教材開発システムのご紹介

教材開発システムは、展示と並ぶ当資料館の柱、「発信」事業を担うものです。昨年度来、資料の収集やシステム構築に向けての準備を進めてきました。今年度はベータ版システムによる試験運転を開始します。

教材開発システム誕生の背景

いま、学校現場の先生は、次のような問題に直面しています。

「とにかく忙しくて明日の授業の準備すらままならない...」
「この課題を先輩に聞きたいけど、もっと忙しそうだ。他に聞く人もいないし...」

このような状況の中で、日々直面する授業実践上の課題を、特に経験の浅い先生が自ら解決するための教材の必要性が増しています。

本学では、平成14年から学校現場の指定研究報告書、授業実践記録など教育実践資料を収集してきました。これらの所蔵情報は「教育実践資料データベース」に登録し、ホームページで公開しています。資料館の開設を機に、さらに現場の役に立つ資料の提供、教材の開発を進めていきたいと考えています。

大学と学校現場を結ぶ2つのデータベース

現場の授業実践を永続的にアーカイブします

教材開発のために収集する資料は、現場の内部資料として作成された学習指導案や研修会資料、あるいは指定研究の発表会資料や報告書などの公開資料が主ですが、手に入らないものが多く、また先生の異動のたびに散逸しがちです。
そこで、本学に寄贈された授業実践記録を電子データ(PDF)化し「実践資料アーカイブ」として永続的に保存します。登録した学校現場の実践記録や研究発表会資料などは、インターネットを通じて学校現場の先生や教育関係者などで共有できるようにします。また、先生自らが登録できる仕組みも用意します。これらにより、現場にとっても効果的な発信を実現するとともに、利便性も大きく向上します。

現場の授業実践を永続的にアーカイブします

特徴ある授業実践に本学の研究成果をプラスして役に立つ教材に

収集した教育実践資料の中から特徴ある学習指導案を出発点に、また指定研究を受けた学校の先生と本学教員が共同で研究を行います。その共同研究を通して様々な授業展開を提案し、途中段階の研究成果も公表していきます。さらに、実践を裏打ちする理論的解説、実践場面や関連資料など、本学が開学以来蓄積してきた教育研究成果を盛り込み、日々の課題解決や研究にも利用できる教材として開発していきます。

特徴ある授業実践に本学の研究成果をプラスして役に立つ教材に

現場との共同作業

現場の役に立つ―この基本姿勢のため、本事業ではさまざまな場面で現場と共同で作業を進めます。

  • 本学の連携協力校(兵庫県内に約200校)をはじめ、現場から校内研修資料や研究会発表資料等の流通しにくい資料を収集します。
  • 教材開発の企画や運営面では、教育委員会等の教育機関関係者をはじめ、現場の先生も会議等にご参加いただき、現場の声を生かしながら教材を構築します。
  • 実際の教材開発においては、指導案に磨きをかけたり参考情報を付加するなどの作業を本学と指導案を作成した先生が共同研究として行っていきます。

成長するシステムを目指します

メインとなる教材化については、成長するシステムを目指しています。学習指導案を大学と現場が共同でリファインし展開しますが、展開した指導案で授業を行い、さらにその結果をフィードバックさせる、また外部からの意見や報告などを書き込んでもらい、さらに良いものにしていくなど、このシステムが一種のコミュニケーションツールとしても機能すればと考えています。

このため、現在ベータ版のソフトウェアについても試行錯誤を繰り返しながら、より使いやすいものに改善するなど、こちらの面でも成長するシステムを目指しています。

システムの構成

教材開発システムは次の3つのサブシステムから構成されています。

  • 収集した授業実践記録を電子データ化して保管する実践アーカイブシステム
  • 学習指導案を大学と現場が共同で開発し、現場の先生を支援する教材化システム
  • ポータルシステムでは、両システムの検索や利用者認証を受け持ちます。

システムの構成

兵庫教育大学 教材文化資料館

〒673-1494
兵庫県加東市下久米 942-1

TEL:0795-44-2362

FAX:0795-44-2364