【大学生活短信】『私、こってます』《衛藤 裕 さん》
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衛藤 裕 さん大学院学校教育研究科 修士課程 |
「学校の先生をしているの?大変だねー。身体、ガチガチにこってますよ...。」
思いっきり体を伸ばされ、苦痛の表情を浮かべる。「痛たたたた...。これ以上、無理!」
己の柔軟性の無さにより悶絶するこの男は、公立中学校で社会科を教える教員である。男はいつもせわしなく動き回り、予定が詰まっていないと気が済まない性分であった。周囲の人はそんな男に声を掛けるとき、「忙しいところスイマセンが...。」という枕詞から話を切り出すほど。
そんな男は、自身が指導する社会科の授業が大好きであった。授業に向かう足取りは、ラグビーで鍛えた脚力を生かし、軽やかで、かつ力強い。
そんな男が、2022年に、念願であった兵庫教育大学大学院で学ぶ機会を得た。「たくさんのことを学び、もっと成長したい...!」強い決意で4月を迎えたこの男は、入学後、あることに気づいたのである。
14年間の教師経験から、間違いなくこの男は鍛えられ、成長した。しかし同時に、現場での経験が自分を縛り、こり固めていたのだ。新しい学びと出会う前に、まずは、自分の経験の「棚卸し」から始めてみよう。ガチガチに固まった身体、頭をほぐすには少し時間がかかりそうだ。
「高く跳びたい...。もっと、もっと高く...!」
そう願う自分は今、「高く跳べるコンディションですか?」
自分に矢印を向け、学び直しを始めた男。2年後、どれくらい高く跳べているのか...。