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令和3年度大学院学校教育研究科(昼間)学位記授与式式辞

 兵庫教育大学大学院学校教育研究科、令和3年度144名の修了生の皆さま、本当におめでとうございます。また教員研修留学生の5名の修了生の皆さま、本当におめでとうございます。大学を代表いたしまして、心よりお祝い申し上げます。皆さまが本学大学院に在学された2年間、3年の方もおられますが、恐らく入学前に想定されていた学生生活とはだいぶ違ったと思います。入学当初は、ロックアウトで授業ができませんでした。その後、授業を再開しましたが、完全オンラインです。さらにその後も、対面とオンラインを組み合わせたハイブリッドの授業が長く続いて、現在に至っております。

 ご承知のように、ポストコロナになりましても元には戻りませんので、この経験を前向きに捉えていただきたい。皆さまの多くは、これからオンライン授業や対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド授業をする側に回りますので、この経験やそこで得たスキルを生かしていただきたい。

 コロナの本学での感染状況ですが、直近の第6波においては、それなりの感染者がございました。ただ重症者はおりませんし、学内での感染も確認されておりません。もちろん、クラスター感染は全くありません。比較的穏やかという言葉は適切ではないかもしれませんが、それほど大きくは今のところなっておりません。これも、皆さま方の感染対策へのご協力があったおかげであり、改めて感謝申し上げます。

 さて、皆さまよくお分かりのように、学びは大学院で終わりではありません。これから、さらに学んでいかなければなりません。特に大学院で培った学ぶ方法を土台にさらに学びを深め、自分を成長させていただきたいと思います。その際に、いわゆるDX、デジタルトランスフォーメーション、これに積極的に向き合ってください。ご承知のように、小中学校では1人1台の端末を活用した授業が進んでいます。少し時間はかかるかもしれませんが、スタディ・ログなどがうまく活用できれば、文字どおり子ども一人一人のニーズに応じた個別最適な学びが実現します。

 デジタルを活用した個別最適な学びは、実は、教師の学びにおいても実現するのではないかと考えております。ご存じのように教員免許更新制が廃止されます。教員免許更新制を発展させる形で、「新たな教師の学びの姿」というものがこれからつくられます。それに関わる法律の改正が二つあります。教育職員免許法と教育公務員特例法ですが、この改正案が開会中の国会に上程されておりまして、これから審議が始まろうとしています。予定では、7月1日に免許更新制が廃止されます。そこから事実上、新たな教師の学びの姿始まることになっております。

 では、この新たな学びの姿とはどういうものか。教職員支援機構、本学をはじめとした大学、教育委員会の教育センター、民間企業等の機関が、非常に幅広いかつ多様な内容の研修プログラムをつくりまして、それをワンストップのプラットフォームで提供します。全国の教師がプラットフォーム上の広範・多様な研修プログラムをオンライン上で登録し、受講することになります。その際、一人一人の先生方が校長等と話し合って、自分のニーズや課題に応じてプログラムを選択しします。これがうまくいけば、先生方にとっての個別最適な学びとなります。受講した研修は記録されます。学びの成果が、デジタルバッジなどの形で認証されます。そして、学びの成果は校務分掌であるとか、人事異動であるとか、校内での研修であるとか、そういうもので活用されます。このような非常に大掛かりな仕組みになりますので、完成するには少し時間がかかるかもしれませんが、画期的なことだと思います。

 その際に重要なことがあります。いかがでしたでしょうか。皆さんも経験された方が多いと思いますが、大学などが提供した教員免許更新講習はどうも受け身的でやらされ感が強いという批判がありました。そういう気持ちで、この新たな学びの姿に取り組んでいただくと何も機能しません。大事なのは、新たな学びの姿の説明文の一番最初に書かれていることですが、一人一人の教師が自らの必要に応じて主体的・自律的に学びにいくことです。つまり、自らの学びを自らマネジメントすることです。これが基本中の基本です。

 皆さまは大学院で学ばれました。特に修士論文や実践報告書等を作成する中でわかったと思いますが、学びは本来、自分でつくって自分で管理するものです。つまり、主体的で自律的なものです。皆さまが現場に帰られて、あるいはこれから教職等に就かれて、ぜひそういう主体的で自律的な学びの姿をこの新しい学びの仕組みの中で体現していただき、主体的・自律的な学びのモデルになっていただきたい。そうすることでこの新しい学びの姿や仕組みが機能しますし、それが結局はわが国の教員全体の力量を向上させることにつながります。そのように、ぜひお考えいただきたいと思います。

 さて、教員研修留学生の皆さま、今日は5名のうち3名ご出席ですが、神戸大学での半年間を含めまして本当にいろいろ大変だったと思います。それこそ、想定していた日本での生活とはだいぶ違ったことでしょう。ただ反面、普段の日本の姿でない姿も見られたと思いますので、そこを前向きに捉えていただいて、ぜひお国で生かしていただきたいと思います。また、会えることを強く望んでおります。

 それでは、皆さまのこれからの人生が豊かなものになることを祈念いたします。その際に、本学での2年ないし3年の学びが強い支えとなることを祈念いたしまして、私のお祝いの言葉といたします。どうもおめでとうございました。

令和4年3月23日 兵庫教育大学学長 加治佐哲也

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