています。 そのような中、教育政策リーダーコースは日本で初めてとなる、現職教育長や将来の教育長候補および教育行政の幹部の養成コースです。多忙を極める学生のために、 学修形態を教員が地元に出向いて行う授業や双方向のオンライン授業、VOD(ビデオ・オン・デマンド)による視聴学習、神戸市のサテライトキャンパスにおける集中演習とし、学生の業務への影響軽減を図るなど、学びやすいものとしています。 また、海外、自自治体首長部局・教育機関、他自治体等で実習を行う実習科目も充実しており、教員と実習先のメンターとの綿密な連携と指導により、地域教育行政の変革を推進し得る資質能力の獲得を図ります。
担当教員一覧
教授 澤野 幸司
(研究分野:教育行政、コミュニティ・スクール)

地方教育行政の組織及び運営に関する法律の教育委員会制度一部改正から10年が過ぎました。教育政策のトップである教育長は、「直接民意を受けた首長の教育への期待」と「独立した行政機関のトップとしての専門性の発揮」の間で、日々2つの正統性を鑑み、各自治体における教育政策の立案・実施・評価をこれまで以上に努める必要があります。本コースには、卓越した知見を有する教授陣や志高い学修者や修了生のネットワークがあります。この強みを最大化する手立てを常にブラッシュアップしながら講じると共に、学修者お一人お一人にとって意義ある学びを提供できる環境づくり向け、教育長経験を活かして尽力したいと考えています。
教授 川口 貴大
(研究分野:教育行政、教育課程)

私は20年以上にわたり文部科学省に勤務し、学習指導要領の改訂のほか、GIGAスクール構想や主権者教育の推進等の業務に携わってきました。また、教育委員会に出向し、学校教育を支える業務等を経験する機会もいただきました。その中で、教育委員会が果たす役割の大きさを実感し、教育長には地域の教育を前に進めるリーダーとして力を発揮することについて期待をもっています。当コースでは、教育長の立場として自自治体の教育課題について考える場面が多くあります。専門的な知識や研究の視点も交えて考える中で、多くの気づきが得られることと思います。私は、皆さんの学びの充実、ひいては地域の教育課題の解決に向けお力添えができるよう取り組んでまいります。
准教授 押田 貴久
(教育分野:教育政策)

自治体の教育政策過程の研究をしています。特に教育長や指導主事の政策形成への関与に注目しています。また制度がアクターに及ぼす影響を学習指導要領と自治体や学校独自の教育政策・実践を事例に研究しています。 教育政策リーダーコースは,教職大学院の位置付けのため「修士論文」はありませんが,2年間の様々な学びの集大成を教育政策課題研究として「政策提言書」にまとめます。そこでは,教育長等トップリーダーの視点で,自自治体や自身の教育政策上の課題を探究し,斬新で実効性の高い打ち手となる政策を構想することになります。教育政策を形成するための様々な視点を現場の実態に沿いながら支援できればと考えております。
助教 三浦 奈々美
(研究分野:教育行政学、地方自治論)

