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平成31年度大学院連合学校教育学研究科入学式式辞

兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科2019年度、令和元年になりますが、37名の入学生の皆さん、本当におめでとうございます。構成大学を代表いたしまして、心よりお祝い申し上げます。今年度から、これまでの4大学に加えまして、滋賀大学と岐阜大学に新たに加わっていただくことになりました。入学定員も増えております。日本の教員養成分野の博士人材養成における本大学院の役割、比重がより大きくなったということで、大変意義深いと考えています。今日は37名の入学者の皆さまに、私から2点ほど申し上げたいと思っております。

一つは、本大学院のミッション、つまり基本的な使命をぜひ再確認していただきたいということです。本大学院は、教育実践学を推進することが基本的な使命です。教育実践学とは何かというと、簡単に申し上げると、理論と実践を架橋する、融合する研究ということです。もっと分かりやすく言うと、伝統的な博士課程では研究能力の育成が中心であったと思いますが、当然それは重要ですが、教育実践学を推進する本大学院では、それに加えて実践力や実践性を持つ人材を養成するということです。

こういう人材のニーズが非常に高くなっております。その主たる要因は、教職大学院が全国に設置されたこと、さらに本大学院の構成大学の岡山大学しかり、上越教育大学しかり、鳴門教育大学しかり、そして兵庫教育大学もそうなのですが、一つ一つの教職大学院の規模が非常に大きくなっていることです。教職大学院というのは、理論はもちろん実践性も備えた学校現場の高度な人材を養成することが使命です。そういう人材を養成する教職大学院の教員にも、同じようにより高いレベルの両面の能力が求められるということです。すなわち、優れた研究能力と実践性です。この両面が必要になります。教職大学院の量的拡大によってそうした人材へのニーズが高まっているのです。

教育実践学はまさしく、そういう能力を養成します。ですから、これまでの多くの修了生が教職大学院に就職しております。ぜひ皆さまも、理論と実践力を備えた学校教育の高度人材を養成する役割を担うということを自覚していただきたいと思います。

もう少し述べますと、これは必ずしも教職大学院に限られたことではなく、修士課程や学部における教員養成においても担当する教員には、同じような両面の能力が求められるということでもありますので、そちらでも通用する能力になるとお考えいただきたいと思います。

二つ目は、入学に際してぜひ申し上げておかなければならないことです。オリエンテーションにおいて、また指導教員等からの指導があると思いますが、研究倫理ということです。これから、本格的な研究生活に入ります。そこで一番求められるのは研究倫理です。要するに、研究において不正をしてはいけないということです。

以前に、大きな問題が起こりました。それをきっかけに、文部科学省も一生懸命に、また大学や研究機関も全力を挙げて研究不正を撲滅することに取り組んできてはいるのですが、よく新聞等に出ますように、後を絶たないのです。場合によっては、当該研究者の過去にさかのぼって博士号が取り消されるという事案もあるのです。入学に際しまして、改めて研究倫理の重要性をかみ締めていただきたいと思います。この大学院では、研究倫理の教育プログラムは当然用意しております。これは、博士号を取ることとは直接関係ありませんが、これを怠ると全てが無になり、あるいは今後の人生においてかなり厳しい状況を迎えるとお考えいただきたいと思います。改めて研究倫理を強く自覚してください。

もう少しだけ申し上げます。誰も最初から意図的に研究倫理を侵そうと思ってやるわけではないと思うのです。ところが、苦境に陥るとそれに手を染めるということです。皆さんは3年で修了して博士号を取られることが理想ですが、3年というのは極めて短く、そのプロセスの中で博士試験の基礎資格となる論文を1本、2本と書き、一定水準以上の学会誌に掲載されなければなりません。そうすると、どうしても焦りが生じてきます。その落とし穴にはまらないようにしてください。それをやってしまったら終わりということです。自分が終わるだけではありません。家族も迷惑を受けるかもしれないし、指導教員や大学院自体も信用を落とすことになりますので、ぜひ気を付けてください。

最後に申し上げたいことです。本大学院は3年課程ではありますが、休学等々を挟むと8年間は在籍できます。8年も在籍することは決して好ましいことではありませんが、いったん入学した以上、しがみついてでも博士号を取ってください。3年で修了されるのが理想ですし、3年で修了してほしいのですが、必ずしも順調にはいきませんので、ぜひ粘っていただきたい。

なぜ、こういうことを申し上げるかというと、博士課程において博士号を取るまでより、取った後の方が重要だからです。取った博士号を糧にして、いかに研究業績を上げ、いかに研究業績によって社会に貢献し、いかに人生を豊かにするかということです。人生を豊かにし、人生において成功するためには、グリット(やり遂げる力)というものが欠かせないと最近の研究でいわれています。博士課程で博士号を取ることは、とりわけ皆さまの場合は仕事を持ちながらですから、極めて厳しいと思います。それを最短3年、最長8年でやり遂げることができれば、グリット、やり遂げる力が付いたことになりますので、そういうものだと思って、苦しいときも頑張っていただければと思います。

それでは、皆さまのこの3年間、あるいはそれ以上になる方もいるかもしれませんが、必ず結果を出されることを祈念しまして、私のお祝いの言葉としたいと思います。頑張ってください。

平成31年4月6日 兵庫教育大学学長 加治佐哲也

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