DE&Iの実現に向けた人材育成プログラムの開発―アンコンシャス・バイアスの解消と組織環境のリデザインの試み― 教育方法・生徒指導マネジメントコース・教授 山中 一英

研究計画・方法

【研究計画・方法の具体】

第1フェーズ:レクチャ・セッション

 アンコンシャス・バイアスや組織環境のリデザインに関連した学術領野の理論や研究知見を精緻に展望し,レクチャの具体的内容を厳選して構造を組み立てる。具体には,差別や偏見の根底にある心の仕組みを説明した社会心理学的研究,障害の概念とそれを取り巻く特別支援教育の理論と実践,そして企業や学校組織における人材育成に関する研究等である。

第2フェーズ:エクササイズ・セッション

 事例を収集するためのインタビュー調査を実施する。調査対象となるのは,企業に勤務するビジネスパーソンと学校教員である。本研究では,研究目的に即して典型的な対象者を抽出する「目的的サンプリング」を実施する。ビジネスパーソンについては,研究チームメンバーのネットワークから選定する。また,本研究の成果が,教員養成フラッグシップ大学の取り組みの一つとして構想されているPDディヴィジョンに有効活用される可能性も想定されうることから,コンソーシアム参画企業に勤務するビジネスパーソンに協力を依頼することも検討する。学校教員については,兵庫教育大学の修了生ネットワークを適切に利用することを予定している。そして,収集した事例を学習材に作り込む作業を行う。

 なお,それぞれの分担はあるものの,プログラム開発のすべての過程で,研究チームのメンバー全員が関与する。

【経費と研究計画の関連性】

 第1フェーズでは,国内外の関連する先行研究を展望するために,アンコンシャス・バイアスや特別支援教育,組織における人材育成に関連した図書の購入が必要である。

 第2フェーズでは,学習材となる事例収集のために,主にオンラインによるインタビュー調査を実施する。それに伴う謝金,音声データを保存するデバイス,音声データから逐語録を作成するための費用が必要になる。

 加えて,研究成果を学会等にて発表するための旅費,成果発表会で使用する会議室用webカメラが必要である。

【研究倫理への配慮】

 学習材となる事例の収集にあたっては,体験談の中にネガティブな経験が含まれることが予想される。したがって,まずは本研究の目的,具体的な方法,社会への貢献可能性等について丁寧に説明し了解を得ることが求められる。そして,必要に応じて,本研究によって取得する個人情報の取り扱い,研究協力に関するインフォームド・コンセントについて,兵庫教育大学研究倫理審査委員会の審査を受ける。さらに,問題が生じた場合には,問題の内容と発生の経緯を同委員会にすみやかに報告し,同委員会とともに適切に対処する。

 また,学会発表や論文執筆など,本研究の成果を公開する場合には,個々のプライバシーに十分な配慮を行う。

成果発表会

 年度末にハイフレックス形式でのワークショップの開催を予定している。参加対象者は,学内外の研究者,DE&Iに取り組むビジネスパーソン,学校教員等である。会場は,神戸キャンパスを想定している。

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