教員紹介
社会科教育
福田 喜彦

教育・研究に対する考え方
私は、①昭和戦前期の社会系教科教育実践史研究、②基本的人権を核とした市民性育成教育の授業内容研究、③NIEによる社会科授業実践研究の3つの視点から研究を進めています。①では、社会系教科の教育雑誌の教育実践に基づく実証的な分析によって、昭和戦前期の社会系教科教育の理論と実践を類型化し、その特質と限界を明らかにしたいと考えています。②では、ハンセン病や水俣病、DV、セクハラなどを核とした人権教育の授業内容開発を推進し、市民性を高め、合理的で法的な知識・理解・判断力を育成する社会科授業に取り組みたいと思います。③では、神戸新聞社の「ことまど」を活用して、兵庫教育大学附属学校園の先生方や神戸新聞社と協力し、NIE活動の普及にも努めました。今後も各種の関係機関と協力して進めていきたいと思います。このように私は、高等学校教員としての実務経験と社会科教育研究者としての教育研究歴を生かして、豊かな人間性と高度な教育実践力を備えた社会科教員の養成や学生の支援に取り組みたいと考えています。
担当授業
- 学部
社会科教育法Ⅰ・Ⅱ
初等社会科教育法
初等生活
初等社会
保育内容環境論
教職実践演習
<最近の卒業論文のテーマ>- 世界史的な視点を取り入れた中学校社会科授業開発-「ユーラシアの動きと武士の政治の展開」を事例にして-
- 高等学校における戦争を題材にした「歴史総合」の授業開発研究 -現代社会に対応した見方・考え方の育成を目指して-
- 家庭科との教科連携を視野に入れた小学校社会科授業開発 −キャッシュレス決済を活用した産業を事例に−
- 防災を主体的に学ぶ小学校社会科授業開発研究-神戸市の事例を中心にして-
- 中学校歴史的分野における人物史学習を通した授業開発-「足利義満」を題材にして-
- 授業のネタ開発からみる社会科授業研究-地域教材「淡路島」を事例に-
- 障害を持った子どもへのICTを活用した社会科授業開発 -「ユニバーサルデザイン」に着目して-
- よいと言われる授業とは何か-小学校社会科体験授業の事例に着目して-
- 初志の会の経験主義をもとにした問題解決型学習の考察-上田薫の理論をもとにして-
- 小中連携を視野に入れた社会科授業研究-アニメを活用した歴史の授業づくりをもとにして-
- 小学校における主権者教育の授業開発-市民科の実践を手がかりに-
- 批判的思考力を育成する中等学校歴史授業開発-明治期の自由民権運動を中心にして-
- 持続可能な社会に向けた中学校社会科授業研究-次世代自動車とSDGsの授業づくりをもとにして-
- 過疎地域におけるICT教育を用いた小学校社会科授業開発-第四学年「わたしたちのまち」を事例にして-
- SDGsの視点を取り入れた小学校社会科授業開発-総合的な学習の時間との関連をもとにして-
- 政治参加への当事者意識を育てる小学校社会科授業開発-スウェーデンと日本の社会科教育の比較を通して-
- ICT×思考ツールを活用した小学校社会科における授業モデルの開発-丹波立杭焼の体験型学習と関連させて-
- 高等学校における「世界史探究」の授業開発―中世ヨーロッパの紋章を読み解く学習活動を中心にして―
- ユニバーサルデザインをもとにした小学校社会科授業開発―課題達成場面での振り返りを中心にして―
- マンガ資料を教材とした小学校社会科の授業開発―手塚治虫のマンガとミュージアムを活用して―
- 日本と世界が融合する「歴史総合」の授業開発―スポーツと政治の関係をもとにして―
- 市民的リテラシーを育成する小学校社会科のカリキュラム―お茶の水女子大学附属小学校の「市民」を事例として―
- 大学院(専門職学位課程)
社会系教科におけるカリキュラムの変遷とマネジメントの実際
社会系教科教育実践研究
社会系教科の授業デザインの理論と方法3
社会系教科の授業研究
授業におけるICT活用
<最近の修士論文及び課題研究成果報告書のテーマ>- 社会参画の視点を生かした意思決定力を育む高等学校「公共」の授業開発-社会的見方・考え方を働かせた「判断の規準」の育成を通して-
- 学習者の歴史像の再構築に着目した高等学校歴史授業の開発-「文章産出」による科学的な社会認識形成を目指して-
- 思考ツールを活用した社会的な見方・考え方を働かせる小学校社会科授業の開発-学習課題に対する思考の可視化を目指して-
- 平和観の変化・再構築を 意識させる中学校社会科授業開発-平和教育との関係性を視点にして-
- 協同的探究学習を活用した小学校社会科授業開発研究
- 概念レンズを活用した小学校社会科カリキュラムの開発と実践に関する研究-経済の視点に着目して-
- 高等学校における生徒の対話的学習を促すICT活用と歴史授業開発-GIGAスクール構想に基づく日本史学習の提案をもとにして-
- 高等学校における「歴史的思考力」を育成する日本史授業モデル開発-防災カードゲーム教材「クロスロード」を活用した授業改善を目指して-
- 小学校社会科における「市民的リテラシー」を育成するカリキュラム-「対話」を取り入れた歴史学習の実践を通して-
- 課題解決型学習における「問い」の機能に着目した小学校社会科の授業モデル開発―地理的表示(GI)に登録された「神戸ビーフ」を題材にして―
- 中国におけるモンゴル民族教育とアイデンティティの形成―内モンゴル民族学校とモンゴルの初等社会科教育の比較を中心に―
- インクルーシブ教育に向けた中学校社会科授業のモデル開発―小単元「発達障害と共生社会」の授業づくりを事例にして―
- 連合大学院(博士課程)
社会認識授業特別研究
<最近の博士論文のテーマ>- 地租改正事業と郡長-『母里村難恢復史略』を中心として-
メッセージ
現職の先生方へグローバル化が進展するなかで、社会系教科の授業づくりも多様化し、これまで学校現場で実践してきた授業がどのような意味をもっているのかを自ら問い直す機会が多くなってきていると思います。現在、社会系教育の学会や研究会でも多様な言語を駆使して、社会系教科の理論や実践を発信することが求められています。私は、東アジアの教員養成に関わる先生方といっしょに、市民社会で共有できる社会系教科の授業のあり方を模索しています。国際化のなかに生きる子どもたちが「市民性」を身につけるためにはどのような授業をしていけばよいのでしょうか。兵庫教育大学大学院で様々なリサーチをもとに共同研究して明らかにしていきましょう。
高校生の皆さん「高大連携」という言葉を聞いたことがありますか。いま、大学と高校は新たな教育改革に向けてともに進んでいます。みなさんが高校で学んでいる社会系教科も大きな転換点に来ています。自ら学んだことを発信して、いろいろな人たちと学びを深めていく姿勢が求められているのです。私は、スーパーグローバルハイスクールの歴史の授業で、日本と韓国の社会や文化を高校生のみなさんとともに学びました。また、地理の授業では、水俣病問題を題材に、日本地理学会の高校生ポスターセッションで発表を行いました。兵庫教育大学を目指している高校生のみなさん。こうした世界に向けてメッセージを発信できる教員をめざして一緒に頑張りましょう。