資料の機能を組み込んだ社会科教科書モデルの開発-小学校産業学習「水産業」の授業分析をとおして- 理事・副学長 米田 豊

研究目的

(1) 研究の目的

 本研究の目的は,社会科教育における資料の機能を分析,検討するとともに,その成果を組み込んだ教科書モデルを開発することである。

(2) 社会科教育における本研究の学術的な特色・独創的な点及び予想される結果と意義

 本研究の学術的な特色・独創的な点は,次の3点である

 予想される結果と意義は,次の2点である。

(3) 国内外の関連する研究の中での当該研究の位置付け

 資料に関する先行研究は多くあるものの,教科書に提示された資料に焦点をあてた研究は少ない。先行研究としてあげられるものは,米田豊研究代表『汎用的な能力の育成を意図した社会科教科書と授業開発-小中学校「環境」単元を事例として-』「理論と実践の融合」に関する共同研究-平成27年度-がある。しかし,その研究においては,授業で活用するために適切な資料について具体的に提案したものの,資料の機能について論じてはいない。そこで,この研究成果を生かし,発展させた研究として,本研究を位置付けることとする。

(着想に至った経緯等、研究の背景について)

 現代社会が求める学力は大きく変容し,子ども自身が実生活で遭遇する諸問題や未知な課題を解決する力を育成することが要求されている。そこで,次に示す2点を明らかにすることが研究者の責務である。

 また,学校教育現場からは,子どもの資質・能力の育成にむけて,どのような授業展開がよいか,モデルケースが提示されることを切望されている。知識基盤社会として確立した21世紀を生き抜く子どもにとって,知識はもつだけではなく,使えるようにならなければいけない。しかし,これまでの社会科授業において,知識を活用することを前提とした教科書記述はほとんどみられない。「〇〇について考えてみよう」という特設コーナーが,多くの教科書に見られる。しかし,そこには,解答例のような記述が示されていることが多い。それでは,これまでの学習で習得した知識を活用して考えたことにはならない。

 教科書に示される資料と子ども自身がこれまでの学習で習得した知識を活用して,社会的論争問題を解決したり,よりよい提案したりすることができるようなカリキュラムモデルや授業モデル,教科書モデルを開発することが重要である。

 さらに,教科教育の研究者と学校教育現場にいる授業実践者が共同して研究に取り組む中で,教育委員会や研究会と連携を図っていくことで,より汎用性の高い提案となる。

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