親子そろって充実の学生生活 《鎌田 美由紀さん》
母、鎌田美由紀さんと長女、美樹さん。兵庫教育大学の30年の歴史の中で数少ない、同時期に親子が学生として在籍した2人は新温泉町久斗山の自宅を出て、加東キャンパスに隣接する寄宿舎で暮らしていました。
「教員を志したのは高校3年生の時。子どもが大好きなのもありますが、教員の仕事と家事を両立していた母を間近で見ていたことも影響していると思います」と美樹さん。
養護教員一筋の美由紀さんは、娘が兵教大を受験するにあたり、「同じキャンパスに通うことになるかも」という予感があったとか。「発達障害が疑われる子どもが問題を 起こすなどの出来事が続いていま した。子どもとのかかわり方について、大学院で学び直したいと考えていたんです」
美由紀さんは数年前に夫と死別。大学院入学を決意したのは同居する義母の理解が大きかったと語ります。 「次女が中学時代に不登校になり、あれこれ手を尽くしました。義母はその様子を見て、私が大学院でどんなことを学びたいのかを分かってくれたみたいで。受験を 打ち明けた時も二つ返事でした」
美樹さんから1年遅れで入学。同居していたものの、美樹さんはクラブ活動やアルバイト、美由紀さんは修士論文の作成などで忙しく、すれ違いの日も多かったそうです。それでも美樹さんは「母がそばにいてくれるのは心強かった」と話します。
「研究を進めるうえでのアプローチの仕方をアドバイスしてくれたり と、母としてはもちろん、教員の先輩としても尊敬しています」
3月に修了した美由紀さんは、「大勢の子どもを相手にしながらも、一人一人の個性を理解できる教員になってほしい」と美樹さんにエールを送ります。「でも、新米教員にはたやすいことではないですね。あまりプレッシャーをかけてもいけませんし」とすかさずフォロー。母親の優しさが垣間見えました。