「道徳」という語は、古くは『易教』などにも現代とほぼ同じ意味として用いられています。「道」と「徳」とに分けてその意味するところを探ってみると、「道」とは古くから「社会的規範」を表しており、社会的・集団的な習慣(慣習)を表しています。一方「徳」とは、ギリシア語のアレテー(aretē)と同義語で長所・美点・優秀さを表しており、哲学的には「卓越性」を表しています。つまり、「道徳」を学ぶとは、社会のより良き規範を学び、個人のより良き人格を形成することを表しています。 「道徳」は、戦後領域の一つとして、学校教育の中で子どもたちのより良い人格の形成を目指して実践されてきました。この「道徳」が今、教科化されようとしています。なぜでしょうか?その最も大きな理由は、「いじめ問題」の深刻化ではないでしょうか。大津の事件に端を発し未だ止むことを知らない「いじめ」。そのマイナスの連鎖を断つべく文部科学省も本腰を入れたと言えます。 そもそも「道徳」は学校教育の中でどのように行われてきたのでしょうか?「道徳」を学ぶための教材(読み物資料)とはどのようなものがあるのでしょうか?「道徳」の効果は?今後どのような方向に進んでいくのか?これらの疑問に応えるべく今回の後期展を展開していきたいと考えています。 具体的には、道徳教育の歴史的変遷、文部科学省が配布した『私たちの道徳』の内容、授業実践の在り方、兵庫県道徳副読本、これからの道徳「特別の教科 道徳(道徳科)」といった多彩なコーナーを設け、皆様と共に今後の道徳について語り合うことができればと考えています。 みなさんにとって「道徳」が堅苦しいイメージからすこしでも親しみやすいものに近づくことになるよう願ってやみません。
開催期間: 平成27年10月1日(木)~平成28年2月29日(月)
会 場:兵庫教育大学教材文化資料館(附属図書館に併設)
開館時間・休館日等:兵庫教育大学附属図書館に準ずる。 ※臨時に休館する場合があります。
詳しくはご利用案内をご覧ください。
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