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学位論文作成時等における不正行為(剽窃・盗用)の防止に向けて

学位論文作成時等における不正行為(剽窃・盗用)の防止に向けて

  

1. はじめに

近年のインターネットの普及によって,国内外を問わず,他者が発表した著作物(論文やレポート,研究成果,研究方法・アイディアなど)の閲覧が容易になっており,論文等を作成する際には,WEB検索による参考文献や先行研究の検索など,なくてはならない有用な手段となっています。

その一方で,他者の著作物への容易なアクセスは,論文等作成における不正行為の危険性を多分に含んでいるため,特に文章の引用を行う際には,正しい方法で“引用した文章であること”を記さなければ,不正行為となることに注意が必要です。

本ガイドラインは,学生が学位論文等を作成するにあたって,不正行為を未然に防ぐための正しい引用方法等についてまとめたものです。

2. 剽窃・盗用とは 


【定義】

(出典:デジタル大辞泉(小学館)より)

兵庫教育大学における学術研究活動の不正行為に関する取扱規程(抜粋)
(定義)第2条(3) 
盗用:他の研究者のアイディア,分析・解析方法,データ,研究結果,論文又は用語を当該研究者の了解若しくは適切な表示なく流用すること。 

つまり剽窃・盗用とは,無断で,あるいは適切な表示なく他者の著作物を自分のものとして流用することであり,例えばWEB上に掲載された他者の論文や文章を,出所を示さずに自身のレポートに“コピペ”する行為などはその最たる例です。
なお,剽窃・盗用となる範囲(分量)について明確な基準はありませんが,たとえ論文中の短い文章であったとしても,他者の著作権や知的所有権を侵害しうる(剽窃・盗用と判断されうる)ことから,著作物の一部分でも流用する場合は,適正な引用方法により掲載しなければならないものと心得て下さい。 

3.剽窃・盗用が発覚した場合


 本学大学院連合学校教育学研究科学生の研究・教育活動において,剽窃や盗用とみられる行為が発覚した場合,ただちに本学において事実関係を調査し,調査の結果,不正行為と認められた場合は,兵庫教育大学学則第98条に基づき懲戒処分を行うことがあります。

また,学位論文に不正行為が認められた場合は,学位を剥奪することがあります。 

4.適正な引用方法とは


○出所を明示する 

 自分の論文やレポートの内容を補強・補完するために,他者の文章を掲載し解説することを引用と言いますが,引用を行う際は必ず出所を明示する必要があります。著者名,著書名,雑誌名,論文題目名,出版年,出版社名,該当頁など,誰がいつどこに書いた文章で,どの箇所を引用しているのかを明示するようにしてください。なお,学術雑誌に論文を投稿する際等は,投稿規定に引用文献として記載すべき内容が示されていますのでその指示に従って下さい。 

例)兵庫太郎氏の著書『●●研究』(2014 年発行)58ページから引用する場合 
1)××については,「○○○○○である」(兵庫, 2014, p. 58)と指摘されるが・・・・ 
※引用文献を文末に記載する場合 
2)××については,「○○○○○である」(1)と指摘されるが・・・・・・・・・・・ 
引用文献(1)兵庫太郎,『●●研究』, △△出版, p. 58, 2014
(2)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 


 WEBページの文章等を引用する場合は,そのURLとアクセス日等についても明示します。 

例)我が国の科学技術政策について,政府は「(略)社会の要請を的確に把握する取組を進めるとともに,国民の科学技術に対する理解と信頼と支持を得ることができるよう,科学技術コミュニケーション活動等の取組を促進していく必要がある」(文部科学省,2013.8.19,第4期科学技術基本計画,http://www.mext.go.jp/ component/ a_menu/ science/ detail/ __icsFiles/ afieldfile/2011/08/19/1293746_02.pdf,p.5, 2014.5.9 アクセス)として... 


○引用した文章であることを明示する 

原則,引用は他者の文章等に改変を加えずにそのまま使用し,文章をカギ括弧(引用符「」)で括ります。引用する文章が長い場合はカギ括弧を使用せず,一行あけて文頭を2文字分程度下げることもあります。 

例)××については□□となるが,このことを兵庫(2014, p. 58)は次のように指摘する。 


○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○である。 

  ××が■■となる側面について,・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

他者の研究内容を簡単に説明したり参考として短く紹介する場合で,元の文章を言い換える際(パラフレーズ)はカギ括弧を使用しません。 

例)××について,兵庫(2014)は○○であると指摘するが,この点については・・・。 

5.おわりに

不正行為(剽窃・盗用)は,正しい引用方法を徹底することでほぼ回避することが出来ます。意図的であれ無意識であれ,剽窃・盗用と認められる行為を行ってしまうと,その後の学業や研究活動に大きなダメージを与えかねませんので,十分に注意して下さい。  最後に,本ガイドラインに記載した引用方法は一例ですので,投稿規定や要項で細かく指示されている場合はそれに従って記載してください。レポート等で不明な点がある場合は,授業担当教員に確認して下さい。特に学位論文を書く際は,指導教員と十分に相談して,不正行為の回避に努めて下さい。

次頁以降に著作権関連WEBページのURL及び規則の抜粋を掲載しておきますので参考にして下さい。 

6.参考WEBページ,規則等


【WEB:著作権なるほど質問箱(文化庁)】
http://chosakuken.bunka.go.jp/naruhodo/

【兵庫教育大学学則(抜粋)】
(懲戒)第98条
本学の規則に違反し,又は学生の本分に反する行為をした者は,学長が懲戒する。
2 前項の懲戒の種類は,退学,停学及び訓告とする。 
3 前項の退学は,次の各号のいずれかに該当する者に対して行う。 
(1) 性行不良で改善の見込みがないと認められる者 
(2) 正当な理由がなく出席常でない者 
(3) 本学の秩序を乱し,その他学生としての本分に著しく反した者 
4 (略) 

【著作権法(抜粋)】 
(引用)第32条 
公表された著作物は,引用して利用することができる。この場合において,その引用は,公正な慣行に合致するものであり,かつ,報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。 
2 (略) 
(出所の明示)第48条
次の各号に掲げる場合には,当該各号に規定する著作物の出所を,その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により,明示しなければならない。 
一 第三十二条,(以下略) 
二 (略) 
三 (略) 
2 前項の出所の明示に当たっては,これに伴い著作者名が明らかになる場合及び当該著作物が無名のものである場合を除き,当該著作物につき表示されている著作者名を示さなければならない。 
​3 (略)