1. 院生リレーコラム
#021. いのち輝く未来!? (2025年入学・佐伯 拓磨)
哲学、社会学、心理学――多様な分野を探究する大学院での日々は、驚くほど充実しています。教育現場をいったん離れたことで、学校教育や部活動とは異なる視点から物事を捉えられるようになりました。先日訪れた大阪・関西万博2025のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」。これは、人類の存在そのもの、そして未来への責任を問う、まさに壮大で希望に満ちた哲学的な問いではないでしょうか。これまでの私であれば何気なく通り過ぎてしまった場所にも、今の学びを重ね合わせながら新たな意味を見いだすことができました。
特に印象に残ったのはクウェート館です。砂漠の伝統と未来都市のビジョンが融合した展示は、未来のデザインが過去や現在からの断絶ではなく、むしろ継承と革新の連続性の上に成り立つことを示唆していました。人類が何を「いのち」として捉え、それをいかに未来へ紡いでいくのか――そこには壮大な存在論的問いがあると感じました。また、ドイツ館で味わったビールは格別で、焼きたてのウインナーとともに喉を潤すひとときからも、その国の歴史や文化を感じ取ることができました。
万博が提示する「輝かしい未来」と、私が日々向き合う教育哲学の理想と現実とは、常に緊張関係にあるように思います。未来のテクノロジーが世界を救うという華やかなメッセージの陰で、私は人類のいのちだけでなく、自らの学びのいのちについても深く考えさせられました。
人気の黒色ミャクミャクを手に入れ、満足感に包まれながら帰路についた私は、ゼミ資料作成という「切迫した未来」へと、また一歩を踏み出します。
| 2025.11.11 | #021. いのち輝く未来!? (2025年入学・佐伯 拓磨) |
| 2025.10.29 | #020. 院生としての日々 (2024年入学・秦 釧洮) |
| 2025.10.03 | #019. 居心地の良い院生室 (2024年入学・鎌田 菜絵) |
| 2025.07.14 | #018. あと5ヶ月 (2024年入学・伊田 武義) |
| 2025.06.25 | #017. 自然が育む静かな対話 (2024年入学・小林 恵美) |
| 2025.05.30 | #016. 00后勇闯兵教大学院一年 (2024年入学・時 尚) |
| 2025.04.25 | #015. 履き替えるか、履き替えないか問題 (2024年入学・中西 覚) |
| 2025.04.11 | #014. 現職教員×大学院生活=SCHOOLデトックス (2024年入学・松澤 千尋) |
| 2025.03.08 | #013. 留学生の兵教生活 (2024年入学・盧 雨佳) |
| 2025.03.03 | #012. 先輩方の成果発表会を見て感じたこと (2024年入学・中村 早希) |
| 2025.02.19 | #011. M2 1月の様子 (2023年入学・遠藤 直也) |
| 2025.01.31 | #010. 中間玲子先生の薫陶に寄せて (2018年入学・橋本 和也) |
| 2024.10.18 | #009. 院生の夏休み (2023年入学・岡田 翔太) |
| 2024.07.17 | #008. 留学⽣の国際交流 (2023年入学・張 靖舷) |
| 2024.06.28 | #007. 兵庫教育大学における昼食問題 (2023年入学・赤﨑 洋之) |
| 2024.05.22 | #006. 最近のわたし (2023年入学・近田 知富美) |
| 2024.05.16 | #005. 「教育コミュニケーション実践論」をふり返って (2023年入学・松崎 康祐) |
| 2024.05.09 | #004. 大学院わず。教師なう。 (2022年入学・切通 明樹) |
| 2024.04.01 | #003. 「当たり前」の境界あたりで (2022年入学・中山 義之) |
| 2024.03.27 | #002. 教コミ的“共生” (2022年入学・衛藤 裕) |
| 2024.02.22 | #001. キーワード検索第1位は… (2022年入学・綿貫 克洋) |
3. 時間割の組み方の例
「私は、「教育とは何か」「教員と子どもの関係」などをキーワードに時間割を組みました。「教育の歴史と教育理論の展開」では、近代化としての学校教育を捉え直し、学校制度や学校文化を考え、現代の学校教育において何が問題なのかと問い直すことができました。また、「子どもの発達と学校の関わり」や「かかわりの発達心理学」では、子どもの成長や学びを発達の側面から捉えることができました。現在、日本では学校改革の必要性が叫ばれていますが、学校教育で今まで当たり前として捉えていたことを、講義の中で先生や他の院生と共に対話を通して考え、さまざまな側面から学校教育を見ることで、何が問題なのかをもう一度問い直す機会となるのが、大学院での学びだと思います。」(『2025大学院案内』より転載)