平成16年度採択プロジェクト
- プロジェクトの名称
- スクールリーダー育成のための教育プログラムの開発 -地域診断による環境要因分析からマネジメント能力・評価能力の育成まで-
- プロジェクトの期間
- 平成16年度~平成18年度
プロジェクトの概要
今日これまでの文部科学省中心のややもすれば上意下達的と批判される教育行政施策から,地域の教育の実情にあった教育行政施策への転換が図られようとしている。教育行政における地域分権の推進は,教育現場におけるスクールリーダー育成のための教育プログラムの開発が必須である。これまで学校長等管理職の登用は,教育経験や人柄が重視され,スクールリーダー育成のための教育は,個別にあるいはシステム化されないままの研修に頼り経験主義に陥りがちであったのではないかと考えられる。変化の激しい社会状況下で多くの教育課題を抱える現在,スクールリーダー育成のためには,地域診断等根拠に基づいた立案と目標設定,実施するための教育組織マネジメント能力,評価能力をいかに養っていくのかについて研究を進めていく必要がある。とくに教育現場でのフィールド活動など実践的に方法や内容について深めていくとともに,判断するための根拠の提示など説明責任を果たすスキルの獲得を身につける必要がある。岡山大学教育学研究科には,平成16年度に教育組織マネジメント専攻が設置され,本研究が進められる体制が出来つつあるが,兵庫教育大学連合学校教育学研究科における教育実践学の研究の充実のためにも,構成4大学の教官が協力して教育現場と連携した新たな研究の展開を行うことが期待される。プロジェクトのメンバーは,学校教育方法,学校教育臨床,生活・健康系教育連合講座の担当教官であるが,メンバーが横断的に協力し,また教育委員会組織や地域の教育現場と連携して研究を進めて行く予定である。このスクールリーダー育成のための教育プログラムの開発研究では,1)地域診断による環境要因の分析,2)教育組織マネジメント能力・評価能力の育成,3)学校危機管理体制づくりに重点を置いて,これまでの教育委員会や民間における教育プログラムの調査・分析やフィールド調査ならびにワークショップ・シンポジウム・公開講座を開催し,試行的プログラムの立案・試行・評価を行い,その成果に基づいて,教育プログラムの提案を行なう。
平成16年度は,現状の明確化と基礎的資料の収集を目的として,現在実施されている各県における研修プログラムの比較研究,民間企業における育成プログラムの調査・分析,産能大・国立教育政策研究所等国内の専門家を招き経営戦略や危機管理に関するワークショップの開催,ならびにコミュニティスクールにおける取り組みを事例として地域診断と教育課題との関連を明らかにするフィールド研究,ならびに学校危機管理体制作りの実態調査等を行なうとともに,教育委員会と共同で試行的研修を企画・実施・評価する。平成17年度は,平成16年度の成果をもとに,教育委員会と共同でスクールリーダー育成の試行的プログラムを立案・試行・評価し,シンポジウムを開催する。平成18年度には,スクールリーダー育成のための教育プログラムの提案を行なうと共に,研究成果を刊行物および学術論文とし,また社会還元のための公開講座を開催する。
以上のプロジェクト研究により,スクールリーダー育成のための教育プログラムを体系的にかつ教育委員会と共同で立案することで人材育成と教育実践学研究の充実に貢献できると考えている。