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令和7年度大学院連合学校教育学研究科入学式式辞

 国立大学法人兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科 令和7年度入学生の皆さま、ご入学、誠におめでとうございます。構成6大学を代表致しまして、皆さまを心より歓迎致します。

 皆さまご存知の通り、本学の博士課程は、教育実践学を推進することを基本的な使命としています。その重要性とプレゼンスにより、様々な地域から、たくさんの方が受験されてこられます。そのため、博士課程としては、入試倍率が高く、入学するだけでも簡単ではありません。本日、皆さまがここにこうしておられるのは、まさに皆さまのこれまでのご努力の賜物と思います。

 一方、皆さまがこの先、進まれる研究の道は、決して平坦なものではなく、さらなる挑戦に満ちています。独創性のあるリサーチクエスチョンを考え、研究し、論文を執筆し、学会誌に投稿し、そして査読をクリアしなければなりません。このようにして、皆さまのアイディアを客観化し、知見として社会に提供していくことが研究の本質です。皆さまは、知の創造を通して社会に貢献する人材となるのです。

 博士号の取得は、その一つのマイルストーンです。つまり、皆さまにお願いしたいことは、博士号の取得を最終目標にしてはいけないということです。皆さまの最終目標は、博士号を取得した後、それぞれのお立場で、日本の、あるいは母国の学校教育の改善と創造に貢献することにほかなりません。博士号は、皆さまがそのような取り組みを進めるにあたり、十分な見識と能力を有することを証明するものとなります。

 そのため、学位論文というのは、これからの皆さまの生涯にわたる重要なアイデンティティとなっていきます。大学教員の公募などでは履歴書や研究業績調書に必ずといっていいほど、学位論文の題目や内容を書くことになります。博士課程の3年間で、皆さまご自身が生涯にわたって愛せる学位論文を大切に育てあげて頂ければと思います。ぜひ、志を高く持って、頑張ってください。

 加えて、2点ほど、博士課程の院生としての心構えについてお話しいたします。

 第一に、高い専門性を身に着けるためには、その基盤として広い見識が必要だという視点です。

 いうまでもなく博士課程というのは、皆さまの専門性を高度に高めることを目的としています。しかし、狭い知識基盤の上に背の高い専門性を積み上げることは困難です。専門性を高めれば高めるほど、より幅の広い知識基盤を持つことが大切です。広い知識基盤を持つことは、皆さまの専門性をゆるぎないものとするだけでなく、ご自身のご研究の位置づけや意味を相対化することに役立ちます。それによって、皆さまのご研究の価値を改めて認識したり、次なる研究課題の大局的な方向性を知ることができるようになります。この意味において皆さまには、ご自身の研究分野を深めると同時に、異なる分野の研究者や大学院生などとの交流やディスカッションを強くお勧めしたいと思います。

 第二に、学術を究めるためには、「知性」を磨くだけではなく、「人間性」を豊かにすることが大切だという視点です。

 どんなに素晴らしい研究成果を創出できても、他者との人間関係を築けなければ、社会に貢献することはできません。特に、理論と実践の往還・融合を目指す教育実践学では、学校現場の教員等を巻き込んだ具体的な取り組みを進めることが大切になります。するどい「知性」に加えて、「実ほど、頭を垂れる稲穂かな」の精神で、謙虚な気持ちも大切にし、多様で豊かな人間関係を構築できるようになって頂ければと思います。

 また、これは言うまでもありませんが、研究業績を急ぐばかりに、研究倫理に抵触するような行為に及んではいけません。これも「人間性」の重大な問題です。研究倫理に抵触するような行為からは、得られるものは何一つない一方で、これまで築いてきたこと全てを失う可能性があります。研究倫理については、改めて研究科長や研究主幹からお話があると思いますので、しっかりと学び、襟を正して頂ければと思います。

 皆さまはこれから、主指導教員の先生方とともに、学位取得に向けたご研究を進められることになります。博士課程をご担当される先生方は、全国の教員養成系大学・学部の中でも一握りの卓越した研究指導力を持った先生方です。このような素晴らしい先生方のもとでの研究活動やゼミの仲間との関わりは、生涯の宝物となります。

 博士課程でのご研究が、皆さまの人生のさらなるステップアップにつながるものとなることを祈念致しまして、私からのお祝いの言葉にしたいと思います。

令和7年4月6日 国立大学法人兵庫教育大学学長 森山 潤

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