地方教育行政は、教育委員会をはじめ、首長、議会、学校、地域、民間団体など、多様な主体によって支えられています。私は、こうした多様な主体がどのように関わり合いながら教育課題に対応しているのかに関心を持ち、自治体の教育政策や制度について研究をしています。本コースでは、トップリーダーとして複数の関係者と協働しながら課題解決を推進していくための視点や方法を、皆さんとともに探り、深めていきたいと考えています。 本コースでの学びが日々の実践に新たな視点をもたらすきっかけとなるよう、私も尽力してまいります。さまざまな立場で教育に携わってこられた皆さんのご経験をお聞きしながら、対話できることを楽しみにしております。
授業内容紹介
開講授業一覧
授業科目名 | 教授名 |
---|---|
カリキュラム・マネジメント | 天笠茂 |
多様な授業方式・形態とその支援体制 | 藤川聡 |
生徒指導の学校体制と教育委員会の危機管理 | 新井肇 |
特別支援教育の実際と改善課題 | 今中博章 |
地域教育経営と教育委員会の学校経営改善施策 | 露口健司、 押田貴久 |
現代教育の理念と背景 | 水本徳明 |
地域と学校 | 澤野幸司、 貝ノ瀨滋 |
授業科目名 | 教授名 |
---|---|
教育行政マネジメント特論演習Ⅰ(情報収集・分析・構想) | - |
教育行政マネジメント特論演習Ⅱ(企画・実行・判断) | - |
教育行政リーダーシップ特論演習Ⅰ(組織人事) | - |
教育行政リーダーシップ特論演習Ⅱ(理念浸透) | - |
教育政策実践論 | 押田貴久、冨田明徳、細田眞由美 |
教育行財政の立案と分析 | 川口貴大、 加治佐哲也、 小川正人 |
地方自治体行政論 | 青木栄一、 阿内春生、 大畠菜穂子 |
教育法規の理論と実践 | 葛西耕介、 澤野幸司 |
教育政策・教育行政特論 | 合田哲雄 |
生涯学習特論 | 押田貴久、 冨田明徳、 澤野幸司 |
学校論 | 水本徳明 |
比較教育政策論 | 澤野幸司、 川口貴大、 押田貴久、 三浦奈々美、 Markku Antinluoma、 匝瑳岳美、 矢田匠 |
教育政策課題研究 | 澤野幸司、 川口貴大、 押田貴久、 三浦奈々美、 小川正人、 露口健司、 葛西耕介、 天笠茂、 藤川聡、 水本徳明、 遠藤洋路、細田眞由美 |
教育政策トップリーダーインターンシップⅠ(海外教育行政機関) | - |
教育政策トップリーダーインターンシップⅡ(自自治体行政機関) | - |
教育政策トップリーダーインターンシップⅢ(自自治体教育機関) | - |
教育政策トップリーダーインターンシップⅣ(他自治体) | - |
教育政策トップリーダーインターンシップⅤ(自自治体等発展) | - |


修了生紹介
修了生の声
杉本 真紀子
(東京都稲城市教育委員会 教育長)

教育政策リーダーコース生として経験した深い学びと、志を同じくする仲間達との出会いは、私にとってかけがえのない財産です。多様なカリキュラムの履修に際し、著名な先生方からの鋭くも示唆に富むご指導と、仲間たちとの協議を通し、自らの実践を振り返りつつ展望を整理していく作業は、貴重な学びの時間でした。また全国各地で活躍する同期生たちとは、出張講義や集中演習等の際に親交を深め、修了後の現在も交流し、学び合っています。
修了後、教育長を務めることとなりました。教育のあるべき姿について考察したり視野を広げたりした学びの日々を思い出しながら、日々の職務に取り組んでいます。このコースに学んだからこその見方考え方をフル活用し、教育施策を推進していきたいと思います。
在籍院生の声
久保ひろみ
(福岡県築上町教育委員会 教育長)

