Society5.0時代における教師の力量形成に資する授業科目群の開発 学校臨床科学コース・准教授 奥村 好美

研究計画・方法

図

本研究は、上図の流れで研究を進める。分担については、研究代表者である奥村が研究全般の統括を行う。研究分担者である伊藤・松本・溝邊・宮田・別惣は兵庫教育大学の各担当授業を軸に研究全体に関わる。渡辺は、主に東京学芸大学と兵庫教育大学の大学間での院生間交流に関わる。MARNIXというオランダの教師教育機関所属のロホテンベルフ(Logtenberg)とファン・スハイク(Van Schaik)は、兵庫教育大学の取り組みへのフィードバックを主に担う。

 前期では、兵庫教育大学大学院学校臨床科学コースの科目「学習指導と授業デザイン」(担当:宮田、松本、溝邊)、「教師発達とメンタリング」(担当:宮田、別惣)を軸にすえる。「学習指導と授業デザイン」では、授業や単元の設計の仕方を学べるようにするとともに、それを生かして模擬授業や省察・改善を行う場を設ける。その際、東京学芸大学の取り組みに学びつつ、授業の流れなどに踏み込んで省察ができるようアレンジした兵庫教育大学版対話型模擬授業検討会を位置付ける。「教師発達とメンタリング」では、現職院生と学卒院生がそれらのプロセスに関わる際の協働のあり方を学べるようにする。これらの授業ではICTを活用した授業ポートフォリオを作成し、学びの履歴を蓄積する。こうした取り組みは、5月頃にロホテンベルフらとオンラインで情報共有を行う。その際、コルトハーヘンの理論を生かしたオランダでの教師教育の取り組みについての情報を提供してもらうことで、その後の授業内容を調整する。前期の授業後には、兵庫教育大学の院生が東京へ出向き、授業ポートフォリオの学びの履歴をもとに東京学芸大学の院生と協働的な省察を行う。このため、院生および大学教員計8名程度が東京へ行く旅費が必要である。なお、都合により東京へ出向けない教員や院生についてはZOOMでの参加を想定している。さらに、前期の取り組みの具体をロホテンベルフらに送り、助言を得る。これを後期の科目改善につなげる。

 後期では、兵庫教育大学大学院学校臨床科学コースの科目「授業研究の理論と実践」(担当:奥村、伊藤、松本、溝邊)、「学校カリキュラムのデザインと評価」(担当:伊藤、奥村)を軸にすえる。「授業研究の理論と実践」では、授業研究や省察の理論をより深く学び、兵庫教育大学版対話型模擬授業検討会のさらなる改善を行う。「学校カリキュラムのデザインと評価」では、オランダなど海外の教育にも目を配りつつ、カリキュラムレベルの設計や、そこでの取り組みを省察・改善するあり方を学べるようにする。これらの授業でもICTを活用して授業ポートフォリオを作成する。後期は、この授業ポートフォリオを東京学芸大学の院生にも開き、学びを共有する。最終的に、これら4つの科目の内容とその連携のあり方を見直し、新しい時代の教師に求められる力を総合的に育成する科目群を提案する。その成果は成果発表会で発表する。詳細は下記の通りである。加えて、研究成果については、2021年度に日本教師教育学会での学会発表や論文投稿、WALS(World Association of Lesson Study)での学会発表で報告を行う予定である。

成果発表会

 成果発表会は兵庫教育大学の教育子午線ホールにおいて実施する予定である。ワークショップとディスカッションを行う。ワークショップは、兵庫教育大学と東京学芸大学の教職大学院におけるそれぞれの取り組みやそこでの院生の学びを、実際の模擬授業や検討会の実演等をふまえて院生同士が示す形で行う。ディスカッションでは、それぞれの取り組みや院生の学びについて当日参加者を含めて幅広い視点から議論を行う。成果発表会には、オランダからロホテンベルフらも参加し、実際の取り組みについてオランダの教育専門家の視点からフィードバックを行う。このため、東京学芸大学の渡辺やオランダの教育専門家2人の旅費が必要である。この成果発表会は、兵庫教育大学内外の研究者や院生などに広く公開する予定である。

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