【プレスリリース】令和6年能登半島地震で変化した地形の高精細3Dデータを公開 -災害・地形の基礎研究や環境教育・防災教育の教材として活用可能-(社会系教科マネジメントコース小倉拓郎准教授)
概要
兵庫教育大学大学院学校教育研究科の小倉拓郎准教授、立命館大学衣笠総合研究機構の山内啓之准教授、金沢大学人間社会研究域の青木賢人准教授、林紀代美准教授、岡山大学学術研究院教育学域の松多信尚教授、東京大学空間情報科学研究センターの飯塚浩太郎助教、小口高教授、福岡教育大学教育学部の岩佐佳哉講師、東北大学災害科学国際研究所の高橋尚志助教、筑波大学生命環境系の八反地剛准教授らの研究グループは、令和6年能登半島地震で変化した地形を中心にドローンを用いた高精細地形計測を実施し、基礎研究への応用を想定したアーカイブや地理・地学教育に活用できる教材を作成しました。
本研究成果は、災害科学の国際英文誌『Journal of Disaster Research』に掲載されました。
本研究のポイント
- ドローンで、令和6年能登半島地震で変化した地形の高精細3Dデータを取得した。
- 地形学をはじめとする基礎研究への応用や災害復興の基礎情報となることを想定して、一部地域では反復計測している。成果は希望者からリクエストを受け付け、提供している。
- 蓄積した高精細3Dデータを用いて、地理教育等に使える教材(デジタル3Dモデル、全天球パノラマ画像、3Dプリント)を作成し、デジタル教材をWebで公開した(図1)。
- 計測は、令和6年能登半島地震で隆起した海岸地形を中心として実施した(図2)。
- 作成した教材を用いて、2024年11月に輪島市の小学校教員を対象とした教員研修を実施し、環境教育・防災教育の学習支援の方策や教材の使用感・活用可能性を整理した。

(背景地図には国土地理院発行地理院地図を利用)

今後の展開と展望
令和6年能登半島地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。本研究グループで取得した高精細3Dデータは、研究者にとどまらず広く活用されることで、基礎研究の発展や復興への礎になると考えております。また、作成した教材は、地理教育・地学教育をはじめとする教育やアウトリーチ活動等の一環で、被災地の現状を正しく知ってもらうことができるツールとなり得ると考えています。昨年、兵庫教育大学でも作成した教材を展示し、能登について知ってもらう機会を設けました(参考:PR TIMES「【兵庫教育大学】令和6年度後期展「間の防災-いまのあいだに考える、あしたのための防災−」を開催中!」2025.6.25確認)。被災地の一刻も早い復興をお祈りいたします。
本研究の発表雑誌
Journal of Disaster Research
オンライン掲載日:2025年8月1日
DOI:https://doi.org/10.20965/jdr.2025.p0401
論文タイトル
High-definition topographic archiving and educational applications in regions affected by the 2024 Noto Peninsula Earthquake
著者
Takuro Ogura*, Hiroyuki Yamauchi, Tatsuto Aoki, Nobuhisa Matta, Kotaro Iizuka, Yoshiya Iwasa, Takayuki Takahashi, Kiyomi Hayashi, Tsuyoshi Hattanji, Takashi Oguchi(*は責任著者)
著者所属:小倉 拓郎*(兵庫教育大学学校教育研究科)、山内 啓之(立命館大学衣笠総合研究機構)、青木 賢人(金沢大学人間社会研究域)、松多 信尚(岡山大学学術研究院教育学域)、飯塚 浩太郎(東京大学空間情報科学研究センター)、岩佐 佳哉(福岡教育大学教育学部)、高橋 尚志(東北大学災害科学国際研究所)、林 紀代美(金沢大学人間社会研究域)、八反地 剛(筑波大学生命環境系)、小口 高(東京大学空間情報科学研究センター)
謝辞
本研究の遂行には新技術振興渡辺記念会調査研究助成(令和6年度上半期、S-R6-595)、JSPS科研費(JP22K13777, JP22H00750, JP23K17482, JP24K00171)、兵庫教育大学令和6年度「理論と実践の往還・融合」に関する共同研究活動助成を使用しました。
令和6年能登半島地震で変化した地形の高精細3Dデータや教材を公開しています
―レーザ測量、写真測量の成果―
レーザ測量と写真測量のデータ提供を希望する場合は、利用範囲及び利用目的をA4一枚程度でまとめていただき、小倉までメール(togura(あっと)hyogo-u.ac.jp ※(あっと)は@に置き換えてください。)でご連絡願います。本研究グループ内で協議の上、条件付きでデータ提供を行います。利用範囲及び利用目的以外での使用は控えていただけますようお願いいたします。
―デジタル教材の成果―
下記URLで紹介しているデジタル3Dモデル、全天球パノラマ画像、ドローン映像は、地理教育・地学教育、サイエンスコミュニケーションのツールとして、クレジット表記(©GIS-OER WG CC BY-NC-SA 4.0 )を行った上で使用してください。「地理」の学習では、航空写真やGISデータなどを用いて、自然災害を十分に理解することが重要です。「地理」を学ぶ児童、生徒、学生にとって、直近の災害の事例を深く知ることは、防災・減災の重要性を考える機会となります。一方で、災害に関する情報の中には、学習者にとってショッキングなものや実際に被災した学習者がフラッシュバックを起こしてしまう可能性があるものもあります。教育の中で、時事的な内容やその関連情報をどのように活用するかを検討する必要があります。学習者に配慮の上、実際にご活用いただき、ご意見をお聞かせいただければ幸いです。
- デジタル3Dモデル
https://sketchfab.com/geoguraphy/collections/6-the-2024-noto-peninsula-earthquake - 全天球パノラマ画像
https://gis-oer2.csis.u-tokyo.ac.jp/drr-education - ドローン映像
https://youtube.com/playlist?list=PL1QuCz0hatP_u7fihz0lSoC-UsNzwQRGd&si=Rx-jQfuorhmclaH7
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