入試情報 大学紹介

学部・大学院

キャンパスライフ 国際交流
search資料請求menuclose

令和5年度大学院連合学校教育学研究科学位記授与式式辞

 構成6大学を代表いたしまして、心よりお祝い申し上げます。皆さまの多くはお仕事を続けながら、学位取得に至りました。達成感もひとしおではないかと思います。自分に大いに自信を持ってください。これからさまざまな進路や人生があるでしょうが、博士号は次のステップにつながるものといえます。博士号を今後の人生において大いに生かしていただきたい。

 本日、博士号を得まして、新たな人生をこれから切り開いていかれる皆さまに対して、私から2つのことを申し上げます。

 1つは、さまざまなご経歴の方や経験豊かな方がおられますが、博士号取得は、課程博士はもちろんですが、論文博士も出発点であるということです。われわれは、皆さまの博士論文を含めたこれまでの研究業績を評価して博士学位を授与していますが、博士学位は基本的には、研究能力を身につけていることの証明です。従いまして、証明された研究能力を用いて今後大いに研究をしていただかなければなりません。

 皆さま方の博士論文のテーマを拝見しますと、本連合大学院は教育実践学がミッションですので、当然かもしれませんが、ほとんどの方が実践的なテーマです。今現在求められている課題の解明のための研究が多いと思います。その点で、社会的な有用性が高い研究といえます。環境や社会の変化はご存じのように非常に激しいです。そうすると、取り組むべき研究課題は、特に社会的な有用性を意識するのであれば、自ずと変わる、あるいは意識して変えていかなければなりません。

 皆さまには、博士号を取得するプロセスの中で身に付けた高度な専門性や研究力があります。専門性を用いて同じ分野を極められるのは大変結構なことですが、同時に、皆さまに求められ、必要とされる研究課題は社会の変化や環境の変化とともに変わりますので、そこにご留意いただき、培った高い専門性や研究力を活用して新しい課題にチャレンジしていただきたい。

 多くの方は大学に所属されるでしょうが、大学などの研究機関が推進する研究プロジェクトに参画いただきたい。大学は組織として研究プロジェクトを企画します。そのテーマは、多くの場合、その時々の国の教育・研究政策を反映したような最新の課題になります。例えば、私の大学の例でいいますと、大学教育において、初等中等教育の学校で求められている学習観の転換を反映した授業を、これから教員になる学生に提供しなければならないのですが、大学で学習観の転換を反映した授業をどうつくるか、これはどの大学もそうだと思いますが、生成AIを教育研究にどう生かすのか、そのために大学教員のFDをどうつくるのか、などです。こうした研究テーマに対して、自分が所属する大学等の組織の一員として積極的に関わっていただきたい。これは、皆さまが自分の所属組織に研究者として大きく貢献していることになりますので、その大学や組織から高く評価されると思います。

 2つ目は、これもいわずもがなのことですが、教育力を身に付けていただきたいということです。ここで申しているのは、大学における教育力です。先ほどもいいましたが、多くの方がこれから、大学に職を得ることが想定されます。大学の経験が豊かな方や初等中等教育の学校教員を長く勤めている方もおられますので、こういう方は既にお持ちだろうと思います。

 教育力を高めるためには、大学でも当然ですが、まずは、それぞれの方がしっかりとしたカリキュラムマネジメントができなければなりません。

 今、大学教育には初等中等教育と同じように、先ほども少し述べましたが、アクティブラーニングなどを活用したPBL型の学び、探究型の学びが必須になっています。これを実践できないことには、大学では、教育力があるとはいえないと思います。

 教育活動は当然ながら1人で行うものではありません。他の先生方と同僚として協働で教育活動をつくることが不可欠です。同僚性や協働性がないと、いい教育はできません。

 最後になりますが、博士号を取得された本日、研究倫理の順守を改めてお誓いいただきたい。ご存じのように盗作や剽窃(ひょうせつ)、実験データの改ざん、研究費の不正など、研究倫理にもとる事案が現在も後を絶ちません。一度やってしまうと、研究者人生は終わります。これまで指導や支援をしてくれた先生方全てを裏切ることになります。ゆめゆめ生成AIを研究不正に使うことがあってはなりません。故意でなく、不注意の場合でも研究不正と見なされる場合がありますので、細心の注意を払う必要があります。

 それでは、皆さまが博士号を得まして新たな人生をつくり、研究による皆さまの社会貢献が進展しますことを祈念いたしまして、私のお祝いの言葉といたします。おめでとうございました。

令和6年3月23日 国立大学法人兵庫教育大学学長 加治佐哲也

PAGE TOP