1. 院生リレーコラム
#022. 中間発表会を終えて… (2025年入学・池田 輝寿)
大学院へ進学してから、気がつけば八か月が過ぎようとしています。私たちのコースに集った院生は、それぞれが教育に関する異なる疑問や問題意識を抱え、その探究心を携えて入学してきました。四月には、各自が抱く「教育をめぐる問い」を持ち寄り、互いの思いを交わすなかで、研究テーマの輪郭が少しずつ形づくられていきました。この八か月の間、教育哲学、歴史学、心理学、社会学など、多様な学問領域の授業に触れながら、多角的な視点が少しずつ自分のものになっていく感覚がありました。新たな視座を得るたびに研究の深まりを感じる一方で、進めるほどに“見えていなかった課題”が顔を覗かせる瞬間もありました。ゼミの先生からいただく助言は、そんな行き詰まりを解きほぐす糸口となり、研究が次の段階へと進んでいく手応えを与えてくれました。
そして迎えた中間発表会。院生一人ひとりの発表は、哲学、歴史学、心理学、社会学──それぞれの専門的視点から教育を捉えようとする試みであり、自分とは異なる問題設定や分析方法の数々に、何度も思考が揺さぶられました。一見すると異なるテーマであっても、どこかで響き合う共通点や、研究の構え方として学ぶべき点が随所にあり、学問的刺激に満ちた時間となりました。
発表を終えたとき、ほっとした安堵と小さな達成感を噛みしめながらも、すでに次の探究へ向かう思考が動き始めている自分に気づきました。それだけ濃密で、前に進む力を与えてくれた会でもありました。
私たちの研究はまだ道半ばです。これからも院生同士の対話や先生方のご指導を得ながら、それぞれの問いをより深く掘り下げ、確かな研究へと育てていきたいと思います。
| 2025.12.02 | #022. 中間発表会を終えて… (2025年入学・池田 輝寿) |
| 2025.11.11 | #021. いのち輝く未来!? (2025年入学・佐伯 拓磨) |
| 2025.10.29 | #020. 院生としての日々 (2024年入学・秦 釧洮) |
| 2025.10.03 | #019. 居心地の良い院生室 (2024年入学・鎌田 菜絵) |
| 2025.07.14 | #018. あと5ヶ月 (2024年入学・伊田 武義) |
| 2025.06.25 | #017. 自然が育む静かな対話 (2024年入学・小林 恵美) |
| 2025.05.30 | #016. 00后勇闯兵教大学院一年 (2024年入学・時 尚) |
| 2025.04.25 | #015. 履き替えるか、履き替えないか問題 (2024年入学・中西 覚) |
| 2025.04.11 | #014. 現職教員×大学院生活=SCHOOLデトックス (2024年入学・松澤 千尋) |
| 2025.03.08 | #013. 留学生の兵教生活 (2024年入学・盧 雨佳) |
| 2025.03.03 | #012. 先輩方の成果発表会を見て感じたこと (2024年入学・中村 早希) |
| 2025.02.19 | #011. M2 1月の様子 (2023年入学・遠藤 直也) |
| 2025.01.31 | #010. 中間玲子先生の薫陶に寄せて (2018年入学・橋本 和也) |
| 2024.10.18 | #009. 院生の夏休み (2023年入学・岡田 翔太) |
| 2024.07.17 | #008. 留学⽣の国際交流 (2023年入学・張 靖舷) |
| 2024.06.28 | #007. 兵庫教育大学における昼食問題 (2023年入学・赤﨑 洋之) |
| 2024.05.22 | #006. 最近のわたし (2023年入学・近田 知富美) |
| 2024.05.16 | #005. 「教育コミュニケーション実践論」をふり返って (2023年入学・松崎 康祐) |
| 2024.05.09 | #004. 大学院わず。教師なう。 (2022年入学・切通 明樹) |
| 2024.04.01 | #003. 「当たり前」の境界あたりで (2022年入学・中山 義之) |
| 2024.03.27 | #002. 教コミ的“共生” (2022年入学・衛藤 裕) |
| 2024.02.22 | #001. キーワード検索第1位は… (2022年入学・綿貫 克洋) |
3. 時間割の組み方の例
「私は、「教育とは何か」「教員と子どもの関係」などをキーワードに時間割を組みました。「教育の歴史と教育理論の展開」では、近代化としての学校教育を捉え直し、学校制度や学校文化を考え、現代の学校教育において何が問題なのかと問い直すことができました。また、「子どもの発達と学校の関わり」や「かかわりの発達心理学」では、子どもの成長や学びを発達の側面から捉えることができました。現在、日本では学校改革の必要性が叫ばれていますが、学校教育で今まで当たり前として捉えていたことを、講義の中で先生や他の院生と共に対話を通して考え、さまざまな側面から学校教育を見ることで、何が問題なのかをもう一度問い直す機会となるのが、大学院での学びだと思います。」(『2025大学院案内』より転載)