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令和5年度大学院学校教育研究科(夜間)入学式式辞

 113名の皆さま、ご入学おめでとうございます。兵庫教育大学を代表いたしまして、心からお祝い申し上げます。

 皆さまは年齢、住んでいる場所、経歴や現在の職業等において、非常に多様性に富んでおります。しかしながら、大学院における学びへの強い熱意と意欲は一緒だろうと思います。そういう皆さまの強い意欲と熱意が私にも伝わってまいります。雨模様の中、これだけたくさんの方にご参加いただいておりますので、それも一つの表れかなと思います。それぞれの方がこの2年あるいは3年の間にしっかり学ばれて、ぜひ入学の目的を達成してください。

 ご入学に際して、3点ほどお話しします。

(主体的な学びをすること)
 最初に申し上げたいのは、主体的な学びをしてくださいということです。大人である皆さまに私がわざわざ言うことではないのかもしれません。昼間クラスの方もそうなのですが、夜間クラスの方、フレックスクラスの方がより学びに対する意欲が高いことはずっと感じております。いい意味で非常に貪欲だと思います。これは大変、結構なことだと思います。ただ、それが指導教員や大学が提供するサービスに対する過度の期待や、あるいは過度の依存ということになると、必ずしもよろしくないと思うのです。学びはとりわけ皆さまは大人ですので、大人の学びをしていただくことになります。大人の学びとは主体的な学びです。

 大学院における自分の学びの目的と課題をおもちと思います。それを明確に意識していただくと同時に、その目的と課題に即した計画を、しっかりしたものでなくてもよいので、立てていただきたいのです。それがあれば少々のことがあっても大丈夫です。もちろん指導教員と信頼関係をぜひ築いていただきたいと思いますが、必ずしも自分の期待に応えてくれないかもしれない。指導教員は指導教員の考え方で皆さまに接することになりますので。そのときに自分の目的と計画があれば、その自分の目的と計画にとってこの指導教員は、あえて申し上げますが、どう役に立つかを考えていただきたい。つまり、自分が指導教員に全て預けるのではなくて、自分が指導教員を活用するのです。その方が指導教員もずっと皆さまとのおつき合いが良くなると思います。かつ、教育効果も上がると思いますので、ぜひそのことをお願いしたいと思います。

(学び続けるための基盤をつくる)
 二つ目です。最初に申し上げましたように皆様は年齢もさまざまです。私が一番年上なのですけれど、それでもまだ100歳まで30年もあるのです。皆さまは少なくとも50年はありますよね。大学院を出た後はものすごく長いのです。仕事をする期間は60歳で終わりだと思ったら大間違いで、65歳、70歳は普通になってきます。生涯仕事をする必要があるかもしれない。とすると、これだけ変化の激しい社会ですので、同じ仕事は続けられないし、同じ仕事を続けるにしても新しい能力やスキルを身につけていかないと、なかなか活躍できない。そうすると学び続けることが絶対に必要になるのです。

 この大学院で学ぶことについて相当の投資をされるわけですので、大学院での自分の目的、例えば公認心理師を取るとか、臨床心理士を取るとか、あるいは実践を理論で検証する力をつけるとか、学術研究の能力を培うとか、組織マネジメントを学ぶとかあると思うのですが、それはやっていただくと同時に、修了後も学び続けるための基盤のようなものもつくっていただきたいのです。

(学びのスキルの習得)
 その一つが学びのスキルの習得です。例えば、調査法の習得です。統計的な調査法や質的な事例研究の方法は有用です。学術論文の読み方の習得も今後の高度な学びに役立ちます。これからは何よりも、ICTの活用力が必須です。学校現場では1人1台、児童・生徒は端末を持っています。この端末を活用したデータの処理です。端末を使って情報を集積すると、AIがそれを解析する。そのためのAIと教育データサイエンスを学んでください。これらは学び続けるための力となります。なかなか時間がなかったり、コースによっては受けられる科目に制約があるかもしれませんが、可能な範囲でチャレンジしてください。

(学びのネットワークづくり)
 その際、大事なのが、学びのネットワークをもつことです。幸いここにおられる方は先ほども述べましたように、間違いなく学びの意欲が高いです。学びは一人でもよろしいのですが、そういう方々と相互作用の中で行う学びの方がずっと効果的です。

 夜間クラスとフレックスクラスの方はオンラインでの授業や研究指導が多くなりますが、学びの交流は工夫次第でオンラインでいくらでもできます。また、量的には少ないかもしれませんが、対面の機会も用意されていますので、貴重な対面の機会を有効活用してください。こうしてできた学びのネットワークを在学中はもちろん、修了後も生かしていただきたい。

 皆さまはいろいろなところから来られておりますし、いろいろなところにまた帰っていくわけですけれど、これからの大学院での授業がそうであるように、オンラインはその距離を取り払います。オンラインを通じた学び合いであっても知り合いでなければできませんので、そういう知り合い、ネットワークを在学中につくっていただきたい。これは学び続けるための貴重な財産になると思います。

(簡単に諦めない)
 最後に、いわずもがなのことをあえて申し上げたい。諦めないで必ず学位を取得してください。学位は価値があります。相当の決意をもって大学院に来られました。家族をもっておられる方にとっては、家族のご理解も得られて、かなりの負担をされているでしょう。そういう意味でも非常に貴重な機会です。だから、これを成就させることは極めて重要です。諦めずに粘り強くやってください。

 もう一つ意味があるのです。先ほど人生100年ということを申し上げましたが、大学院を出た後、かなり長い人生を過ごすことになります。そのときに、自己肯定感が高いかどうかが大きな意味をもってきます。自分に対して自信があるかどうか。昼間コースの方もそうなのですけれど、とりわけ夜間コースやフレックスで仕事をもちながら学位を取ることができれば、間違いなく自己肯定感が高まります。自分に対する自信ができるということです。いわゆる非認知能力です。これが高まりますので、そういう点でも意味があるのです。ですから、2年ないし3年が一番いいのですが、それ以上かかっても、別にそれを勧めているわけではないですが、大丈夫ですのでやり遂げることを、ぜひお願いしたいということであります。

 それでは、以上3点ほど皆さまにお願いいたしまして、私からのお祝いの言葉としたいと思います。ぜひこの2年間、3年間を充実させてください。本当におめでとうございました。

令和5年4月5日 国立大学法人兵庫教育大学学長 加治佐哲也

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