2025年11月11日(火) 院生リレーコラム

#021. いのち輝く未来!? (2025年入学・佐伯 拓磨)

哲学、社会学、心理学――多様な分野を探究する大学院での日々は、驚くほど充実しています。教育現場をいったん離れたことで、学校教育や部活動とは異なる視点から物事を捉えられるようになりました。

先日訪れた大阪・関西万博2025のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」。これは、人類の存在そのもの、そして未来への責任を問う、まさに壮大で希望に満ちた哲学的な問いではないでしょうか。これまでの私であれば何気なく通り過ぎてしまった場所にも、今の学びを重ね合わせながら新たな意味を見いだすことができました。

特に印象に残ったのはクウェート館です。砂漠の伝統と未来都市のビジョンが融合した展示は、未来のデザインが過去や現在からの断絶ではなく、むしろ継承と革新の連続性の上に成り立つことを示唆していました。人類が何を「いのち」として捉え、それをいかに未来へ紡いでいくのか――そこには壮大な存在論的問いがあると感じました。また、ドイツ館で味わったビールは格別で、焼きたてのウインナーとともに喉を潤すひとときからも、その国の歴史や文化を感じ取ることができました。

万博が提示する「輝かしい未来」と、私が日々向き合う教育哲学の理想と現実とは、常に緊張関係にあるように思います。未来のテクノロジーが世界を救うという華やかなメッセージの陰で、私は人類のいのちだけでなく、自らの学びのいのちについても深く考えさせられました。

人気の黒色ミャクミャクを手に入れ、満足感に包まれながら帰路についた私は、ゼミ資料作成という「切迫した未来」へと、また一歩を踏み出します。