メタ言語能力の活性化に基づく英語の多義語学習に関する実証的研究 教科教育実践開発専攻 言語系教育コース[国語]・准教授 菅井 三実

研究計画・方法

【平成29年度】
 研究分担者の辻幸夫教授(慶應義塾大学)は、認知科学・認知意味論の専門家であり、最新の研究状況について情報交換を図るため、研究打ち合わせのための旅費(大学-東京の往復旅費と宿泊費49,000)を計上している。実践的な検証に当たっては、太田八千代教諭(朝来市立和田山中学校)と大河内奈津子教諭(平塚市立中学校)の2名に協力を求め、内諾を得ている。2名とも本学大学院(言語系)の修了生であり、特に朝来市立和田山中学校には研究打ち合わせのための旅費(加東市-朝来市5,000円×6回)を計上している。2名の研究分担者(現職の中学校教諭)には、実際の授業で試行的に実践指導を行うとともに、そのフィードバックの提供を依頼する。また、授業の場で提示する視覚教材を作成するため、画像ソフトとアプリケーションソフトを購入する。

 本研究課題で取り上げる内容として、<基本動詞>と<身体語彙>を計画している。基本動詞は、中学校の段階で多くを学習するため どの学年でも実践することが可能であり、have, take, see などを中心に取り上げる予定である。身体語彙は、必ずしも中学で網羅するよう配置されていないが、head, face, mouth, hand, arm など、いずれも自らの身体に内在された部位であって、指示対象を理解するのに困難さはないと思われる。実際、身体語彙は小学校英語でも取り上げることが可能なほどで、この点に、小学校英語との接続の可能性を見いだすことができる。

 具体的には、日本語の多義語に関して、中核的意味をイメージ図で示し、そこから比喩的に拡張する関係を画像によって視覚的に表示し、その過程をパワーポイントで提示する。同様の過程を英語で提示し、理解をクリアにした段階で、英語での表現に活用できるかどうかを検証する。このように、英語の多義理解と並行して、日本語の多義について理解を深め、メタ言語能力の活性化を深めることを目指す。本研究課題の内容は、現在原稿準備中の著書に組み入れられる予定である。

 なお、本研究課題は「生命倫理・安全対策等に関する留意事項」には該当しない。

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