コロナ禍を経て、少子高齢化や生成AIの飛躍的な進展など、教育を取り巻く社会の急激な変化を実感しています。すべての子どもの可能性を引き出す新しい時代の教育を実現するためには、知識や経験のアップデートが必要であると考え、本コースに入学しました。第一線でご活躍の先生方による出張講義や集中演習では、最新の専門知識や理論を学ぶことができ大変充実しています。また、教育行政マネジメント特論演習では、自分自身の思考傾向を知るとともに、参加者の多様な考えに刺激を受けています。日々の業務やレポート作成に追われながらも、学ぶことの大切さ、学ぶ喜びを感じているところです。同じ志をもつ院生たちと互いに学び合い、学修を深めていきたいと思っています。
政策提言書(修了生レポート)
年 | レポートタイトル |
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2024年度 修了生 (8期生) |
子ども・教職員のウエルビーイングを高める学校教育実現を目指す教育委員会の体制づくり ―SDGs学習とコミュニティ・スクールを活用して― |
小規模自治体の持続可能な地域クラブ活動の体制づくりと部活動の運営方法 ―小規模自治体における教育委員会としての取組み― | |
基礎自治体におけるこども・教育行政が実装する機能的な仕組みづくり ―こども・教育政策DXに向かう産学官民の協働によるプラットフォームの検討― | |
「誰一人取り残さない」「学びを止めない」ための教育と福祉の連携 ―児童相談所一時保護児童の学習保障の視点から― | |
活力ある地域を創造する学びの環境整備 -地域学校協働活動が地域住民に及ぼす影響と可能性- | |
「学校のニーズに合わせた教育委員会の支援方法の研究」 -学校の実状や課題改善のための教育活動を推進するために、 教育委員会はどのような伴走支援ができるのか- | |
静岡県の県立学校籍指導主事の育成に関する3つの提言 ―組織改編、専門職性の向上、職能開発― | |
学校を核とした地域連携による学びの循環 ―地域コーディネーターを活用した社会に開かれた教育課程の実現― | |
デジタルで創る川崎市のつながりと未来 ―地域と学校をつなぐプラット・フォームを通して― | |
小中一貫教育の今後の発展に向けた一考察 | |
シン・晩成社プラン ―3つのCで実現する つながりと成長、そして幸せを実感する地域社会の構築― | |
安全で安心なまち矢掛を創る ―セーフティプロモーションスクールの考え方を生かして― | |
2023年度 修了生 (7期生) |
教育格差を縮小し、すべての子どもたちにとって学校が魅力あるものとなるために必要な視点と施策 -貧困の連鎖を止め、ウェルビーイングが循環するまちをめざして- |
教育委員会における「こどもの意見表明と尊重、施策への反映」 | |
子どもの当事者意識を育てる教育から取り組むまちづくり -子どもが意見を言える・参画できることを位置づけた「教育振興基本計画」の策定を目指して- | |
教育を核にした過疎地自治体の地方創生 -学校ガバナンスの新しいあり方で実現する高校・地域の協働による相互の魅力化- | |
小規模自治体における 「教育を核とした地域コミュニティづくり―その体制構築のための諸条件―」 | |
総合教育会議と教育委員会運営に関する一考察 | |
地域自治と共創を形成するための地域の拠点となる学校づくり ~児童・生徒の社会参画への実践力を育むカリキュラム開発を通して~ | |
小規模教育委員会が主体性を発揮し、自律的学校経営を支援する組織の在り方 | |
就学前教育保育の質の向上に向けた施策パッケージに関する提言 ~子どもたちが主体となり自らが創造する教育保育をめざして~ | |
2022年度 修了生 (6期生) |
GIGA スクール構想と関連させた「主体的、対話的で深い学びを実現する」授業改善施策 ―教育委員会の組織、学校支援の在り方について― |
次代を担う管理職の確保と育成 一教頭の多忙化解消と職の魅力化をめざして一 | |
宇治市における小中一貫教育~次のステージ~ ー学校を支える教育委員会の支援ー | |
学校部活動から学校を拠点とした地域クラブ活動への移行 一杉並区における新たなスポーツ・文化芸術活動環境の構築を目指して一 | |
新しい時代の生涯学習社会における次世代型学校・地域のあり方について ー次世代型校長 (Transformational Leadership) による 「スクールガバナンスの強化」 と地域の分散リーダーシップ の促進による 「豊かなソーシャルキャピタルの形成」 一 | |
京都市教育委員会事務局指導部生徒指導課の組織および指導主事育成のあり方 | |
働き方改革とのデュアル・アプローチで推進する女性管理職の登用 一女性校長へのインタビュー調査を通じて一 | |
A市における校内適応指導教室の設置による不登校支援の検討 | |
日高町における地域とともにある学校教育の構築を目指して 一校長が主体的で自律的な教育活動を推進するために学校運営協議会をどのように活用して取り組ませるかー | |
義務教育学校開校前後の取組の成果と課題一義務教育学校の経営から見る今後の帯広市小中一貫教育一 |
在籍学生数と属性
機関 | 役職 | 2023年度入学生 | 2024年度入学生 | 2025年度入学生 |
---|---|---|---|---|
教育委員会 | 教育長 | 4 | 1 | 2 |
教育委員会 | 事務局職員 | 2 | 2 | 1 |
その他行政 | 1 | 1 | 2 | |
学校 | 校長 | 2 | 3 | 2 |
学校 | 副校長・教頭 | 2 | 3 | 1 |
学校 | 教員 | 1 | 1 | |
学校 | 事務職員 | 1 | ||
社会教育施設 | 1 | |||
その他 | 2 | 1 | 2 |
入学・入試について

https://www.hyogo-u.ac.jp/campuslife/kyoikukunren_senmon.php
2. 入試情報 (外部HP) https://www.hyogo-u.ac.jp/admission/master/request.php
アクセス
国立大学法人兵庫教育大学 神戸キャンパス https://www.hyogo-u.ac.jp/facility/khlc/
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