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令和4年度大学院学校教育研究科(夜間)入学式式辞

 99名の皆さま、ご入学おめでとうございます。兵庫教育大学を代表いたしまして、心からお祝い申し上げます。

 皆さまは年齢、住んでいる場所、経歴や現在の職業等において、非常に多様性に富んでおります。しかしながら、大学院における学びへの強い熱意と意欲は一緒だろうと思います。そういう皆さまの強い意欲と熱意が私にも伝わってまいります。コロナ禍にもかかわらず、これだけたくさんの方にご参加いただいておりますので、それも一つの表れかなと思います。それぞれの方がぜひこの2年あるいは3年の間にしっかり学ばれて、ぜひ入学の目的を達成してください。

 そういう皆さまに私が最初に申し上げたいことです。皆さまもよくご存じだろうと思いますし、皆さまの学校や職場においても同じような状況にあるかもしれませんが、大学教育はこの2年で大きく変わりました。対面が専らであったのが、オンラインがかなり活用されています。オンラインと対面を組み合わせたハイブリッド型の授業が主流になっております。とりわけ夜間クラスの方は仕事をもっておられますので、そういう方にとってオンラインの利便性が非常に高いことをこの2年間聞いてまいりました。

 コロナがこれからどうなるか誰も分かりません。また第7波が来るようなこともいわれていますが、いずれにいたしましても皆さまが在学中、修了後はもっとそうだと思いますが、オンラインというICTを活用した学びのスタイルは、ますます盛んになることは間違いないと思います。

 皆さまは大学院ではオンライン授業を受ける側です。受ける側の経験を非常に大事にしていただきたいのです。する側にだけおりますと受ける側の気持ちがなかなか分かりません。受ける側の気持ちや受け方の効率的な方法が分かっていると、する側に回ったときにかなり効果的に行えることになります。ですから、結局、自分が今は受ける立場ですけれど受けた経験を、自分がする側に回ったときにぜひ生かすつもりで、オンライン授業を有効活用していただきたい。

 オンライン授業やハイブリッド授業は今はまだ本学にとっても発展途上にあります。このスキルを上げていくことが大学教育にとって極めて重要になってきています。発展途上にありますので、ぜひ皆さまと大学教員が相互につくり上げていくという姿勢をもっていただきたいと思うのです。いろいろ気づきがあると思いますので、大学教員の方にもよく伝えていただいて、一緒にいいオンライン授業、ハイブリッド型の授業をつくっていくことをぜひお願いしたいと思います。

 次に申し上げたいのは、主体的な学びをしてくださいということです。これは皆さまに私がいことではないのかもしれませんが、昼間クラスの方もそうなのですが、より夜間クラスの方が学びに対する意欲が高いことはずっと感じております。いい意味で非常に貪欲だと思います。これは大変、結構なことだと思います。ただ、それが指導教員や大学が提供するサービスに対する過度の期待や、あるいは過度の依存ということになると、必ずしもよろしくないと思うのです。学びはとりわけ皆さまは大人ですので、大人の学びをしていただくことになります。大人の学びとは主体的な学びです。

 自分の大学院における学びの目的と課題をおもちと思います。それを明確に意識していただくと同時に、その目的と課題に即した計画を立てていただきたいのです。それがあれば少々のことがあっても大丈夫です。もちろん指導教員と信頼関係をぜひ築いていただきたいと思いますが、必ずしも自分の期待に応えてくれないかもしれない。指導教員は指導教員の考え方で皆さまに接することになりますので。そのときに自分の目的と計画があれば、その自分の目的と計画にとってこの指導教員は、あえて申し上げますが、どう役に立つかを考えていただきたい。つまり、自分が指導教員に全て預けるのではなくて、自分が指導教員を活用するのです。その方が指導教員もずっと皆さまとのおつき合いが良くなると思います。かつ、教育効果も上がると思いますので、ぜひそのことをお願いしたいと思います。

 三つ目です。最初に申し上げましたように皆様は年齢もさまざまです。私が一番年上なのですけれど、それでもまだ100歳まで30年もあるのです。皆さまは少なくとも50年はありますよね。大学院を出た後はものすごく長いのです。仕事をする期間は60歳で終わりだと思ったら大間違いで、65歳、70歳は普通になってきます。とすると、これだけ変化の激しい社会ですので、同じ仕事は続けられないかもしれないし、同じ仕事を続けるにしても新しい能力やスキルを身につけていかない限り、なかなか活躍できない。そうすると学び続けることが絶対に必要になるのです。

 この大学院で学ぶことについて相当の投資をされるわけですので、大学院での自分の目的、例えば公認心理師を取るとか、臨床心理士を取るとか、あるいは学術研究の能力を培うとか、組織マネジメントを学ぶとかあると思うのですが、それはやっていただくと同時に、将来につながるような学び方をしていただきたいのです。例えば、調査法をしっかり学んでください。統計的な調査法や事例研究の方法です。これは、これからまた違う学びをするときも必ず生きます。そしてできれば、AI・データサイエンスを学んでいただきたい。今の大学生にはAI・データサイエンスが必須になろうとしているのです。本学も今年度のカリキュラムから全ての学部生に受けてもらいますが、そういう世界になってきています。データの活用法やAIのことが分からないと仕事ができない世界になって来るでしょう。これは今後、学び続けるために非常に重要になると思います。

 またICT活用力、つまりEdTechです。本学は教員養成フラッグシップ大学に指定されましたので、それに力を入れていきます。そういうものを積極的に学ぶようにしてください。他にもあるかもしれませんが、次の学びにつながるような学び方をぜひ、していただきたいということです。

 その際、大事なのが、学びのネットワークをもつことです。幸いここにおられる方は間違いなく学びの意欲が高いです。そうでなければ大学院には来ません。そういう方々と修了後も学びの仲間になっていただきたい。学びは一人でもよろしいのですが、相互作用の中で行う学びの方がずっと効果的です。皆さまはいろいろなところから来られておりますし、いろいろなところにまた帰っていくわけですけれど、オンラインはその距離を取り払います。オンラインを通じた学び合いであっても知り合いでなければできませんので、そういう知り合い、ネットワークをつくっていただきたい。これは貴重な学びの財産になると思います。

 最後に、いわずもがなのことをあえて申し上げたい。ぜひ諦めないで必ず学位を取得してください。学位は価値があります。相当の決意をもって大学院に来られました。家族をもっておられる方にとっては、家族のご理解も得られて、かなりの負担をされているでしょう。そういう意味でも非常に貴重な機会です。だから、これを成就させることは極めて重要です。諦めずに粘り強くやってください。

 もう一つ意味があるのです。先ほど人生百年ということを申し上げましたが、大学院を出た後、かなり長い人生を過ごすことになります。そのときに、自己肯定感が高いかどうかが大きな意味をもってきます。自分に対して自信があるかどうか。昼間コースの方もそうなのですけれど、とりわけ夜間コースやフレックスで仕事をもちながら学位を取ることができれば、間違いなく自己肯定感が高まります。自分に対する自信ができるということです。いわゆる非認知能力です。これが高まりますので、そういう点でも意味があるのです。ですから、2年ないし3年が一番いいのですが、それ以上かかっても、別にそれを勧めているわけではないですが、大丈夫ですのでやり遂げることを、ぜひお願いしたいということであります。

 それでは、以上4点ほど皆さまにお願いいたしまして、私からのお祝いの言葉としたいと思います。ぜひこの2年間、3年間を充実させてください。本当におめでとうございました。

令和4年4月5日 兵庫教育大学学長 加治佐哲也

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