シリーズ「コロナと教育」(濵中裕明教授インタビュー5)
2022.05.11 #インタビュー #コロナと教育 #濵中裕明

シリーズ「コロナと教育」は、本学の教員に、それぞれの専門領域の見地から、コロナのこと、教育のこと、人生のことなどを語ってもらうインタビュー企画。
第二弾は、濵中裕明教授です。
国語は苦手。でも、算数が大好きだった少年は、長じてから数学者になりました。
専門は、代数的位相幾何学。兵庫教育大学に着任してからも、数学研究の一本道をまっしぐらに進んできましたが、35歳のとき、数学教育へとその軸足を移します。
数学を何かの役に立つ「実用品」としてだけでなく、数学そのものの面白さを伝えられる教員を育成するべく、日々心血を注ぎつづけて15年。
人生100年時代の今、50歳の大台に乗り、後半戦に足を踏み入れられた濱中教授に、人生のこれまでとこれから、そしてコロナ禍の今について伺いました。
|話し手|濵中裕明教授 |聞き手|佐田野真代(広報室員)・永井一樹(広報室員)
第5回(最終回):犬を飼い始めました。
S:ちょっと予定の時間が迫ってきたんですが、コロナのこと、もうちょっとだけお聞きしてよいですか。さっきは教育に関してお聞きしましたけど、もうちょっと広げて、先生の人生に関して。今50歳ということで、人生100年時代の半分という節目にきたところで、コロナという「100年に一度の危機」を経験されました。何か人生における影響というものがありましたか。
濱:う~ん。何ですかね。私は社会学者ではないので、それについてはあまり話すことはないんですけど。プライベートで言うと、二年前から犬を飼い始めました。コロナとは直接関係ない話なんですが、思春期の子どもが家にいるんです。高校の時の同級生との話で、その同級生の家庭も子どもが思春期で荒れてたらしんですけど、いい方法があるって言うから聞いたら、「動物を飼うことだ」って言うんです。動物を飼ったら、自分より下の存在ができるから、途端にいい感じになったよと。
N:よくわかります。
濱:うちの娘も確かに動物が好きなんです。でも、犬なんて飼い始めると、家を空けられなくなるし、難しいよねって言ってたんです。ところが、コロナのせいでずっと家にいるんですよね。二年前のゴールデンウィークくらいから、毎日家にいるなと思って。飼いはじめるなら今じゃないのって、うちのかみさんが言い始めて。かみさんも動物好きで飼いたがりなので、じゃあ飼ってみようかっていう話に。
S:先生は反対を?
濱:反対というか、世話するの大変だぞっていう話はしたんですけど。結局、私が一番家にいるんです。一昨年は授業とか会議とかほとんどオンラインになっちゃって、たまに博士課程の仕事で来なきゃいけなかったですけど、ほんとに二週間に一回ぐらいしか大学に来る用事がなかったんですよね。だから、結局一番世話してるの私です。
N:娘さんはお幾つですか。
濱:高校1年生です。息子も高校1年生なんですけど。
N:双子っておっしゃってましたね。高一、思春期ですね。どうですか、犬飼われて。
濱:やっぱし下の子ができたような感じで、娘はかわいがってますね。
N:先生自身も可愛いですか。
濱:まあ大変ですけどね。朝の散歩、毎日私が行ってますし。ちょっと犬の体調が悪かったりすると、大丈夫かなって心配になったりして。
S:ちなみに何犬ですか。
濱:保護犬なんです。何犬かは全然分かんない。
S:このコロナ禍で、ペットを飼う人が増えてるらしいですね。
濱:そうらしいですね。いろいろ不幸な事案も増えてるみたいですけど、わが家は今のところうまくいってます。
S:私、今お話聞いてても、先生のFacebookのタイムラインを見てても、すごいいいお父さんなんだろうなと思うんですけど、どうですか。父親としての自己評価は。
濱:子どもたちがだんだん大きくなってきちゃって、小さかった頃は楽しくやってたんですけど、子どもの成長につれて私の方も変わっていかなきゃいけなかったのに、それが遅かったかなというところがあったかなと思います。
S:変わらなきゃいけない?
濱:少しずつ子どもたちに対して接し方も変えていかなきゃいけないじゃないですか。それが遅かったかなっていうのが少し反省点です。最近はだいぶ意識して放っているというか、距離をとっているつもりではいます。でも、どちらも、生まれた頃から数学ができるようにしなきゃねとか思ったことはなくて、数学なんて別にできなくてもいいんだけれども、ただ嫌いな子にはなってほしくないねっていう話はかみさんとしてたんです。そういう意味では今のところ、息子も娘も数学が好きみたいなんで、よかったなとは思ってます。
S:息子さんから数学の質問を受けたときのこと、ときどきFacebookに載せておられるじゃないですか。そのときの先生のテンションの高さがすごい伝わってくるんですよ。やっぱり息子さんがそうやって数学を楽しんでいる姿を見るのは、うれしいですか?
濱:私はただの数学者じゃなくて、今数学教育もやってるわけなので、それに対して適切な反応をしなきゃなと思うんです。芽をつぶさないように反応しなきゃいけないなと思ってて、それはこうでこうでこうだよって正しいことを答えるだけだったら簡単なんですけど、正しいことを答える以上のことを答えなきゃいけなくて、すごく難しいですよね。数学教育的な視点で子どもを見てしまいます(笑)。
S:本日は長時間にわたり、ありがとうございました。こちらの勉強不足のせいで、ご専門(代数的位相幾何学)の話題を掘り下げられませんでしたが、プライベートも含めた色々なお話と先生のマジックを存分に楽しませていただきました!
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