その一方で,他者の著作物への容易なアクセスは,論文等作成における不正行為の危険性を多分に含んでいるため,特に文章の引用を行う際には,正しい方法で"引用した文章であること"を記さなければ,不正行為となることに注意が必要です。
本ガイドラインは,学生が学位論文等を作成するにあたって,不正行為を未然に防ぐための正しい引用方法等についてまとめたものです。
兵庫教育大学における学術研究活動の不正行為に関する取扱規程(抜粋)
(定義)第2条(3)
盗用:他の研究者のアイディア,分析・解析方法,データ,研究結果,論文又は用語を当該研究者の了解若しくは適切な表示なく流用すること。
つまり剽窃・盗用とは,無断で,あるいは適切な表示なく他者の著作物を自分のものとして流用することであり,例えばWEB上に掲載された他者の論文や文章を,出所を示さずに自身のレポートに"コピペ"する行為などはその最たる例です。
なお,剽窃・盗用となる範囲(分量)について明確な基準はありませんが,たとえ論文中の短い文章であったとしても,他者の著作権や知的所有権を侵害しうる(剽窃・盗用と判断されうる)ことから,著作物の一部分でも流用する場合は,適正な引用方法により掲載しなければならないものと心得て下さい。
また,学位論文に不正行為が認められた場合は,学位を剥奪することがあります。
自分の論文やレポートの内容を補強・補完するために,他者の文章を掲載し解説することを引用と言いますが,引用を行う際は必ず出所を明示する必要があります。著者名,著書名,雑誌名,論文題目名,出版年,出版社名,該当頁など,誰がいつどこに書いた文章で,どの箇所を引用しているのかを明示するようにしてください。なお,学術雑誌に論文を投稿する際等は,投稿規定に引用文献として記載すべき内容が示されていますのでその指示に従って下さい。
例)兵庫太郎氏の著書『●●研究』(2014 年発行)58ページから引用する場合
1)××については,「○○○○○である」(兵庫, 2014, p. 58)と指摘されるが・・・・
※引用文献を文末に記載する場合
2)××については,「○○○○○である」(1)と指摘されるが・・・・・・・・・・・
引用文献(1)兵庫太郎,『●●研究』, △△出版, p. 58, 2014
(2)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
例)我が国の科学技術政策について,政府は「(略)社会の要請を的確に把握する取組を進めるとともに,国民の科学技術に対する理解と信頼と支持を得ることができるよう,科学技術コミュニケーション活動等の取組を促進していく必要がある」(文部科学省,2013.8.19,第4期科学技術基本計画,http://www.mext.go.jp/ component/ a_menu/ science/ detail/ __icsFiles/ afieldfile/2011/08/19/1293746_02.pdf,p.5, 2014.5.9 アクセス)として...
原則,引用は他者の文章等に改変を加えずにそのまま使用し,文章をカギ括弧(引用符「」)で括ります。引用する文章が長い場合はカギ括弧を使用せず,一行あけて文頭を2文字分程度下げることもあります。
例)××については□□となるが,このことを兵庫(2014, p. 58)は次のように指摘する。
××が■■となる側面について,・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
他者の研究内容を簡単に説明したり参考として短く紹介する場合で,元の文章を言い換える際(パラフレーズ)はカギ括弧を使用しません。
例)××について,兵庫(2014)は○○であると指摘するが,この点については・・・。
次頁以降に著作権関連WEBページのURL及び規則の抜粋を掲載しておきますので参考にして下さい。
【兵庫教育大学学則(抜粋)】
(懲戒)第98条
本学の規則に違反し,又は学生の本分に反する行為をした者は,学長が懲戒する。
2 前項の懲戒の種類は,退学,停学及び訓告とする。
3 前項の退学は,次の各号のいずれかに該当する者に対して行う。
(1) 性行不良で改善の見込みがないと認められる者
(2) 正当な理由がなく出席常でない者
(3) 本学の秩序を乱し,その他学生としての本分に著しく反した者
4 (略)
【著作権法(抜粋)】
(引用)第32条
公表された著作物は,引用して利用することができる。この場合において,その引用は,公正な慣行に合致するものであり,かつ,報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
2 (略)
(出所の明示)第48条
次の各号に掲げる場合には,当該各号に規定する著作物の出所を,その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により,明示しなければならない。
一 第三十二条,(以下略)
二 (略)
三 (略)
2 前項の出所の明示に当たっては,これに伴い著作者名が明らかになる場合及び当該著作物が無名のものである場合を除き,当該著作物につき表示されている著作者名を示さなければならない。
3 (略)