
本研究は、研究代表者が全体設計および分析枠組の構築を担当し、研究分担者とともに、日常保育における遊び場面の観察・記録を実施する。研究代表者ならびに研究分担者は、観察・記録されたデータをもとに省察的振り返りを実施し記録整理を担当する。具体的には得られた映像・記述データについて、子どもの試行錯誤する過程および附属幼稚園教諭の保育行為に焦点を当てた質的分析を共同で行う。また、必要に応じて保育環境の改善提案や観察フィードバックを行い、研究と実践の往還的な検討を進める。
1) 調査対象者及び研究期間
本研究は、附属幼稚園の幼児(3歳児2クラス、4歳児2クラス、5歳児2クラス)を対象として、2026年4月~2027年3月の1年間を研究期間とする。特に、附属幼稚園の「うれしのタイム(自由遊び)」の時間を重点的に観察対象とする。
2) データ収集
ア)参与観察:大学教員が定期的に附属幼稚園に行き、日常の保育活動(主にうれしのタイム)における遊びの過程を継続的に記録する。また、附属幼稚園教諭は普段の保育の振り返りを日々実施して記録していく。
イ)映像記録:ハンディカメラ(7台)及びICレコーダー(5台)を併用し、子どもの遊びの変化を詳細に扱えるデータを確保する。
ウ)分析方法:収集した記録をイテレーション・モデル(創発→計画→実践→評価→改善)に基づき構造化し、子どもの行為のプロセスと附属幼稚園教諭の保育行為の関連を質的に分析する。また、発達段階におけるイテレーションの差異についても分析する。
本研究の実施にあたっては、研究代表者が全体の研究設計、観察および記録、分析、成果発信を担い、研究分担者は観察場面での記録補助および分析結果の検討を行う体制とする。観察・記録に際しては、遊びや保育者の関わりを継続的・非侵襲的に捉えるため、ハンディカメラを用いて保育場面を撮影し、その映像データは研究専用の外付けハードディスクに安全に保管する。また、記録内容の質的分析には、データ分析用パソコンを用いて逐語化・コード化・カテゴリー化を進める。なお、本研究に関わる園児ならびに保護者には研究の目的と方法を説明し、撮影・記録に関する同意を得た上で進める。謝金は必要としないが、比較対象として同県内の他園を訪問・視察するための旅費を計上する。また、成果共有のための研究会を開催する際には、案内文の作成・印刷費等の運営経費を必要とする。
本研究は、保育活動中の子どもを対象とするため、個人情報保護と倫理的配慮が必須である。対象園の保護者には、研究の目的・方法・データの取扱いを文書および口頭で説明し、同意書を取得した上で実施する。映像データは匿名化したうえで研究目的以外には使用せず、保存・管理は施錠可能な保管環境およびパスワード管理下に置く。研究発表に際しては、個人が特定可能な情報を完全に除去する。また、本研究は大学研究倫理委員会の審査を事前に受け、承認を得たうえで実施する。
本研究の研究成果は、12月に開催される附属幼稚園の研究会ならびに幼年教育実践学会にて公表する予定である。研究成果は口頭発表を中心に、映像資料を用いた事例提示や、参加者との意見交換を含むワークショップなどを予定している。参加対象者は、兵庫教育大学附属学校園の教職員ならびに、保育・教育系大学院生、地域の保育者、さらに関心を有する学外の研究者・保育者等にも広く開かれた形で実施する。会場は、附属幼稚園と神戸キャンパスを予定し、参加規模は1研究会で50名程度を見込む。