平成18年度採択プロジェクト
- プロジェクトの名称
- 教育実践の観点から捉える「教科内容学」の研究
- プロジェクトの期間
- 平成18年4月1日~平成21年3月31日
プロジェクトの概要
本プロジェクトは、学校教育における各教科の教科内容の範囲と発展性の構造を解明し、児童・生徒の学力育成に寄与する教員養成の教科内容学の学問的枠組みの確立を目指すことを目的とする。我が国の学校教育における各教科の教科内容や教員養成における教科専門の教育内容に関して、次のような課題がある。
- 今日、学校教育における評価観は、相対評価から目標準拠の絶対評価となり、評価の基準が集団から指導の目標へと変わった。目標準拠の絶対評価においては、学習指導要領の各教科の教科内容を児童・生徒が達成しているかという基準によって評価し、学力を育成することとなる。従って、この様な評価観においては、各教科の教科内容の範囲や発展性やその内容の示し方が極めて重要となる。こういったことから、児童・生徒の学力育成や新しい評価観に対応する各教科の教科内容について、その範囲や発展性及び内容の示し方、そして小学校と中学校の連続性等、その在り方が課題となる。
- 「国立の教員養成大学・学部の在り方に関する懇談会」も指摘しているように、我が国の教員養成のカリキュラムにおいて、教科専門の教育内容は学校教育の教科内容や実践と結びついていないと言われる。つまり、教員養成における教科専門の教育内容が理学部や文学部と同じものになっていて、それが学校教育における教科内容と直接的に結びつかなかったり、児童・生徒の発達を想定した内容になっていないということである。こういったことから、今日、教員養成大学や学部においては、専門大学とは異なる学校教育の教科内容を保障する独自の教科専門の創出が急務とされている。教員養成における教科専門科目の教育内容は、学校教育の教科内容や実践という視点から見たときに、その在り方が課題となる。
そこで、このような学校教育の教科内容や教員養成の教科専門に関する課題について、本プロジェクトでは、まず教科については、社会科、数学科、理科、音楽科、美術科、保健体育科の6教科に限定し、次の仮説と方法及び手順によって究明する。
仮説
「教科内容学は、教科専門と教科教育との交わるところに構想される。」従って、「教科内容学」の研究は、「教科専門」の知見と「教科教育学」の知見を教育実践という観点から総合することによって創出されると仮定する。
研究方法と手順
- 第1に、学習指導要領の各教科の教科内容を認識論の観点から検討し、各教科の教科内容の柱立てを確定する。
- 第2に、学習指導要領の各教科の教科内容について、その柱立てと内容を教科専門と教科教育の学問的観点から検討する。
- 第3に、学習指導要領の各教科の教科内容について、その柱立てと内容を諸外国の該当する内容と比較検討する。
- 第4に、以上のような方法によって創出された各教科内容について、その柱立てと内容を教育現場の実践の立場から検討する。