「日本近未来教育学会2024年度の活動,会員の募集」
地域と共にある「日本近未来教育学会」 2024年度の活動
日本近未来教育学会 2024.4.1
日本近未来教育学会 2024の活動.pdf ← 詳細はこちらをご覧ください
1 はじめに
(1)「日本近未来教育学会」を設立した経緯
①「富士山世界文化遺産学会」の設立と活動を通して
・富士山の世界文化遺産登録を機に富士山の価値 を再認識するために,2013年静岡県と山梨県の市民有志で設立した。
・教育関係者を中心に富士山の自然と文化財等を共に学び合う機会を主催してきた。
(富士山をめぐる臨地研修と硏究誌を発行した。)
↓
活動を進める中で新たな研究の方向性を模索
社会の姿が急速に変化する中で,地域を学び合うだけでなく共に地域の課題を認識し,その克服を目指す研究が必要である。地域社会の発展に貢献できる研究を目指す。そのために,行政機関や研究組織と連携を進める。
②Society5.0の時代における地域社会の姿に注目して
・グローバルで,ICTやAIがさらに進化する社会が到来することに対応する。
・近未来の社会と教育の課題を生活基盤である地域社会や学校現場から克服する。
↓ 課題克服の研究組織が必要となる。
「日本近未来教育学会」の設立
2 目的と組織
(1)目指すもの
近未来(Society5.0の時代)の先端技術を活用した教育を追求するだけでなく,近未来の教育課題を明らかにする。そのために教育現場で実践・研究する者や教育に関心を持つ者が共に学び合い,近未来教育の在り方を個人や団体で研究する。そして,成果を社会に還元することを目指す。
(2)研究体制の構築と今後の方向性
近未来教育に関わる者,関心を寄せる者による組織で個人研究や組織研究を進め,そ の成果を学会全体で共有し,社会に示していく。
①研究対象となる地域社会において,教育関係者や市民が集い,近未来(Society 5.0 の時代)の教育の在り方を協議
・地域域社会における教育の課題,あるべき姿を明らかにする。
②フラッグシップ(各分野で主導的な立場)をとる団体や組織,個人と連携して,研究課題を克服
・各会員が課題意識を持ち,個人研究を進める。研究を発表する機会を設定する。
・対象とする自治体や教育現場と連携して教育課題の克服を目指す。地域社会に貢献 する具体的方策を示す。
③研究の成果を関係組織に提言
・Society5.0の時代を見据えた学校と地域社会の教育の在り方をフォーラムや硏究誌等で提言して,学会の存在と研究成果を関連組織等に示し,社会の進展に貢献する。
(3)学会の研究組織
会長...勝俣得男,副会長・研究部長...梶原正史,研修部長...山田達夫 総務部長...長瀬美奈子,研究副部長...岩橋嘉大,総務副部長...鈴木拓磨
会員...教育関係者(教員,研究者),学会の趣旨に賛同する市民
顧問...研究分野でフラッグシップをとる教育関係者
3 研究構想
本学会では,会員が課題意識を持つ分野で近未来の教育にかかわる研究を進める。その成果を研究会や学会誌で発表する機会を確保して学会として成果を共有する。
学会とし「地域社会と共にある」という地域住民の視点も持って,近未来教育の課題を独自に追求していく。
(1)研究テーマ
「Society5.0の時代を見据えた教育を考える」
(2)研究仮説
Society5.0の時代を見据えて,ICTやAIを教育現場に導入・活用する際の課題を明らかにする。そして,ICTやAIを活用した地域社会における住民や児童生徒の具体的な活動を関係機関に提案していく。それによって,教育の改善や地域住民の連携した活動が促され,新たな共生社会が実現できると考える。
(3)研究フィールド
本学会が研究対象とする近未来社会が実現されようとしている。富士山南麓の静岡県裾野市にトヨタ自動車の未来都市「ウーブン・シティ(Woven City)」が2021年の「富士山の日」(2月23日)に起工した。本学会では,「ウーブン・シティ」の進捗に関心を寄せている。その地元である裾野市には,近未来教育の在り方が反映されてくると考えている。
本学会では,裾野市が2020年3月に発足させた 「スソノ・デジタル・クリエイティブ・シティ (SDCC)」構想に注目して,2021年5月27日同構想のコンソーシアム(共同事業体)に加入した。コンソーシアム会員,デジタル関連の専門家,地元企業と共に裾野市のスマートシティ化を目指す取組を行った。地域づくりに果たす学校,児童生徒の役割について意見を述べた。
※イラスト及び写真は,裾野市「SDCC」資料より転写した。
2022年1月に市長が交代した。本学会では,2022年3月会長が新市長と面談する中 で「地域と共にある」という学会の基本姿勢と新市長の「市民目線」に共通点があると 考え,続けて研究フィールドとしていく。
