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第22回 「子どもの数概念の発達と教授介入~子どもの論理からのアプローチ~」・開催報告

第22回 「子どもの数概念の発達と教授介入~子どもの論理からのアプローチ~」・開催報告

  

教育実践学フォーラム~学校教育の諸問題と可能性を求めて~ 2010年度メインテーマ  「子どものつまずきの発見と対応」

ゲストスピーカー : 吉田 甫 氏  (立命館大学衣笠総合研究機構・特任教授)

兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科教育実践学フォーラム2010は,「子どものつまずきの発見と対応」をメインテーマとして実施してきました。その最後は算数のつまずきについてのテーマを企画しました。平成23年2月12日(土),吉田 甫先生(立命館大学衣笠総合研究機構・特任教授)に,「子どもの数概念の発達と教授介入-子どもの論理からのアプローチ-」と題して,ご講演いただきました。

吉田先生は,今まで実施してこられた実証的な実践研究を基に,「教科の論理」ではなく「子どもの論理」に従った新たなカリキュラムの構築を提案されました。そのための研究方法では,まず第1に,子どもが日常生活の中で獲得しているインフォーマルな知識,第2に,新たな概念を獲得する際の認知的バリアとなっている要因を考慮することが重要であると指摘されました。

吉田先生のご講演について,「児童の認知を考慮したカルキュラムのご提案と実践例の紹介が大変参考になりました」「「子どもの論理」なぜその子がその答えを出すのか,子ども自身の言葉で説明してもらって,その子なりの一定の法則を見つけられれば,その解決法も見えてくる。また子どもは記憶でも数(例えば分数)でも,複数の方略を使い分けているのだなぁと改めて思いました」「子どもの論理からのアプローチによる視点で学習内容をとらえる手法が大変興味深いものであった」「分数や割合でつまずく原因がよくわかった。インフォーマルな知識や認知的なバリアを考慮した教材開発が大切であると感じた」など,多くの参加者の声が届いています。吉田先生のお話は,理論と実践をつなぐ研究に基づいた内容で,教育実践学研究として研究を進める上で,大いに参考になるものでした。

(文責:松村 京子)


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