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特別支援教育における校務支援システムの構築と個別の指導計画作成

教員名
成田 滋
概要

筆者は,研究代表として平成18年度は日本教育大学協会より「特別支援教育に必須な個別の指導計画の策定に関わる校務支援システムの構築と検証」というテーマで研究助成を受けた。さらに平成19年度から3カ年計画で,文部科学省から「総合的な校務円滑システムの構築による特別支援教育の情報化」テーマで助成を受けている。この研究は,同省の「先導的教育情報化推進プログラム」の一環であり,同省が推奨する産学共同研究として実施している。 こうした研究の背景には平成18年度から,障害児教育から「特別支援教育」への移行がある。特別支援教育は,従来の特殊教育の対象の障害だけでなく,通常学級にいるLD,ADHD,高機能自閉症を含めて障害のある児童生徒一人ひとりの教育的ニーズを把握して,適切な教育や指導を通じて必要な支援を行うのが特徴である。そのために,教育成果の報告義務の一環である生徒一人ひとりの「個別の指導計画:IEP(Individualized Education Program) 」を策定し指導にあたることが求められている。

IEPの策定には,障害の診断に伴う教育目標や教育内容の決定,指導評価規準の作成,保護者との協議などにかかわる業務が待ち受けている。そうした業務の円滑化・効率化を図り,教職員の業務の負担を軽減することで,教師が生徒に係わる時間を増やし,「先生を生徒に返す」ことによって指導に専念し教育活動の質を高めることが,特別支援教育の緊急の課題となっている。現在,学校業務用のアプリケーションは,成績処理・出席管理・会計処理など事務的機能に限られたものが多く,特別支援教育に必須であるIEP策定のためのアプリケーション開発が待たれている。筆者らは,IEPの生成に関わる校内LANを活用した校務支援システムを地元の企業や支援教育の研究会と一体となって試作している。

試作した校務支援システムは,現在兵庫県内の三木市立教育センター,北播LD研究会,大阪府島本町の小学校,島根県江津市内の中学校などで研修を兼ねたデモ,その他全国特別支援教育コーディネーター会議での紹介や啓発を続けている。兵庫教育大学大学院では,現職教員の院生を対象に,本システムを使ったオンラインでのIEP作成を実習してきた。こうした試行実験から,次の二つの大きな課題が明らかになっている。

第一はシステムの頑健さや情報保持の安全性である。また,複数サーバー設置と入力情報の暗号化による情報の漏洩を防ぐ対策を講じることである。学校外からの接に伴う高セキュリティ措置,さらに,オープンソースを使ったマルチOSへの対応と経済性を求めることが指摘されている。第二は,サンプルとなるテンプレートの選択などユーザーによる機能のカスタマイズ化,データベースの活用,わかりやすい画面,オンラインヘルプ,印刷出力のPDF化,見てすぐわかる使いやすさの向上を図ることである。こうした改良点は,現在プログラム上で修正されている。

平成20年度は,特別支援教育での校務支援をPlan-Do-Seeでとらえ,特にIEPにそった指導過程を客観的に把握するために,応用行動分析の手法を取り入れた支ツールの開発に取り組むことになっている。このツールは,軽度発達障害児の気になる行動に対して指導の優先順位をつけ,1日,1週間の行動の頻度や強度などを記録し,自動的にグラフ化することによって,指導案と指導方法を結びつけて評価し,さらなる指導の方略をたてることを意図している。

今後,ネットワークの普及と活用によってIEPづくりをはじめ校務の円滑化は促進されることが期待される。このことは,「IT新改革戦略--ITによる日本の改革人材育成・教育」においても強調されている。この戦略では,教員へのIT機器の整備と校務のIT化と児童生徒の学力向上が重要であると指摘されている。今後校務支援システムの普及とともに,特別支援教育の情報化が進むことが期待される。筆者らはその役割の一端を担い,軽度発達障害児の教育に貢献したいと考えている。

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