2024年は,「ウーブン・シティ」の第一期の建物が完成する予定である。
2025年に実証実験が開始されるという。それによって実証に参加する新たな住民の生活が営まれるようになると地域社会との関わりがでてくる。その際にどのようなことが課題になってくるかなど注視していく必要がある。本学会では,その動向に関心を持って具体的な 課題について研究を進めていく。
(4)研究意義
トヨタ自動車の「ウーブン・シティ」や裾野市の「市民目線」の環境整備によって Society 5.0の時代の街や生活が具体化し,そこから近未来の社会や教育の姿が見え てくると考えている。教育の問題,心の課題,学校と地域の交流など本学会が研究を目指すことが現実的な課題になると予想している。地元の意識や関心を高め,地域社会の 発展と共生を図る視点で研究する意義がある政府の進めるデジタル田園都市国家構想によって,全国各地の自治体でデジタル構想を進めている現状にある。今後,自治体が近未来教育を含む地域社会のデジタル化を推進する中で様々な課題に直面すると考える。会員の所属する教育現場や在住する地域社会等の実態や課題を学会のネットワークで共有し,協議することで課題を克服する手立てを明らかにすることができる。
4 研究活動
(1)研究の内容
①研究会・研修会(学識者による講演と参加者による協議)の開催
・協議を繰り返す中で課題を深化させる。
②関係組織(課題意識を共有する組織や個人)との連携
・関連する団体の協議会等に参加,連携を進めることで研究を深化させる。
③会員個人及びグループでの課題研究
・会員による課題研究を進める。
④研究成果の積極的提言
・研究成果を様々な機会に発表すると共に研究誌を発行する。
(2)研究の計画
2024年度 研究計画
※コロナウイルス等の感染状況によって,日程・会議方式に変更もある。
(3)研究の具体的方策
①公開研修会
Society5.0の時代の教育を学ぶ。
②研究協議会...「近未来教育学フォーラム2024」
検討しているテーマと内容 ※オンラインを併用しての開催もある。
テーマ:近未来の教育をどう創るか
講演:近未来教育に関わる学識者
研究協議:事務局からの提案と研究発表,参加者による協議
A 近未来教育の在り方
B 近未来教育学の構築
C 会員の研究発表
③個人やグループによる研究の推進
・研究成果を発表する機会を持つ。
④研究誌の作成
・今年度の研究を検証する。
研究のまとめ(会として,会員として)研究誌の刊行
5 今までの研究活動
こちらをご覧ください → 日本近未来教育学会 2024の活動.pdf
6 2024年度の研究について
社会にICTが普及し,AIの活用が進む今日,近未来教育に関わる施策は,国の「第3期教育振興基本計画」(今年度第4期策定),「令和の日本型学校教育」の構築にも示されている。しかし,その具体像を描くための事例の蓄積は少ない。本学会では,「地域と共にある」を研究の基盤として,環富士山地域に建設される「ウーブン・シティ」の進捗状況を意識しながら,その地元自治体の「SDCC構想」に参画して近未来教育の在り方を明らかにすることを試みてきた。
これまでの研究を通して,近未来の教育では, ICTやAIによって学校教育の改善を図る取り組みがさらに加速すると考える。また,近未来の社会が求める教育内容もICTやAIの活用が基盤になると予見できる。しかし,「子どもの健やかな成長」に必要なものいう視点から近未来教育を考えると「実体験の不足」ということが出てくる。この課題を克服する手立てを検討していくと仮想体験と違う地域住民との交流など地域資源を活用した体験活動に新たな価値を見出すことができる。このように近未来教育の課題を明らかにする際に,知徳体の調和のとれた人づくりなどの視点も必要になる。
2023年12月6日に開催した「近未来教育学フォーラム」の基調提案で学会としての研究の指針となる「近未来教育学の構想」を提示した。近未来に向けての行政や教育現場の課題を整理し,国の今後の教育計画から近未来教育の姿と本学会の研究構想をまとめた。
2024年度は,学会としての研究の指針となる考えや方策をまとめた「近未来教育学の構想」をさらに具体化するとともに,個人やグループで研究課題を設定して取り組むことを重視したい。そのために会員の研究発表や交流の機会も確保していきたい。 近未来社会や近未来教育の具体像を思い描くことは簡単ではない。しかし,「生成AI」の進化などを目の当たりにして社会が急速に変わることに不安を持つ人は多いのではないか。本学会では,社会の動向や国の施策を注視し,教育現場の変化や地域社会の対応などから近未来教育の課題を捉え,教育現場や行政機関と連携して近未来教育の在り方をさらに追求していきたい。
●資料「近未来教育学の構築」