【大学生活短信】『花咲かおばさん』《中村 宏美さん》
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中村 宏美 さん大学院学校教育研究科修士課程 |
むかしむかしある学校に、ひとりのおばさん先生がいました。
おばさんは毎日明るく元気で、朝から子どもたちと授業をし、夕方からは子どもたちとグランドで元気に部活をしていました。
ある秋の日のことです。子どもたちと夏中苦労して水やりと草抜きをして大事に育てたサツマイモを、
落ち葉をたっくさん集めて焼き芋にすることにしました。
思った以上に時間がかかり、たくさんたくさん落ち葉を火にくべました。
その時一瞬強い風が吹いたかと思うと、落ち葉の灰が舞い上がり、そばの枯れ木にかかりました。
するとどうでしょう。枯れ木に花が咲いたではありませんか。
それを見ていたお姉さん先生が、自分の焼いていた灰をかけました。
しかし、まったく花は咲きません。
違うお兄さん先生がおばさんのところの灰をかけると、今度はちらほら花が咲きました。
おばさんは、考えました。
「灰が違うからなのか。でも同じ場所から集めた落ち葉なのに?」
「まく人が違うからなのか。同じ灰なのに?」
結局その場で謎が解けることはありませんでした。
それからというものおばさんはなぜ花が咲いたのか、どうすればだれがまいても、どんな灰を使っても花が咲くのか、気になりました。
そのままおばさんは兵庫教育大学大学院教育コミュニケーションコースに進み、だれがまいても、どんな灰でもきれいな花が咲かせられるにはどうすればいいのか研究に励んでいるのだとさ。おしまい。