理論と実践の融合を目指すピア・メディエーションプログラムの開発―「集団や社会の形成者としての視点」を働かす特別活動を目指して- 生徒指導実践開発専攻・特任教授 池島 徳大

研究の概要

 研究代表者は、これまでに、イギリスのピア・サポート研究の第1人者であるHelen Cowie教授(イギリス:サリー大学ローハンプトン校)から、ピア・サポートに関する取組みを学んできた。また、ピアサポートプログラムを導入・実践している中等教育学校(イギリス:アークランドバーリー校)を訪問し、学校全体での取組みを学んだ。その後、イギリスのいじめ研究の第一人者であるP.K.Smith教授(ロンドン大学)が、神戸大学とオックスフォード大学共催で行われたセミナーに講師として招聘された折に、イギリスにおけるいじめ研究の現状と課題について情報交換を行い、ピア・メディエーションを学校教育に取り入れていることを知った。その後、ピア・メディエーションを研究している、ケンブリッジ大学のヒラリークレミン教授に学び。奈良教育大学で公開講座とワークショップを実施した。その際に、文化や教育制度の違いを前提としたプログラムが必要であることを強く示唆された。このような経緯のなかで研究を深めてきたが、今年度、兵庫教育大学に赴任し、学部学生や院生に、「特別活動論」「生徒指導論」の講義を行った際に、ピア・メディエーションの理論と実践を紹介し、授業に導入したところ、学生から「実習や小学生のサポート活動で、もめごと解決の方法を試したところ、非常にうまくいった」などの感想をたくさん得た。その後、特別活動への導入において、ピア・メディエーションが新学習指導要領が提示した、「集団や社会の形成者としての見方・考え方」とマッチングする指導モデルであると確信し、今後さらに「ピア・メディエーションプログラム」導入の改善を行うこととした。この点に関しては、全国の教育センター等に依頼し、ピア・メディエーションの活用状況調査をはじめ、イギリスでの調査も実施し、改善版の策定を行う。

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