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第4号 (2003年3月発行)

第4号 (2003年3月発行)

  

「教育実践学論集」掲載論文 和文要旨 第4号 (2003年3月発行)

論文表題
著者 掲載頁・和文要旨
中国における教員表彰制度に関する考察
牛 志奎 pp.1-8
わが国の大学生における健康教育の現状と課題
佐々木 恵, 山崎 勝之 pp9-19
幼稚園におけるジェンダー・フリー・プログラムに関する研究 -ジェンダー・バイアス・フェードアウト保育を目指して-
佐藤 和順, 田中 亨胤 pp.21-32
〈他者〉との〈対話〉を促す説明的文章セット教材の学習指導 -理論と実践の検討-
河野 順子 pp.33-43
「国際理解」と「教育」のあいだ
小西 正雄 pp.45-54
「総合的な学習としての音楽劇」における有効な支援のあり方 -実践分析に見られる「教師の支援」と「児童の反応」を手がかりとして-
高見 仁志 pp.55-68
ラグビーフットボール競技における「calling」の意義 -実践的実験科学分析の観点から-
田中 弘之, 山中 一剛, 一森 勇人, 坂田 好弘 pp.69-77

掲載論文

「教育実践学論集」掲載論文 和文要旨

第4号掲載論文

著者: 牛 志奎
論文題目: 中国における教員表彰制度に関する考察
  中国では1980年代半ば以来,教員資質の向上,教員の勤労意欲の喚起のため,教員表彰に関する多くの法規が制定され,それらに基づき改革政策が実施されてきている。本研究はその主要な奨励措置・条例・規定を分析・考察した上で,教員表彰制度の積極的意義(教員資質の向上,待遇の改善,教師陣の確保及び人材流出の防止)を明らかにするとともに問題点(教員表彰の形骸化,拝金主義の助長,義務教育機関の教員表彰の軽視)を指摘し,今後における中国の教員表彰制度の改善方向を示そうとするものである。
キーワード:教員表彰制度,教員評価,教育法規,中国教育

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著者: 佐々木 恵・ 山崎 勝之
論文題目: わが国の大学生における健康教育の現状と課題
  大学生における一次予防的な健康教育の必要性が叫ばれていながら,わが国においてはその試みや普及は不充分な状況にある。本稿は,1998年1月~2002年9月に公刊された文献を展望することにより,わが国の大学生における将来の健康教育の発展を促進することを目的とした。展望対象文献は8件で,そのうち6件が生活習慣病予防に関するもの,2件が精神的問題の予防に関するものであった。これらの文献について,教育目標,教育内容,教育方法,教育システム,教育評価について分析が行われた。その結果,全体として教育目標が明確でないこと,教育目標と教育内容ならびに教育評価との対応性が乏しいこと,科学的な教育評価が欠けていることなどが明らかとなった。これらが大学における健康教育の中心的課題として提示された。
キーワード:大学生,健康教育,一次予防,現状と課題
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著者: 佐藤 和順・ 田中 享胤
論文題目: 幼稚園におけるジェンダー・フリー・プログラムに関する研究 -ジェンダー・バイアス・フェードアウト保育を目指して-
 本研究では,幼稚園における教師のためのジェンダー・フリー・プログラムの効果と問題点について検討を行った。応用行動分析法の知見を用いて,教師がジェンダー・フリーになるための教師指導プログラムを実施した。その結果,教師にジェンダーに関する問題を提示することにより,教師自身の意識変革が起こり,ジェンダー・バイアスがかかった保育内容が減少するという変化が生じた。これらの結果について,幼児のジェンダー形成に影響を及ぼす保育におけるジェンダー・バイアスの出現回数,教師指導の効果の点から考察した。
キーワード:ジェンダー・フリー,幼稚園, 教師,応用行動分析法,保育
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著者: 河野 順子
論文題目: 〈他者〉との〈対話〉を促す説明的文章セット教材の学習指導 -理論と実践の検討-
  本研究は,説明的文章の学習指導が抱えている課題克服のために,説明的文章の学習指導に,<他者>との<対話>を促すセット教材を活用した。課題とは,「主体的な読み手を育成するための方法論に関する課題」と「読解力,論理的思考力,情報の処理・活用力という3つの学力の育成に関する課題」である。本研究の目的は,セット教材の活用が,上記の課題を解決するために,有効に働くことを実証し,今後の課題を見出すことである。研究方法として,セット教材の実践事例を,先行研究と比較,検討する。その結果,本セット教材の活用が,学習者の内面に学びの必然性を生じさせ,課題を克服するために有効なことが実証された。課題として,学習過程の一般化などが残った。
キーワード:<他者>,<対話>, 説明的文章,セット教材
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著者: 小西 正雄
論文題目: 「国際理解」と「教育」のあいだ
  本稿の目的は,「国際理解」と「教育」との関係を再検討することである。わが国には,国際理解のための教育という視点に立った研究は多かったが,教育のための国際理解という視点に立った議論はほとんどなかったのではないかという問題意識のもとに,本稿では,文化間教育実践の実態の中から「学校教育の社会的要請への従属」という構図を抽出し,その超克のためには,文化間教育研究における人間学的探究への原像回帰が課題であることを指摘している。
キーワード:文化間教育,人間学,国際学,延長の転移,国際理解
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著者: 田中 弘之・ 山中 一剛・ 一森 勇人・ 坂田 好弘
論文題目: ラグビーフットボ-ル競技における「calling」の意義 -実践的実験科学分析の観点から-
  ラグビーフットボール競技選手相互におけるコミュニケーションの方策として,「calling」がプレー遂行の成否に及ぼす影響について検証した。実験結果から,個人の判断を優先させた「呼び込む声」が最も成功率が高く,個々の判断による「プレーの指示の声」が最も高い失敗率を示した。このことから「calling」の内容の如何によってはミスが誘発され,単に「声」の量や頻度を重視して言葉を発すればよいのではなく,「声」の質的な内容がプレーの成否を左右する一要因であると考えられた。
キーワード:ラグビーフットボール,コミュニケーション,コーリング
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