思考力・判断力・表現力を育成するために言語活動を取り入れた効果的な指導方法の研究~論理的に「話す・聞く」「書く」指導をとおして~ 学校教育研究科 文化表現系教育コース・教授 堀江 祐爾

研究の概要

 本研究では、国語科で① 「話すこと・聞くこと」の領域においてどのような課題を設定することが論理的に「話す力・聞く力」の育成につながるのか、② 「書くこと」の領域において、どのような「論理」のモデルを構想や評価の過程で活用することが、論理的に「書く力」の育成につながるのか、という2 点を検証し、それをもとにすべての教科等で言語活動を充実させる指導方法を開発する。さらに、小学校とも連携して発達段階を考えた有効な指導法を示していく。
 まず、個人的意見が賛否に分かれやすい課題を準備し、グループによる話し合いの中で自分の主張を相手に理解させるために根拠を示したり、相手の主張に対して理由を述べながら反論したりする活動を行う。次に、その話し合いをとおして、よりよい生き方や解決案などを考え、それを「論理」モデルを活用して作文を書く。その結果について、子ども同士の発話はすべて録音してプロトコル分析する。カテゴリー項目としては、他者の考えを引き出したり単に表象したりする表象的トランザクション「課題の提示、フィードバックの要請、正当化の要請、主張、言い換え、併置」と他者の考えを変形させたり認知的に操作したりする操作的トランザクション「拡張、矛盾、比較的批判、精緻化、統合」を採用する。子どもの発話内容から各カテゴリーに分類し、発話回数などにより検討する。作文の質に関しては、授業前のプレテスト、授業直後のポストテスト、遅延ポストテストの作文評定得点において比較検討する。作文の評価は、トゥルミンモデルの主張、データ、基準、基準根拠、反証・限定、比較の6 項目を批判検討して設定した「論理」モデルの評価項目を採用する。

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