令和7年度大学院学校教育研究科(昼間)入学式式辞
国立大学法人兵庫教育大学大学院学校教育研究科(昼間クラス) 令和7年度入学生の皆さま、ご入学、誠におめでとうございます。大学を代表致しまして、皆さまを心より歓迎致します。
皆さまのご入学に際し、一言ご挨拶を申し上げます。本学にご入学される皆さまは、様々なお立場の方がいらっしゃいますが、それぞれに大学院での学びに対して、熱い思いと明確な目標をもってご入学されたと思います。私ども教職員一同、そのような皆さまの思いや目標の実現に向けて、精一杯、サポートさせて頂く所存です。
本学の大学院にはたくさんの特徴や強味がありますが、ご入学に際し、本日は2点、お話しいたします。
第一に、本学の大学院は、実践の知を求める研究志向の強い大学院だということです。
理論と実践の往還・融合を図る学問として教育実践学の構築を目指し、教師としての専門性と研究力の向上を図っています。
皆さまの多くは、大学院在籍中に、様々な研究会や学会等に参加して、プレゼンテーションを行うなど、アカデミックな体験をされることになります。本の中でしか見たことのない著名な研究者などと、同じ場所で、同じ熱量でディスカッションするようなこともあるかもしれません。ゼミでは、自分なりに十分準備したつもりでも、大学教員からの鋭い指摘にたじろぐこともあるでしょう。大学院の修了に向けてはもちろん、修士論文や研究成果報告書を執筆することが求められます。
このようなアカデミックな体験には緊張もするでしょうが、そうやって心の中に「研究の火」がともることで、皆さまが大学院を修了した後、学校現場などで実践を展開される際に、確かな理論に裏付けされた教材開発や授業デザイン、エビデンスに基づく効果検証や授業改善などに取り組むことができるようになります。
それぞれの専門分野においてぜひアカデミックな体験を楽しみつつ、深めていって頂ければと思います。そして大学院において、ご自身の専門分野における研究手法をしつかりと身につけて頂き、ライフワークとして教育実践研究に取り組める素地を養って頂ければと思います。
第二に、本学の学部・大学院には多様な人々がおり、この多様性をご自身の学びや成長に活かすことができるということです。
本学の大学院生は、大別すると、現職教員の大学院生、本学の学校教育学部から進学されてきたストレート院生、他の大学・学部から進学されてきたストレート院生、教員以外の社会人経験を持たれている院生、海外から留学されてきた院生などなど、多様な方々が在籍されています。また、同じキャンパスの中には、学校教育学部の学部生もたくさんいます。こうした世代や背景の異なる人々が交わることで、今までになかった新しい化学反応を起こせる可能性があります。
ぜひ皆さまがご所属されるコースの院生だけではなく、できるだけ多くの人々と交流し、学びを相互に高めていって頂ければと思います。そして、本学で出会った多様な仲間は、皆さまが大学院を修了され、それぞれの道を進んでいかれる際に、生涯を通じてつきあえる大切な存在になっていることと思います。
最後に、皆さまの今後の学び、研究に向けたエールを述べさせて頂きます。大学院での学びには、極めて主体性が求められます。大学院には様々な講義・演習がありますが、単位を取るという目的だけではなく、個々の授業の内容を皆さまのこれまでのご経験やご見識と、頭の中で自分なりに結びつけ、時には授業で教わらなかったことを自ら調べるといった取り組みが大切になります。
誰が言い出したかは定かではありませんが、「知識は世界の解像度」などと言ったりします。知れば知るほどに、物事をより細かく考えることができるようになり、今まで見落としていたことに気づいたり、何がわからないのかがわかるようになったりします。また、そもそも研究というものは、答えがわからないことに挑戦する行為であり、社会に向けて知見を創出することを目指しています。
本学には、深い専門性をもった魅力的な研究者がたくさんいます。また、自ら学ぶために必要な学修環境をしっかりと整備しています。先ほど申し上げた通り、多様な仲間とのディスカッションもたくさんできます。しかし、いずれも、皆さまが主体的に動き、関わろうとしなければ、何も始まりません。いろんな理論やアイディアを自ら「取り入れ」、「考え」、「ぶつけて」、「生み出す」。そんな知の冒険にぜひ挑戦していって頂ければと思います。
大学院での学びが皆さまの人生の次のステップアップにつながるものとなることを祈念致しまして、私からのお祝いの言葉にしたいと思います。
令和7年4月3日 国立大学法人兵庫教育大学学長 森山 潤